不動産投資ローン、都市銀行・地銀・公庫・ノンバンクの特徴を比較

不動産投資ローンを提供している金融機関は数多くありますが、不動産投資を効率的に進めるには各金融機関の融資傾向を知ることは重要です。

各金融機関によって融資の審査基準や融資条件は様々ですが、大まかに「都市銀行」「地方銀行」「日本政策金融公庫」「ノンバンク」という金融機関の4つの種類によって特徴があるといえます。

2020年8月現在、これらの4つの金融機関の種類ごとにどのような条件でパッケージ型不動産投資ローンを用意しているのか、審査基準はどのように設定されているのかなどを整理して比較します。そのうえで、各金融機関を不動産投資に利用する戦略についても見て行きましょう。

目次

  1. 不動産投資ローン、都市銀行・地銀・公庫・ノンバンクの特徴
    1-1.都市銀行:高属性・高担保価値であれば好条件で利用可能
    1-2.地方銀行:地縁のある方が築浅物件に利用
    1-3.日本政策金融公庫:審査基準は柔軟だが、融資期間は短い
    1-4.ノンバンク:審査基準は柔軟な反面、高金利
  2. まとめ

1.不動産投資ローン、都市銀行・地銀・公庫・ノンバンクの特徴

まず、都市銀行、地方銀行、日本政策金融公庫、ノンバンク、の4つの種類の金融機関の大まかな特徴と、不動産投資で利用する場合の戦略を一覧表で整理すると次のようになります。

金融機関 特徴 利用戦略
都市銀行 融資審査基準は厳しい 高属性の方が高担保価値の物件に、好条件で利用
地方銀行 都市銀行よりは審査基準は緩めだが、耐用年数以内の融資期間になるケースが多い 地縁のある方が築浅の物件に利用
日本政策金融公庫 審査基準は柔軟だが、融資期間は原則10年以内 築古物件や高利回りの物件に利用
ノンバンク 審査基準はかなり柔軟だが、高金利、高手数料 他の金融機関の融資を受けられない高利回りの物件で利用

大まかには、都市銀行>地方銀行>日本政策金融公庫>ノンバンクの順に、融資の審査基準が厳しいといえます。

不動産投資ローンの利用を検討する場合、基本的にはこの順番で利用できるかどうかを検討するのが効率的です。以下で、それぞれの金融機関ごとに具体的な内容を説明していきます。

1-1.都市銀行:高属性・高担保物件であれば好条件で利用可能

都市銀行として代表的な金融機関は、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行です。都市銀行は1%台の低金利で20年以上の長期借入が可能ですが、融資の審査条件が非常に厳しいことが特徴です。

対象物件のエリアは全国規模ですが、原則として残存耐用年数の範囲で融資期間が設定されます。そのため、RCの築年が浅めの物件や、大都市の土地の路線価が高い地域などが向いていると言えるでしょう。

以前は、都市銀行から不動産投資ローンとして融資を受けられるのは、極めて収入の高い人や資産家、または既に不動産賃貸業の実績を上げている方などに限定されていましたが、現在は各行ともアパートローンという名目で不動産投資ローンの商品があり、条件を満たせば融資を受けられる可能性は十分にあるでしょう。

りそな銀行では、個人の資産管理を目的とする資産管理会社向けのアパート・マンションローンもあります。

なお、みずほ銀行は利用できる方の属性を明らかにしており、満20歳以上で、前年度税込年収200万円以上の安定した収入のある方、が条件となっています。しかし、都市銀行の年収属性基準については、現実的に1,000万円以上がボーダラインとなります。

一方、三菱UFJ銀行には不動産投資ローンという商品がありません。まったく受け付けないというわけではないものの、都市銀行の中でも個人投資家への融資条件はかなり厳しいと推測されます。

1-2.地方銀行:地縁のある方が築浅物件に利用

地方銀行で、不動産投資ローン商品を扱っている銀行としては、横浜銀行、千葉銀行、静岡銀行、みなと銀行などがあります。

都市銀行よりは、対象物件、個人の属性ともに地縁を重視して、比較的審査基準を緩めに設定しています。しかし、その代わり営業エリアの関係上、対象物件の地域が狭く、融資を受ける方の居住地が重視されるケースもあります。

