国内には複数のソーシャルレンディング、また、それに類するクラウドファンディング投資ができる会社があります。投資ができる会社が多いため、投資初心者の方はどの会社を使って投資すれば良いのか、迷ってしまうこともあるでしょう。
そこで、ここではソーシャルレンディング会社やクラウドファンディング会社の中から自分に合った投資対象を選べるようにするため、それぞれの特徴をまとめてみました。利回りや特徴などを参考にしながら、ぜひ今後の投資の参考にしてください。
※記載の情報はすべて2019年8月調査時点のものです。
目次
- ソーシャルレンディング会社の特徴・比較
1-1.SBIソーシャルレンディング
1-2.クラウドバンク
1-3.Funds
1-4.OwnersBook(オーナーズブック)
1-5.LENDEX(レンデックス)
1-6.ネクストシフトファンド
1-7.クラウドクレジット - 不動産投資型クラドファンディング会社の特徴
2-1.CREAL(クリアル) - 株式投資型クラウドファンディング会社の特徴・比較
3-1.FUNDINNO(ファンディーノ)
3-2.Unicorn(ユニコーン) - まとめ
1.ソーシャルレンディング会社の特徴・比較
以下では、ソーシャルレンディング投資を提供しているサイトの中でも、運営企業や運用実績などの面から比較的安全に投資することができるサービスをご紹介します。それぞれの会社のサービスで投資するメリットを知り、投資先の判断材料にしてください。
1-1.SBIソーシャルレンディング
SBIソーシャルレンディングは、大手金融グループであるSBIホールディングスに属するソーシャルレンディング会社です。国内ではmaneoに次いで2番目に古いソーシャルレンディング会社であり、融資残高も2019年7月末時点で349億円超、2018年の実績でクラウドファンディングマーケットにおいてトップシェアを獲得しています。(富士キメラ総研調べ)
1案件あたりの募集金額が5億円を超える大規模な募集が多いのですが、それでもわずか十数分ほどで投資上限金額に達してしまうこともあるなど、投資家の間でも非常に人気のあるソーシャルレンディング会社です。
扱う案件は不動産開発案件・太陽光発電案件・カンボジア技能実習生向けの案件など、多種多様なものが揃っています。不動産担保付き案件で貸倒れが発生してしまったことがありますが、その際も90%近い金額を回収しています。問題が起きたときの対応力には、目を見張るものがあると言えるでしょう。
大手ならではの安心感と信用、実績ともに高いものがあります。利回りは5~7%程度の案件が目立ちます。
1-2.クラウドバンク
クラウドバンクは、第一種金融商品取引業事業者の日本クラウド証券が運営を行っているソーシャルレンディングサイトです。累計募集金額は600億円超で、maneoマーケットやSBIソーシャルレンディングに続いて業界で3番手に位置しています。
取扱案件の内容もmaneoマーケットやSBIソーシャルレンディングと同じく、太陽光案件・不動産開発案件などを扱っていて、投資の機会を豊富に提供しています。
クラウドバンクは2015年度・2017年度と、金融庁財務局から2度の行政処分を受けています。資金の分別管理などで運営上に問題があるとの指摘を受けましたが、5年以上のソーシャルレンディングサイト運営歴の中で、貸倒れは一度もありません。
案件の利回りは5~8%程度です。金融庁によるソーシャルレンディング融資先企業の匿名性解除通達を受け、一部の案件では融資先の名称などの情報開示を行っています。
また、同社は2019年から福岡地区と関東地区ででテレビCMの放送を行っています。これはSBIソーシャルレンディング、クラウドクレジットに続き、ソーシャルレンディング業界では3社目の試みとなっています。この点から、現在のクラウドバンクの事業が軌道に乗っていると推測できるのではないでしょうか。
1-3.Funds
元はソーシャルレンディングのメディアサイトを展開していたクラウドポートが、メディアサイトを譲渡したのち、2019年1月から活動を開始したソーシャルレンディング投資サービスがFundsです。
同社はFundsを「貸付型ファンドのマーケットプレイス」と位置づけていて、自社で案件の募集を直接行うのではなく、第二種金融商品取引業事業者として資金を必要としている会社にプラットフォームを貸出す形をとっています。その意味ではmaneoマーケットに似ていると言えます。
また、利回りは1.8~6%と全体的にやや低めですが、アイフルなどの大手企業を通じた同社子会社への融資案件など、社内の弁護士・公認会計士・社外取締役弁護士・社外取締役公認会計士の審査を通過した案件のみを取り扱っています。まだ実績は少ないのですが、募集を行っている会社は上場企業が多く、一定の信頼が置ける会社と言えるでしょう。
また、1円からの投資が可能など、より柔軟な運用が可能になっています。ただし、貸付型の投資であることから、投資した資金を途中解約できない点は他のソーシャルレンディング会社と同じです。今、大きな注目を集めているソーシャルレンディング会社の一つだと言えます。
1-4.OwnersBook(オーナーズブック)
オーナーズブックは東証マザーズ上場企業のロードスターキャピタルが運営しているソーシャルレンディングサイトです。取扱案件は不動産関係のみとなっています。これはロードスターキャピタルが不動産事業を専門に取扱う会社であることに由来しており、案件の利回りは4%から6%とやや低めです。
しかし、上場企業としての信用もあって、案件の募集が始まると一瞬で投資金額の上限に達してしまうことが頻繁にあるなど、人気の高いソーシャルレンディング会社の1つと言えるでしょう。
他のソーシャルレンディング会社がソーシャルレンディング事業をほぼ専業としているのに対し、ロードスターキャピタルの基本的な事業は不動産の購入と開発、売却となっています。そのため、仮にソーシャルレンディング事業で大きな利益が出ていなくても、他の事業が黒字であれば会社の倒産リスクが抑えられる点がメリットに挙げられます。
さらには、東証マザーズ上場企業であること、コンプライアンスに関する意識が高いことなどは、投資家にとってリスクを抑えた投資ができる要素の数々だと言えるでしょう。
1-5.LENDEX(レンデックス)
LENDEXは2017年から運営を行っているソーシャルレンディング会社です。特徴としては全ての投資案件に不動産担保を設定していること、また、不動産担保を自社基準だけではなく、第三者からの評価を受けて設定していることなどが挙げられます。
かつてのソーシャルレンディングサイトの中には不動産担保を設定していたものの、評価額が自社基準の曖昧なものであり、貸倒れの発生後に不動産を売却した際に評価額の30%しか回収できなかった事例がありました。
LENDEXは大手不動産会社や不動産鑑定士などの不動産の専門家に鑑定を依頼しています。また貸倒れが起きたとしても、極力、資金を満額近く回収できるような取り組みを行っています。融資金額は2社から評価を受けた担保評価額の80%までに制限しています。
また、これまで貸倒れや返済遅延が発生したことは一度もありません。利回りは6%から10%と、比較的高めの数値が設定されています。リスクとしては会社がまだ新しいこと、社員数や募集実績が少ないこと、単年度黒字化を達成していないことなどが挙げられます。
1-6.ネクストシフトファンド
鳥取県に本社を構えるネクストシフトが運営するソーシャルレンディングサイトがネクストシフトファンドです。「社会的インパクト投資」を掲げ、企業への融資案件よりもカンボジアやジョージアと言った発展途上国へのマイクロファイナンス融資案件を中心にしています。
マイクロファイナンスだけに、融資先の分散でリスクをカバーしていますが、担保が設定されていない点がデメリットです。利回りは5~7%程度と平均的ですが、総合的にリスクは高めになってしまうでしょう。
社長を務める伊藤 慎佐仁氏は鳥取県出身です。三菱UFJ銀行・ソフトバンクSBIホールディングス・YJFXでそれぞれ取締役などを務めた経歴があります。経歴と人脈はかなりのものがあると言えるでしょう。
2018年から運営を行っていますが、累計募集金額は数億円程度でまだ実績は少ないと言えます。一方でネクストシフト社は、ベンチャーキャピタル事業にも取り組んでいるため、他の収益源も持っています。
1-7.クラウドクレジット
クラウドクレジットは海外のソーシャルレンディング案件を専門に取り扱うソーシャルレンディング会社です。案件の内容も個人向けの融資や大企業の事業開発、マイクロファイナンスやリース事業など、非常に多様なものになっています。
利回りも2.5%から13%と幅広く、公共性の強い事業からハイリスクハイリターンの収益が得られる個人向け融資案件など、投資スタイルによって様々な種類の案件を選ぶことができます。
社長の杉山智行氏は、証券会社や海外の金融機関に身を置いた経歴を持つ人物で、ブログなどでの積極的な情報発信やソーシャルレンディングに関する本の執筆などを行なっています。
累計募集金額は200億円を突破するなど、勢いのあるソーシャルレンディング会社の一つと言えます。しかし、赤字の幅が大きく、事業の収益化が達成できているとは言えない状況です。
また、案件毎のリスクが大きく、複数の案件で貸倒れが発生しています。投資対象の分散を行うことでリターンを計算しながら、どの案件に投資するかを慎重に選べる人向けの会社と言えるでしょう。
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1-8.maneoマーケット
国内のソーシャルレンディング会社で業界トップの規模を誇るのがmaneoマーケットです。2008年からソーシャルレンディング事業に取り組んでいて、国内で最も古いソーシャルレンディングサイトと言えます。募集金額の規模も1,600億円を突破するなど、業界第2位のSBIソーシャルレンディングを大きく引き離していて、積み上げてきた実績は圧倒的なものだと言えます。
ただし、同社は2018年7月に業務改善命令を財務局から受けています。そして、その後のmaneoマーケットからは投資家保護のための情報公開や社内体制の刷新など、業務改善に向けた方針についての発表が予想されましたが、現在でも具体的な取り組みは公にされていない状況です。
その責任を取る形で、2019年3月に二代目の社長である滝本氏が退任しましたが、maneoでも2018年後半から複数の返済遅延案件が発生しています。実際に貸倒れになった事例はまだありませんが、担保価値が不十分であったとの報道が出るなど、業務の正確性に疑問を投げかける新聞やメディアの報道が数多く行われています。
また、maneoマーケットは第二種金融商品取引業免許を取得してないソーシャルレンディング会社に対し、自身の会社のプラットフォームを提供するビジネスも展開していました。
しかし、このプラットフォームを利用していた会社のグリーンインフラレンディング・ガイアファンディング・クラウドリース・キャッシュフローファイナンスなどでは、複数の返済遅延案件が発生しています。これらの会社では実際に業務停止状態に陥っていて、投資家に向けて募集した投資金の返済が満足にできていない状態です。
maneoのシステムを利用していた会社はもちろんのこと、明確な業務改善報告などが発表されない限り、投資初心者の方にはどうしてもリスクが大きい投資先だと言わざるを得ないでしょう。–>
2.不動産投資型クラウドファンディング
ソーシャルレンディングは第二種金融商品取引業免許を取得した事業者が資金を集め、資金を必要とする事業者に資金を貸出すことで金利差による利益を得るビジネスです。そのため、第二種金融商品取引業免許および貸金業者としての登録が必要です。
一方で、不動産投資型クラウドファンディングは、少額の資金を複数の投資家から集めて不動産を購入し、運用資金を投資家に分配するというケースが多く採用されています。
スキームとしてはソーシャルレンディングと似ていますが、不動産特定共同事業法によって運用される点で投資手法に違いが見られます。また、貸付時の金利が収入源ではないので、売却価格が安かったり、運用しても利益が出なかったりする場合は投資家の収益が減る可能性があることを知っておきましょう。
不動産投資型クラウドファンディングでは、投資案件の情報は基本的に公開されています。ソーシャルレンディングでは融資先に対する匿名性の解除が進みつつありますが、実際に融資先の名前を出すか否かの判断は、各ソーシャルレンディング会社の裁量次第という側面があります。
より投資先の妥当性に重きをおきたいのであれば、不動産投資型クラウドファンディングを選んでも良いでしょう。
2-1.CREAL(クリアル)
CREALは、2018年12月から運用を始めた不動産投資型クラウドファンディングサイトです。運営元は株式会社ブリッジシーキャピタルです。CREALでは、1口1万円と少額からの不動産投資が可能になっています。
また、不動産投資型クラウドファンディングでは、ファンドで購入した不動産を売却した際に値下がりが起きれば、投資家が損失を被る可能性を含みます。しかし、不動産価格の低下率が10%までであれば、CREALが損失を負うことで投資家のリスクはある程度抑えられるスキームを採用しています。
投資対象は大型のホテルや保育園といったESG投資案件、マンション1棟投資案件や区分マンションなどの小規模の案件など、多種多様なものが揃っています。
ソーシャルレンディングと比べると、投資対象になる不動産の住所、事業内容などが詳細に記載されているため、投資対象となる不動産物件の住所を見ながら、自分で資産価値を計算して収益率を予測したり、募集金額の妥当性を判断したりすることが可能になっている点がメリットと言えます。
また、CREALでも投資家に出来る限り多くの情報を提供するため、それぞれの案件に動画を付けるなど、方針として情報公開を積極的に打ち出しています。
利回りはソーシャルレンディングと比べると4%~5%台でやや低めです。ただしCREALは積極的にキャッシュバックキャンペーンなどを実施しているため、投資案件やタイミングによっては実質的な利回りをやや高くすることもできます。
3.株式投資型クラウドファンディング
