「安定した家賃収入が期待できる」「所得税や相続税の節税効果が期待できる」「資産価値が安定している不動産が手に入る」などの理由から、注目を集めている不動産投資。しかし、元本保証がある銀行預金とは異なり損失に対する保証はないため、知識や経験が少ない不動産投資初心者が始める場合には特に注意が必要です。
そこで今回は、不動産投資の初心者が覚えておきたい主な注意点と対策について解説します。
目次
- 不動産投資の4つの注意点
1-1.入居者がいないと家賃収入は0になる
1-2.自然災害によって資産を失う可能性がある
1-3.金利の上昇に気を付ける - 不動産投資の注意点への対策
2-1.都心の駅近物件を基準にエリアや駅徒歩分数、築年数などを考える
2-2.火災保険や地震保険に加入する
2-3.ローンは固定金利と変動金利を使い分ける - まとめ
1-4.節税効果を過度に期待しない
2-4.減価償却を意識する
1 不動産投資の4つの注意点
資産運用と一口に言ってもいくつか種類があります。例えば、株式投資やFXなどは値動きが激しい商品が多く、レバレッジをかけて取引をすることもできるため、キャピタルゲイン(売却益)で大きな利益が期待できる一方で、大きな損失を出してしまうリスクもあります。
不動産投資は株式投資やFXなどと比べると、インカムゲイン(運用益)がメインとなる投資で、入居者がいる間は継続的に安定した家賃収入が期待できるという特徴があります。
資産運用の手段として不動産投資が気になっている方も多いと思いますが、不動産投資を始めるにあたっては以下の4つの注意点があります。
- 入居者がいないと家賃収入は0になる
- 自然災害によって資産を失う可能性がある
- 金利の上昇に気を付ける
- 節税効果を過度に期待しない
それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。
1-1 入居者がいないと家賃収入は0になる
1つ目の注意点は、入居者がいないと家賃収入は0になるということです。入居者がいれば継続的に安定した家賃収入が期待できる不動産投資ですが、区分マンション投資や戸建投資など1戸の物件しか運用しない手法では、空室が生じると家賃収入が0になってしまいます。
不動産投資を始める際にはある程度まとまった資金が必要になることから、金融機関の融資を受けて不動産投資を始めるのが一般的です。しかし、返済は家賃収入から行うため、家賃収入が得られないと給与や貯金から返済を行うことになります。
あまりにも空室期間が長く続く時は、不動産投資の継続が困難になる可能性があることを想定しておく必要があるでしょう。
1-2 自然災害によって資産を失う可能性がある
株式投資では、株式を保有している企業が経営破綻や上場廃止に陥ると資産価値がほぼ0になる、というリスクを伴います。一方、不動産投資では比較的価値が安定している不動産に投資するため、その点ではリスクは比較的低いと言えますが、資産価値が大幅に下がる危険性もあるので注意が必要です。
例えば、自然災害が生じた場合です。不動産投資は借主がいるという条件が揃って初めて家賃収入が生じます。しかし、火災や地震などで建物が損壊してしまうと、家賃収入が得られなくなるだけでなく、資産価値が大幅に下がってしまいます。
自然災害はいつ発生するか事前に予測できません。不動産投資では常に自然災害のリスクにさらされているということを覚えておきましょう。
1-3 金利の上昇に気を付ける
最後は金利の上昇に気を付けることです。不動産投資は物件購入の際にまとまった資金が必要なので、金融機関から融資を受けながら行うのが一般的ですが、融資額はかなり大きくなります。そのため金利が上昇すればその影響を大きく受けることになるので注意が必要です。
例えば、20年返済・金利1%で4,000万円の融資を受けたとすると、返済総額は4,414万9,732円になります。一方、同条件で金利が1.5%に上昇した場合は、返済総額は4,632万4,216円になります。
金利が低いという理由で変動金利を選んでいる方も多いと思いますが、金利が上昇すると返済総額がどんどん膨らんでキャッシュフローが悪化することもあるので注意しましょう。
1-4 節税効果を過度に期待しない
1つ目の注意点は節税効果を過度に期待しないことです。不動産投資は、所得税や相続税の節税効果が期待できると聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
確かに、所得税や相続税の節税効果はあります。例えば、資産を現金として相続する際は税額の計算根拠となる評価額は100%になりますが、不動産として相続する際は賃貸用の物件であることなども考慮され、評価額が3分の1程度になります。そのため、相続税に関しては大きな節税効果が期待できると言えるでしょう。
