REIT(Jリート)の利回りはどれくらい?平均値を投資信託と比較
少額投資が可能な金融商品の1つにREIT(Jリート)というものがあります。この商品は株式やETFなどの配当利回りと比べて分配金利回りが高いという特徴を持っており、投資先として気になっている方もいらっしゃると思います。
そこで今回は日本版REIT「Jリート」の利回りについて詳しく解説していきたいと思います。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- REIT(Jリート)とは
1-1.Jリートが投資する不動産 - Jリートの利回りはどれくらいなのか
2-1.Jリートと上場投資信託の利回りを比較
2-2.なぜJリートの分配金利回りは高いのか - Jリートに投資をするメリット
3-1.少額投資ができる
3-2.分散投資ができる
3-3.専門家に運用してもらえる
3-4.換金性が高い - Jリートに投資をするデメリット
4-1.相場の変動が激しい
4-2.災害リスクなどさまざまなリスクがある
4-3.投資法人が倒産する可能性がある - まとめ
1.REIT(Jリート)とは
REITとは、不動産投資信託(Real Estate Investment Trustの頭文字を取った略称)とも呼ばれており、投資家から資金を集めて不動産を運用し、そこで発生した家賃収入などをもとにして投資家に利益分配する仕組みの金融商品のことをいいます。日本では、2001年9月に市場が創設され、日本版不動産投資信託として「Jリート」と呼ばれています。
また、REITは上場投資信託(ETF)のように証券市場に上場しているため、証券会社を通じて売買されます。ちなみに、投資信託と名前こそついているものの、株式銘柄と同じように売買取引が可能な投資商品となります。
1-1.Jリートが投資する不動産
Jリートは不動産投資信託ですので、投資先は不動産になります。また、投資法人によって投資をする不動産の種類は異なり、特定の用途を持つ不動産への投資に特化した投資法人や、複数の用途の不動産に投資する投資法人など、さまざまなものがあります。
具体的には、以下のような不動産が投資対象となります。
- オフィスビル
- 商業施設
- ホテル
- 賃貸住宅
- 物流施設
- 底地
- 駐車場
- インフラ施設
- シニア施設
2.Jリートの利回りはどれくらいなのか
では、Jリートの分配金利回りが実際どれくらいなのか見ていきましょう。
日本取引所グループが発表している「月間REIT(リート)レポート(2020年8月版)」によれば、2020年8月末時点でのREITの予想分配金利回りは4.13%でした。
東京証券取引所に上場しているREIT全62銘柄のうち、年間予想分配金利回りは以下のような割合になっています。
- 7%以上:4銘柄
- 6%以上7%未満:5銘柄
- 5%以上6%未満:15銘柄
- 4%以上5%未満:19銘柄
- 3%以上4%未満:13銘柄
- 2%以下:6銘柄
全銘柄のうち、約69%の銘柄の年間予想配当利回りが4%を超えているということがわかります。
2-1.Jリートと上場投資信託の利回りを比較
Jリートの分配金利回りと、同じく株式市場に上場している「上場投資信託(ETF)」の分配金利回りを比較してみましょう。
日本取引所グループが発表しているレポート「【ETF(上場投信)で好利回り投資】分配金に着目したETF投資のご紹介(2019年6月版)」によると、2018年4月~2019年3月の1年間におけるETF銘柄の利回り平均は2.15%となっています。
また、2019年3月29日時点のETFの実績分配金利回りの割合は以下のようになっています。
- 4%以上:3銘柄
- 3%以上4%未満:31銘柄
- 2%以上3%未満:44銘柄
- 1%以上2%未満:63銘柄
- 1%未満:13銘柄
分配金配当利回りが4%を超えるのは、154銘柄のうち約2%の3銘柄であることがわかります。
このように、Jリートと上場投資信託で比較した場合、Jリートの分配金利回りのほうが高いケースが多いということになります。
2-2.なぜJリートの分配金利回りは高いのか
では、どうしてJリートの分配金利回りは高いのかというと、一般的なREITが投資法人という特別な法人によって運用されていることと、投資法人に対する課税の特例があることが関係しています。
実は「租税特別措置法」という法律によって、投資法人に対する課税の特例が認められています。その内容は、一定の要件を満たす投資法人が発生した収益の90%を超える金額を分配金として支給した場合、その金額を損金に算入することができる、というものです。わかりやすくいえば、分配金を経費とすることができるため、法人税がほとんど発生しないということです。
このような特例を受けるために、投資法人は利益(=所得)のほとんどを投資家に分配することになります。そのため、Jリートは投資家に対して分配金を出しやすい商品であるといえるのです。
3.Jリートに投資をするメリット
ここからは、Jリートに投資をするメリットについて解説したいと思います。分配金利回りが高い以外にも、以下のようなメリットがあります。
- 少額投資ができる
- 分散投資ができる
- 専門家によって運用してもらえる
- 換金性が高い
それぞれ詳しく見ていきましょう。
3-1.少額投資ができる
少額投資ができるというのが、Jリートに投資するメリットの1つです。
実際に不動産に投資をする場合、最低でも数千万円単位の資金が必要になり、それが個人で不動産投資を行う場合のリスクとなります。しかしJリートの場合は、不動産に投資可能な証券(=金融商品)となっているため、1万円~100万円程度の資金があれば投資可能です。
3-2.分散投資ができる
分散投資ができるというのも、Jリートに投資をするメリットとなります。
実際の不動産投資では、資金が多く必要になるため分散投資をすることが難しくなります。また、物件を1棟購入したとしても、空室が発生した場合は収益が減ってしまい、さらに管理費などの経費が掛かるため、収益がマイナスになることもあります。
Jリートでは、複数の不動産に投資をするため、投資そのものが分散投資になり、投資に係るリスクを軽減することができます。また、投資法人や商品によってさまざまな不動産に投資できるため、物件の用途や地域なども分散することが可能です。
3-3.専門家に運用してもらえる
専門家が運用してくれるというのも、Jリートに投資をするメリットです。
不動産投資では、物件の管理や手続き、不動産の選定、収益分析など、専門的な知識がなければ対応が難しかったり、煩わしさを感じてしまったりすることがあります。
一方、Jリートの場合は、不動産の売買や運営は専門家が行うことになりますので、必ずしも専門的な知識は必要ありません。また、不動産の稼働状況や収支状況を定期的に開示してくれるため、不動産の現状についても把握することができます。
3-4.換金性が高い
換金性が高いというのも、Jリートに投資をするメリットといえます。
こちらも実際の不動産投資の場合、仲介会社の選定や売却価格の設定、所定の手続きや書類集めなど、売却に対して手間が掛かってしまううえに、すぐに売却することもできません。
Jリートの場合は、証券市場に上場しているため、証券会社を通じて投資口を市場価格で取引することができます。そのため、売買に関しての手間が非常に少ないといえます。
4.Jリートに投資をするデメリット
一方で、Jリートに投資するには、以下のようなデメリットもあります。
- 相場の変動が激しい
- 災害リスクなどさまざまなリスクがある
- 投資法人が倒産する可能性がある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
4-1.相場の変動が激しい
実際の不動産投資と比較して、Jリートは相場の価格変動が激しいというのがデメリットとなります。
そもそもJリートは証券市場に上場して取引されているため、元本保証はありませんし、需要と供給の関係によってその価格は変動することになります。そのため、実物の不動産と比較して、値動きが激しい高ボラティリティの金融商品であることを理解しておかなくてはなりません。
4-2.災害リスクなどさまざまなリスクがある
災害リスクを含め、さまざまなリスクがあるということも、Jリートに投資をするデメリットです。
Jリートは不動産を投資対象としているため、何らかの災害が発生して対象の不動産が被災した場合は、収益が減少したり、消失したりする可能性があります。特に日本は、台風や地震などの自然災害が発生しやすいため、そのリスクは比較的高い地域となっています。
また、Jリートにはそれ以外にもさまざまなリスクが存在します。
- 収益変動リスク
- 金利変動リスク
- 法律や税制の変更リスク など
Jリートに投資をする投資家は分配金を受け取る権利を持つことになりますが、分配金は確定されたものではなく、さまざまな要因によって減少する可能性があります。
また、投資家からの資金以外にも金融機関から借入を行って不動産を取得しているため、金利の変動によって基準価額が変動することがあります。
さらに、現行の法律や税制などが変更されることによって、不動産の価値や資産、元本の価値が変動する可能性もあります。
このように、さまざまなリスクを含んだ金融商品であることを把握しておく必要があります。
4-3.投資法人が倒産する可能性がある
Jリートを運用する投資法人が倒産する可能性があるというのも、Jリートに投資をするデメリットといえます。
投資法人は一般の企業と同じように倒産する可能性があります。投資法人が倒産した場合は、不動産が売却されるため投資資金は返金されますが、全額必ず戻ってくる保証はありません。
また、上場廃止基準に達した場合は、投資をしているJリートが上場廃止になることもあります。これは実物の不動産投資にはないリスクといえます。
まとめ
今回はJリートの分配金利回りや投資するメリット、デメリットについて解説しました。投資法人が運用することで法人税の特例を適用できるREITは、ETFと比較しても分配金利回りが高い商品です。
その他にもさまざまなメリットがありますが、デメリットやリスクもある金融商品ですので、購入する場合は慎重に検討するようにしてください。
Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
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