ユヴェントスFCトークンから実感出来る、インターオペラビリティの重要性
こんにちは。ストラテジーグループの大島(@takuji0807)です。
先日、ユヴェントスFCのファントークンがSocios.comを通じて発行されました。アプリもリリースされたとのことで早速インストールして色々と触ってみたのですが、アレ?と思うことがあったので書いていこうと思います。端的に言えば、Binanceで手に入れたCHZでファントークンを買う際には注意が必要だよというお話です。というお話です。
※2019/12/9訂正※
PC版のBinanceを利用することでファントークンが買える手順があることが判明しましたので、その旨訂正しております。
1.ファントークンって何?
簡単に説明してしまえば、ブロックチェーン上で管理されるファンクラブ会員権のようなものでしょうか。マルタに拠点を置くChilliz(チリーズ)という会社の運営するSocios.comというサービスで手に入れることができ、このファントークンを持っていると下記のような特典を受けることが出来るようです。
- 何かしらの意思決定の際に投票することが出来る
- ファンイベントで特別な体験が出来る
- グッズの特別割引を受けられる、などなど
今回発行されたユヴェントスFCトークンは、ゴール後にスタジアムで流れる曲を決めるための投票に使われています。他にも投票可能なテーマは出てくる予定であり、チーム運営の意思決定にファンとして携わることが出来るのはファン冥利に尽きることです。
Socios.comでは主にサッカーチームとの提携が進んでいるようで、中田英寿が所属していた名門ASローマや、日本代表の長友が所属するガラタサライもファントークンの発行が予定されています。また、今回ファントークンを発行したユヴェントスFCは『イタリアの貴婦人』とも呼ばれるセリエAを代表する歴史あるチームで(現在なんとセリエA8連覇中!)、サッカーファンでなくても知ってるクリスティアーノ・ロナウドも所属しているチームです。このようなチームがファントークンを導入したということはサッカー界にとってとても大きいことで、今後多くのチームに広まっていくことが予想されます。
更に、Socios.comでは今後ファントークンをファン同士で取引可能とする機能も開発中とのことです。ここまでくるとファントークンはタダの会員カードでは無くなってきて、発行しているサッカークラブとファンにとっては下記のようなメリットが生まれると予想されます。
- ファンであることが自らの資産になる
- ファントークンが高値になるよう、コミュニティに貢献するファンが増える
- 取引額の一部がクラブに還元され、クラブにとって新しい収益源となる
- 更に充実したファンサービスが実現され、より濃いファンが生まれる&新規ファンの獲得につながる
つまりは「サッカークラブというものを中心としたトークンエコノミーが実現されていくよ」ということで、”資金調達からファン作りまで”を実現し得るサービスです。
2.ファントークンの入手方法
さて、このようなファントークンですが、入手するためには下記の手順を踏む必要があります。
- Chillizが発行している仮想通貨「CHZ」を入手
- CHZをSocios.comのWalletに送金
- CHZをSocios.comのアプリ上でファントークンに交換
ということで、まずはCHZを手に入れるところからスタートです。今のところCHZの入手方法は下記の2つとなっています。
・Socios.comアプリ上で入手
アプリにはWallet機能が具備されており、ここからクレジットカードでCHZを購入することが可能です。この場合②のWalletへの送金手順は不要となります。
アプリの購入画面。CHZをクレジットカードで購入することが出来る
・仮想通貨交換所で入手
CHZは下記の交換所で上場していますので、いずれかの交換所のアカウントを持っていれば入手することが可能です。
- Binance DEX(2019/7/1 上場)※日本には解放されていません
- Binance(2019/9/5 上場)
- Crypto.com(2019/11/12 上場)
- Bitfinex(2019/11/15 上場)
仮想通貨交換所でCHZを入手したら、Socios.comのWalletに送金してアプリ上でファントークンを購入出来るわけですが、ここに注意すべき点が存在します。
3.ERC20とBEP2
CHZは元々ERC20で発行されていましたが、Binanceで上場した際にBEP2(Binanceの独自ブロックチェーン)に鞍替えされました。しかしCrypto.comとBitfinexではERC20での上場のため、同じCHZでもBEP2のものとERC20のものが存在しています。
そんな状況のCHZなわけですが、Socios.comのWalletではERC20のCHZしか受け取ることが出来ません。
アプリのWallet画面。ERC-20のAddressだよと記載されている
よって、Binanceで購入したCHZはERC20に変換して送金する手順が求められます。
- 参考)Binance.Com – ERC-20出金方法ガイドライン
- https://www.chiliz.com/jp/withdraw-erc-binance-jp/
4.UXを改善するためのインターオペラビリティ
このように、同じ通貨でも異なるチェーンで管理されている場合、サービスの不便さに繋がります。今までdAppsのUXの悪さと言えば「仮想通貨及びトークンを手に入れるまでのステップ」が例に挙げられていましたが、もしBEP2⇔ERC20間のコインの移行が不可能であったならば、仮想通貨を手に入れた後にも悪い体験が待っていたことになります。
よく「価値の流通をより滑らかにするため」という文脈でインターオペラビリティの重要性が語られておりますが、インターオペラビリティを実現する技術が解決することには、UXの改善も含まれます。今回のCHZで言えば、今までは不可能だったCHZのBEP2⇔ERC20間の移行を可能としたことで、大幅にUXを改善したと言えるでしょう。インターオペラビリティを実現する技術としてPolkadotやCosmosなどのプロジェクトが盛り上がっており、それらは確実にニーズが存在し、非常に現実的な課題解決、エンドユーザーのペイン解消に資する技術ということです。
Socios.comのような実サービスを通じて顧客ニーズや課題が明確化され、PolkadotやCosmosのようなプロジェクトでそれらを解決していく。それらのサイクルによって世の中が変わっていく。そういったドラスティックな変化を間近で見ることが出来るのは非常に幸せなことであり、私自身もその変化を生み出す一員として尽力していきたいと思います。
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