将来の資産形成に。積立投資のメリット・デメリットと注目サービス3選
積立投資は、長期間継続して少しずつ積み立て、最終的に大きな資産を形成することを目的とした投資手法です。老後の2,000万円不足問題が大きく取りざたされているように、最近は現役世代のうちからiDeCoやつみたてNISAなどで個人年金を作る必要性が高まっており、その手段の一つとしてスマホアプリで手軽に始められる積立サービスなども登場しています。
そこでこの記事では、積立投資の基本からメリット・デメリット、積立投資が簡単に始められるサービスをご紹介します。資産運用や自己年金作りに興味がある方は、資産作りの参考にしてみてください。
目次
- 積立投資とは
- 積立投資のメリット
2-1.少額で投資ができる
2-2.平均購入単価を下げることができる
2-3.リスクを抑えることができる
2-4.手間がかからない
2-5.相場変動で一喜一憂せずに済む - 積立投資のデメリット
3-1.元本保証ではない
3-2.コストがかかる
3-3.短期間でのハイリターンは期待できない - 積立投資が簡単に始められるサービス4選
4-1.つみたてロボ貯蓄One Tap Buy
4-2.THEO
4-3.ウェルスナビ - まとめ
1 積立投資とは
積立投資は、定期的に一定額の金融商品を購入して積み立てていく投資法です。例えば毎月の給料日に1万円分の投資信託を購入し、数年から10年、20年の長期で積み立てることを目的としています。短期的な収益は期待しにくいものの、リスクを抑えながら最終的に大きな資産形成を狙うことができます。
購入対象となる金融商品は、価格の変動が激しくなく安定性が高いものが適しています。積立投資は、複数の株式や債券などの銘柄で構成されている投資信託と相性が良く、値動きのタイミングなどが異なる投資商品・資産を組み合わせることでリスク分散を図ることができます。
2 積立投資のメリット
それでは、積立投資にはどのようなメリットがあるかについて見ていきます。
2-1 少額で投資ができる
積立投資は、10~20年と長い期間をかけて少しずつ資産を形成していく投資法です。株式投資や不動産投資などを始めようとすると大きな資金を必要としますが、積立投資はまとまった資金がなくても始めることができます。
毎月の給与の中から家計を圧迫しない程度に、1,000円~数万円程度の範囲で積立額を設定すれば、無理なく続けていくことができます。このように、他の投資と比べた際の「始めやすさ」「続けやすさ」が積立投資の大きなメリットです。
2-2 平均購入単価を下げることができる
積立投資は、事前に毎回の購入金額や購入のタイミングを決め、それに従って金融商品を購入していく投資法です。相場の変動にかかわらず一定の金額で購入する方法は「ドルコスト平均法」と呼ばれ、相場が高い時は少量の購入に止まり、逆に相場が安い時は大量に購入することとなります。
そのため、投資期間全体で見ると平均購入単価を下げる効果があります。
2-3 リスクを抑えることができる
投資の世界では、手持ちの資金をすべて使って金融商品を一括購入した後に相場が下落して損失を被る場合があります。相場が上がるか・下がるかを読むことは、投資経験が豊富なプロでも難しく、金融商品をその時の価格で一括購入することは、ハイリターンを期待できる一方で大きなリスクを伴います。
その点、積立投資では購入タイミングを毎月・隔月・四半期ごとなどに、少額・定期定額で投資を行うことで、一回あたりの投資価格は平準化されていきますので、短期的な急な値下がりなどが生じても、損出するリスクを軽減することが期待できます。
2-4 手間がかからない
多くの積立投資サービスは、事前に購入銘柄・購入タイミング・1回あたりの購入金額・引き落とし銀行口座などの条件を設定しておけば、自動的に買い付けて積み立ててくれます。
そのため、金融商品を自分で購入する、購入の度に入金するなどの手間がかからず、すべて任せておくことができます。
2-5 相場変動で一喜一憂せずに済む
株式投資などでは、短期的に相場が下がった時点で買い、値上がりを待って売ることにより、その価格差によって利益を上げるトレードという投資手法も人気があります。リスクを伴うぶん、リターンは大きいのですが、投資対象銘柄の相場が下がって購入できるタイミングを掴むためには、相場や市況を頻繁にチェックする必要があります。
銘柄購入後に予想に反して相場が下がればいち早く損切りする必要があり、さらに相場が上がった場合でも売却して利益を確定するタイミングを見計らうなど、注意を払い続けなければなりません。
一方、積立投資は相場の変動にかかわらず、あらかじめ決めた購入タイミングと購入金額に従って買い続ければ良いため、常時監視の手間や過度な精神的ストレスから解放されます。
3 積立投資のデメリット
次に積立投資のデメリットについて見ていきます。
3-1 元本保証ではない
積立投資は貯蓄感覚で始めることはできますが、元本が保証されたものではありません。購入対象の投資信託などは、相場の変動によりその価格が随時変化していく金融商品です。
積立投資の積立期間は10~20年と長期にわたることから、その間に一時的に相場が下がってもやがて回復し、最終的には投下元本を超える資産を形成できる見込みがあるものの、元本を下回らないことが100%保証されているわけではありません。このように積立投資は、あくまでも投資の一種で元本保証がないということも認識しておく必要があります。
3-2 コストがかかる
積立投資の購入対象は、その性質から投資信託が多く採用されています。しかし、投資信託ではその購入・運用に伴い、以下のようなコストが発生することがあります。
コストの種類 | 内容 | 費用の相場 |
---|---|---|
販売手数料 | 投資信託の販売会社に支払う手数料 | 販売価格の0~3% |
信託報酬 | 投資信託を運用・管理するための費用 | 運用資産の0.05~3%(年率) |
信託財産留保額 | 投資信託の中途解約時に発生する費用 | 保有資産の0~0.5% |
なお、上表の手数料は一般的な目安であり、投資信託の中には販売手数料や信託報酬を安く設定している商品もあります。積立投資は、積立期間が長期に及ぶことから、できるだけコストが安い商品や金融機関を選ぶことも重要になります。
3-3 短期間でのハイリターンは期待できない
一般的に短期間で大きな利益を上げる方法としては、相場が下がった時に金融商品を大量に仕込み(購入し)、価格が上がった時点ですべて売る必要があります。
しかし積立投資は、相場の変動にかかわらず、あらかじめ決めた購入タイミングや購入金額に従って購入するのが特徴です。長期的な資産形成を目指す投資方法となるため、相場が下がった時も金融商品を一定額で購入するだけで大量に仕込むことはありません。そのため短期間のうちに売却してまとまった利益を上げることはできません。
4 積立投資が簡単に始められるサービス4選
最近はスマホアプリで手軽に積立投資が始められるサービスが続々登場しています。ここでは、積立投資サービスをいくつかピックアップしてご紹介します。(下記の数値は2019年7月調査時点のものとなります)
4-1 One Tap BUY「つみたてロボ貯蓄」
運営会社名 | 株式会社One Tap BUY |
本社所在地 | 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー |
設立 | 2013年 |
資本金 | 44億7,452万円 (2019年7月時点) |
投資対象 | 米国株式、ETF、BDCなど |
取扱銘柄数 | 積み株コース:38銘柄(2019年7月時点) 高分配・高配当コース:7銘柄(2019年7月時点) |
参考利回り | 参考利回り(高分配・高配当コース)
種類 銘柄 年利の目安 |
「つみたてロボ貯蓄」は、スマホ専用の証券会社であるOne Tap BUYが運営する、株式投資で積立を行うことができるサービスです。
つみたてロボ貯蓄には、以下の2つのサービスがあります。
高分配・高配当コース
高分配・高配当を狙うコースは、米国の株式市場に上場しているETFやBDCを毎月買付けていくコースです。
海外ETFは米国の株式市場であるナスダック証券取引所など金融商品取引所に上場している投資信託のことを指し、BDCは投資信託のように投資家から資金を集め、中堅企業や新興企業等の事業開発を金融面及び経営面からサポートする投資会社のことです。
購入金額は3万円以上1万円単位で、購入サイクルは「毎月」の好きな日付から自由に設定可能です。自動購入・積立を行い、運用状況に応じて分配金や配当金が貰えます。
積み株コース
米国株の中で世界的に有名な企業を中心とした株式について、定期的に一定の金額で購入し、積み立てを行うコースです。毎回の購入金額は1,000円以上1,000円単位で設定でき、事前に設定した銘柄・時期・金額に従って株式を自動的に購入し積み立ててくれます。
コスト面では、つみたてロボ貯蓄自体にサービス利用料はかかりませんが、積み株コースでは株取引の都度で取引コストが発生します(高分配・高配当コースは取引コストがかかりません)。また、米国株やBDC、ETFなどを購入するために為替手数料が発生します。