ソーシャルレンディングや不動産投資型クラウドファンディングは、貸付金利や家賃収入などから投資家にインカムゲインを与える案件が多くを占めます。
一方で、株式投資型クラウドファンディングは、複数の投資家から少しずつ事業資金を集め、インカムゲインではなく投資先の会社の上場や売却時の株式の値上がり益を得る性質の投資手法です。そのため、利益が毎月分配されるわけではありません。
株式投資型クラウドファンディングを運営している会社の中で、特徴的な会社をここではいくつかご紹介します。
3-1.FUNDINNO(ファンディーノ)
ファンディーノは、累計報酬金額が20億円、件数にして50件以上の実績を持つ株式投資型クラウドファンディングサイトです。投資家はファンディーノを通じて、今後の上場を狙う会社の株式を購入します。そして、その株式が値上がりすれば、売却によって大きな利益を得ることができます。
ただし、購入した会社のすべてが上場するとは限りません。そのため、ほとんど利益が出ない可能性があり、投資した資金を喪失してしまう可能性があります。もちろんファンディーノでも、投資家に対して少しでも利益を提供する可能性を上げるために、募集する会社の審査を厳密に行っています。
ターゲットにする企業が将来的に上場する可能性があるのか、革新性のあるビジネスか、独自性のある技術に取り組んでいるのか、などの点を見ながら、専門知識を有した公認会計士などのチームが審査に取り組んでいます。そして、審査員全員が一致した企業でない限り、ファンディーノでは資金募集を行いません。
また投資家の保護のため、詳細な融資先の財務状況の調査、リスクの洗出しなどにも取り組んでいます。
3-2.Unicorn(ユニコーン)
投資銀行と証券会社出身のIPOのプロによって構成された株式投資型クラウドファンディングサイトがユニコーンです。投資銀行や証券会社の人脈を活かし、様々なベンチャー企業に投資案件を用意するとしています。コンセプトとしては以下4つのポイントを掲げています。
- 【AI】AI×ITによるプロジェクトマネジメント支援企業
- 【BioTech】再生医療で未来をサポートする企業
- 【Consumer】新しい味で地域活性化を目指す企業
- 【EdTech】ITを使い教育とテクノロジーを融合させて地域格差をなくす企業
現在は2019年7月上旬に公開した第1号案件はすぐに募集が完了しています。今後注目の株式投資型クラウドファンディングサイトです。
4.まとめ
今回はソーシャルレンディング会社およびクラウドファンディング会社の紹介を行いました。
それぞれの会社にメリットとデメリットがあり、また、収益率の高低やリスクの大小に違いが見られます。以下に各社の特徴や利回りを表でまとめておきます。(数値は2019年8月調査時点)
ソーシャルレンディング
サービス名 | サービス開始年 | 累計募集額実績 | 利回り水準 | その他 |
---|---|---|---|---|
SBIソーシャルレンディング | 2011年 | 約1,077億円 | 3~10% | 親会社が東証一部上場 |
Funds | 2019年 | 約5億円 | 1.8~6% | |
クラウドバンク | 2013年 | 約612億円 | 5~8% | 第一種金融商品取引業 |
オーナーズブック | 2014年 | 約130億円 | 4~6% | 東証マザーズ上場 |
ネクストシフトファンド | 2018年 | 1億円未満 | 5~7.5% | 社会インパクト投資 |
クラウドクレジット | 2014年 | 約216億円 | 2.5~13% | 社会インパクト投資 |
LENDEX | 2017年 | 約20億円 | 6~10% |
不動産投資型クラウドファンディング
サービス名 | サービス開始年 | 累計募集額実績 | 利回り水準 | その他 |
---|---|---|---|---|
CREAL | 2018年 | 約20億円 | 4~5% |
株式投資型クラウドファンディング
サービス名 | サービス開始年 | 累計募集額実績 | その他 |
---|---|---|---|
ファンディーノ | 2017年 | 約22億円 | 国内初・現最大手の株式投資型クラウドファンディング |
ユニコーン | 2019年7月 | 0.5億円 | 第1号案件はGPS×IoTの観光プラットフォーム「SpotTour」 |
リスクを避けるための基本的な考え方の一つは、投資対象の分散です。1社に集中して投資してしまうと、その会社で問題が起きたときに資金を拘束され、損失が大きくなる可能性があります。
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Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース