日本の自主規制団体である仮想通貨交換業協会は7月19日、金融庁へ2020年度の税制改正要望書を提出した。要望書は、支払調書関係、申告分離課税関係、簡易課税制度の導入、暗号資産(仮想通貨)等の発行時に課せられる発行者への課税関係、仮想通貨のエンジェル税制の項目からなる。仮想通貨が暗号資産として金融商品取引法に盛り込まれたことから、既存の株式やデリバティブ取引と同様の税制に変更すべきというJVCEAの主張だ。

2020年度税制改正要望書の内容は、審査と認定を経た後に2020年度の税制改正大綱に盛り込まれる。税制改正大綱は、税制改正法案の骨子であり、審議・採択を経て改正法案として施行される。

支払調書関係には、法改正によって義務化された既存の仮想通貨交換業者による支払調書提出にあたり、顧客の個人番号取得に3年程度の猶予を求めている。

申告分離課税関係には、現物取引とデリバティブ取引に既存の仮想通貨デリバティブを取り扱う事業者の支払調書提出にあたり個人番号の取得に3年の猶予期間をもたせること、仮想通貨デリバティブの申告分離課税制度と譲渡損失の損益通算、繰越控除導入の3つの要望が盛り込まれた。

簡易課税制度の導入項目では、少額の仮想通貨決済を課税対象から外す少額非課税制度の導入検討に関する要望または仮想通貨交換業者から引き出した仮想通貨については時価の一定割合を利益とみなして交換業者を介した源泉徴収を行い、個人の決済分については課税対象としないことが盛り込まれている。

暗号資産(仮想通貨)等の発行時に課せられる発行者への課税関係は、配当権や償還権などを有する仮想通貨の発行(STO)が資本取引であることを引き合いに出して、ICOによって調達された資金が資本取引として認識されるに至った場合には、課税上の取り扱いについても資本取引として認知するように求める内容となっている。

仮想通貨投資におけるエンジェル税制の項目では、新規性の高いプロジェクトを支える仮想通貨への投資については株式と同様にエンジェル税制を適用するように要望を出した。

今回の要望書に盛り込まれた5つの税制変更項目は、日本維新の会元議員である藤巻健史氏と藤巻氏主催の「仮想通貨税制を変える会」参加者によって考えられたものだ。仮想通貨税制が現在の総合課税から申告分離へと変わり、仮想通貨の利便性が向上することに期待したい。

【参照URL】2020年度税制改正要望書
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