4-2 THEO
運営会社名 | 株式会社お金のデザイン |
本社所在地 | 東京都港区赤坂1-9-13 三会堂ビル1F |
設立 | 2013年 |
資本金 / 資本準備金 | 1億円 / 120億2392万4861円(2019年3月22日現在) |
投資対象 | 海外ETF |
取扱銘柄数 | 最大約30銘柄 |
参考利回り | 【リスクカテゴリ】期待利回り範囲 【低リスク】利回り9%〜12% 【中リスク】利回り12%〜16% 【高リスク】利回り16%〜19% ※2016年3月から2018年4月までの実績値: |
THEOは投資一任型のロボアドバイザーで、株式会社お金のデザインがサービスを提供しています。投資一任型とは、顧客の年収や資産額などの投資条件や投資を行う場合のリスク許容度などから、その顧客に最適な運用プランを構築、金融商品の購入から最適化までの資産運用を行ってくれるサービスです。
THEOには、「THEO積立」という積立投資サービスが用意されています。THEO積立では、毎月または自由に選んだ月に事前に決めた金額で、機械的に積み立てることができます。
投資対象は海外ETF(海外の上場投資信託)で、世界86の国・地域、1万1,000以上の豊富な銘柄を対象とし、地理的な広がり・銘柄の多様化によって可能な限りリスク分散を図っています。毎回の積立額は、1万円から1,000円刻みで自由に設定することができます。
手数料は預かり資産の1%(年率)となっていますが、毎月の積立と対象期間内に出金していないことを条件として、預かり資産の額によって年率0.65%まで手数料の割引特典があります。また、運用資産額が3,000万円を超える部分については、0.5%と安くなっています。
4-3 ウェルスナビ
運営会社名 | ウェルスナビ株式会社 |
本社所在地 | 東京都渋谷区渋谷2-17-5 シオノギ渋谷ビル12F |
設立 | 2015年 |
資本金 | 37億998万円(資本剰余金含む)※2019年5月24日現在 |
投資対象 | 米国ETF |
取扱銘柄数 | 6~7つの海外上場ETFを通じ 、世界約50カ国1万1000銘柄に分散投資 |
リスク許容度別リターン | 【リスク許容度1】参考リターン +7.6% 【リスク許容度2】参考リターン +11.8% 【リスク許容度3】参考リターン +14.4% 【リスク許容度4】参考リターン +17.0% 【リスク許容度5】参考リターン +18.6% ※ウェルスナビがサービスを開始した2016年1月に100万円、その翌月から2019年6月まで毎月3万円ずつ積み立てながら投資した場合のもの。 |
ウェルスナビは、THEOと同じく投資一任型のロボアドバイザーで、株式会社ウェルスナビがサービスを提供しています。ウェルスナビは利用者数12万人、預かり資産1,600億円超(2019年7月時点)と国内トップの規模・実績を有するロボアドです。
投資一任型のため、顧客の投資条件やリスク許容度から顧客に最適な運用プランを作成・運用してくれます。ウェルスナビもTHEOと同様に、あらかじめ設定したタイミングと金額で自動的に金融商品を購入して運用・積立を行ってくれる「自動積立」のメニューがあります。
投資対象はTHEOと同様に海外ETFですが、世界50カ国・11,000銘柄を対象とした分散投資を行いリスクの軽減を図っています。積立額は1万円からで、月1回定額、月5回定額、複数回定額、カスタムの4コースの中から選ぶことができます。
手数料は預かり資産の1%(年率)となっていますが、預かり資産の額によって最大で年率0.9%まで手数料が割り引かれる特典があります。また、運用資産額が3,000万円を超える部分については0.5%と安くなっています。
5 まとめ
積立投資は、「少額から可能」「複利効果がある」「リスクが軽減される」など多くのメリットがある投資法です。その反面、短期的なリターンはあまり期待できず、手数料がかかるといったデメリットもあります。
積立投資サービスを提供する金融機関・証券会社は様々あり、サービス内容も異なるため、積立投資を始める場合はメリットとデメリットを十分に認識することが重要です。その中で投資経験の有無や運用可能な資金など、それぞれの考え方や価値観に基づいて検討してみると良いでしょう。
Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
将来の資産形成に。積立投資のメリット・デメリットと注目サービス3選