各行によって融資条件は様々ですが、金利相場は1.5%~4.5%程度となります。また、借入期間については、たとえば横浜銀行のアパートローンの説明書ではいずれも耐用年数以内となっており、都市銀行と同様、築浅物件でないと厳しいといえるでしょう。

属性は、たとえば、静岡銀行のアパートローンでは、安定継続した年収が100万円以上、同一勤務先に3年以上または同一事業に3年以上従事している方、となっています。投資物件のパフォーマンスにもよりますが、年収500万円以上から融資に通りやすくなります。

居住地域や自営業の営業地域などに支店があったり、購入検討物件の地域に支店があるなどの地縁がある場合には利用を検討したい銀行といえるでしょう。

1-3.日本政策金融公庫:審査基準は柔軟だが、融資期間は短い

日本政策金融公庫は財務省管轄の政府系金融機関であり、政府の政策に沿って、創業支援、ソーシャルビジネス支援、事業再生支援などを積極的に行い、営利目的の民間金融機関の融資を補う役割を担っています。

不動産投資ローンという商品はありませんが、国民生活事業あるいは、中小企業事業の一般貸付として、不動産賃貸業向けの融資を行っています。

個人の属性にもこだわることなく、女性や若者、シニアの起業家に対する優遇措置などを行っているのが特徴です。融資エリアも全国にわたり金利は0.71%~2.2%と低いですが、融資期間は原則10年以内と短期に設定されています。

他の金融機関では融資を受けられないような物件でも、事業性が高いと判断されれば、融資を受けられる可能性があります。

収入や年齢などの属性面から他の金融機関の審査に通るかどうか不安のある方や、シェアハウスや民泊などの事業性は高いが他の金融機関での不動産投資ローンの対象にならないケースでは検討したい金融機関といえます。

ただし、融資期間が短いため低利回り物件だと月々のキャッシュフローがマイナスとなり、融資が受けられない可能性があります。新築アパート・マンションや、ワンルームマンション投資には不向きといえるでしょう。

1-4.ノンバンク:審査基準は柔軟な反面、高金利

ノンバンクとは、預金業務を行わず貸し付け業務のみを行う金融機関を指します。

クレジットカード会社や信販会社などが多く、不動産投資ローンを商品として扱っている代表的なノンバンクには、オリックス銀行、三井住友トラスト・ローン&ファイナンス、セゾンファンデックスなどがあります。

金利は2.3%~4.4%と高めですが、融資期間は25年~35年までと比較的長く、不動産の担保評価について独自の基準を設けており、融資の審査基準はかなり柔軟に設定されています。

融資エリアも全国の都市部にわたっており、他の金融機関では融資を受けるのが困難とされる木造の耐用年数超過物件や再建築不可物件などであっても、担保評価があると認められれば融資を出す場合もあります。

しかし、借入時の事務手数料や繰上げ返済時の違約金が借入金額の2%程度に設定されており、他の金融機関と比較すると高い傾向があります。

オリックス銀行では、審査基準について前年度税込み年収700万円以上で物件の耐用年数と築年数を考慮するとしており、ノンバンクの中では厳しめの基準といえるでしょう。

収入、資産などの属性面で不安のある方や、築古物件などリスクの高い物件を高利回りで運用したい方には、使い勝手の良い金融機関といえます。

まとめ

今回は4つの金融機関の種類ごとにどのような条件でパッケージ型不動産投資ローンを用意しているのか、審査基準はどのように設定されているのかなどを整理してご紹介しました。

本記事でご紹介した4つの種類の金融機関の特徴は大まかな目安となります。特に、地方銀行などは、各銀行や融資を希望する個人の方の属性、対象物件の状況によって、融資条件は大きく変わります。

実際に融資を申し込む際は、それぞれの特徴を踏まえたうえで複数の金融機関を比較検討し、場合によっては融資条件について交渉していく姿勢が大切です。

Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
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