しかし、所得税に関してはそうとは言い切れません。不動産投資によって得た不動産所得は給与所得など他の所得と合算し、総所得から所得税を算出することになります。そのため、所得税の節税効果を得るには、不動産所得が赤字ということが前提となるので注意が必要です。
また、建物の経年劣化による資産価値の減少を反映する「減価償却費」という経費があり、これが節税効果を生む根拠とされていますが、ずっと計上ができるわけではありません。そのため、相続税の節税効果は期待できても、所得税の節税効果には過度に期待してはいけないと言えるでしょう。
2 それぞれの注意点への対策
リスクを抑えながら安定した不動産投資を行うには、上記の注意点への対策をあらかじめ練っておくことが重要です。それぞれの注意点への対策は以下の通りです。
- 都心の駅近物件を基準にエリアや駅徒歩分数、築年数などを考える
- 火災保険や地震保険に加入する
- 固定金利と変動金利を使い分ける
- 減価償却を意識する
それぞれの対策について詳しく見ていきましょう。
2-1 都心の駅近物件を基準にエリアや駅徒歩分数、築年数などを考える
まず、空室リスクに対しては入居需要が高い立地を選ぶことが重要です。たとえば、東京都心で駅徒歩7分以内の立地のマンションであれば多くの入居需要が期待でき、築10年~築20年の物件でも平均の入居率は90%後半を維持することができると考えられます。
そこを基準として、都心>23区>都内とエリアが都心から離れるにしたがって入居需要は落ちやすくなってくるため、選択するエリアとあわせて駅徒歩分数を10分以内/7分~8分以内/5分以内のどこにターゲットすべきか、また、築年数は新築/築浅/築古のどれにすると入居率と不動産価格・利回りのバランスが良いか、といったことを考えていくと良いでしょう。
2-2 火災保険や地震保険に加入する
避けては通ることができないリスクとしては、自然災害のリスクもあります。いつ発生するか予測できないため、対策の練りようがないと思った方もいるかもしれませんが、火災保険や地震保険に加入するという対策があります。
火災保険や地震保険に加入すれば、万が一自然災害によって建物に被害が生じた場合でも修繕費を保険金で補うことが可能です。建物が滅失してしまった場合は建て直すまでは家賃収入が得られませんが、修繕費を負担するリスクを防げることは大きなメリットと言えるでしょう。
2-3 固定金利と変動金利を使い分ける
ローンについては、固定金利と変動金利を使い分けることで金利上昇リスクに対処することができます。変動金利で融資を受けた際には、その時の社会情勢の影響を大きく受けることになります。政策金利が高金利の状況であれば、変動金利にして将来的に金利が下がるのを待つことも選択肢の1つですが、現在のような低金利の状況では、将来的に金利が上がる可能性は高いと言えます。
金利は変動するものであるため、どちらがおすすめと言い切れるものではありませんが、社会情勢などを考慮しながらその時に合った金利タイプを選ぶことが重要と言えるでしょう。
2-4 減価償却を意識する
不動産投資による節税を考えている方は減価償却を意識することが大切です。建物には構造ごとに減価償却の期間が設けられています。例えば、鉄骨鉄筋または鉄筋コンクリート造であれば47年、鉄骨造であれば最大34年(骨格材の厚さによって異なる)、木造であれば22年などです。この耐用年数に応じて、毎年建物取得価額を按分して費用計上します。
新築であれば上記の年数が適用されますが、中古で取得した場合は経過した築年数ぶん減価償却できる期間が短縮されます。不動産投資に所得税の節税効果を求めているのであれば、減価償却の期間を意識した物件選びが重要と言えるでしょう。
3 まとめ
不動産投資は、他の資産運用と比較すると家賃収入というインカムゲインがメインの投資手法であるため、長期的に投資をしていきたい方や給与収入とは別の収入源を作りたいという方に向いています。しかし、不動産投資は入居状況によっては家賃が得られないこともあり、元本割れとなってしまうリスクがある点には注意が必要です。
また、「所得税や相続税の節税効果が期待できる」「資産価値が安定している」などを不動産投資のメリットとして強調している不動産会社もありますが、鵜呑みにしてはいけません。所得税の節税効果は不動産所得が赤字であることを前提にしている、自然災害が生じると資産価値が大幅に減少する可能性もある、ということを知っておくことが重要です。
不動産投資が持つ様々なメリットを享受するには、リスクに着目して対策を練っておくことが大切です。この記事を参考に、不動産投資のリスク管理を徹底しながら不動産投資を進めてみて下さい。
Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース