IPOが当たらない…当選確率を上げる方法やセカンダリー投資も解説
IPO(新規上場株式)投資は、ハイリターンが狙えるため株式投資の中でも人気があります。IPO株は上場後に値上がりするケースが多く、リターンも期待できるものの、購入希望が殺到することから購入すること自体が難しく、抽選結果で明暗がわかれるのも特徴です。
そこでこの記事では、IPO投資を検討している方や、抽選でなかなか当たらないという方向けに、IPOの当選確率を上げる方法や、抽選に外れた場合の選択肢「セカンダリー投資」などについてご紹介するので、参考にしてみてください。
目次
- IPOとは
1-1.高リターンを期待できる株式投資
1-2.IPO株購入の流れ
1-3.IPO株の購入可否は「抽選」で決まるケースが多い - IPO投資で当選確率を上げる5つの方法
2-1.複数の証券会社から抽選に参加する
2-2.証券会社の窓口顧客になる
2-3.主幹事の証券会社を見極める
2-4.外れるほど当選確率が上がる証券会社もある
2-5.時間差を利用して申し込む - IPO投資がダメだった時の選択肢
3-1.セカンダリー投資のメリットは?
3-2.セカンダリー投資を始めるには?
3-3.セカンダリー投資の注意点
3-4.非上場企業の株式を購入する方法とは - まとめ
1 IPOとは
IPO(Initial Public Offering:新規株式公開)投資とは、未上場企業が新規上場にあたり売り出す株を購入することです。IPO投資は各証券会社の人気商品として提供されていますが、IPO投資の公募があるのは証券市場への上場前になるため、商品としての特性をよく理解しておくことが大切です。
まずはIPOの特徴・メリットを確認してみましょう。
1-1 高リターンを期待できる株式投資
IPO株には上場前に公募価格(専門家による査定価格で株主募集に使われるもの)が設定されます。そして、株式市場で公開された場合、その初値が公募価格を上回るケースが多く見られます。
例えば、2019年の通常株式のIPO案件86件中、76件で初値が公募価格を上回っています。2018年は約88%、2017年は約89%の案件でIPO株の初値は公募価格を上回っています。
また、初値が公募価格の2倍以上になるケースもあるなど、一般的な株式と比較して収益幅も大きいことから、プロから初心者まで人気の高い投資方法となっています。
1-2 IPO株購入の流れ
IPO投資に参加する流れは次の通りです。
IPOの承認
上場する証券市場の基準に従った審査を受け、企業の上場について承認を受けます。
仮条件の決定
IPOを行う企業の公募価格は、主幹事会社(株式公開までのサポートを中心的に行う証券会社)を中心に値幅が決定されます。なお、主幹事となる証券会社以外にも幹事会社は複数あります。
ブックビルディング
投資家は幹事会社を通して、「いくらで何株欲しい」という抽選参加への意思表示(=ブックビルディング)を行います。ブックビルディングは5日程度で終わりますが、IPO株は購入希望者の需要が発行予定株式数を上回ることが多いため、抽選で購入者を決定することになります。
投資家は、この時点で必要になる投資資金や、抽選への参加料金が必要になるので、前もって準備しておきます。なお、抽選への参加料金が無料だったり、当選前の投資資金の準備が不要な証券会社もあったりします。
公募価格の設定
公募価格はブックビルディングの結果により決定します。発行価格×有効申込株数以上の買付余力がないと抽選の対象から外れる場合があるので、ブックビルディング時には買付余力に余裕を持たせるのもポイントです。
抽選、購入
証券会社の抽選方式に従って、抽選参加者の中から当選者が決定されます。証券会社の中には当選した場合のキャンセルができないところもあるので、よく確認しておく必要があります。また、購入申し込みが公募価格の設定後、抽選前に行われるケースもあれば、抽選の後に行われるケースもあります。
1-3 IPO株の購入可否は「抽選」で決まるケースが多い
IPO株は、発行された株式数を幹事証券会社が分配し、それぞれで購入希望者を募って販売されます。このとき、店舗窓口や対面サービスのある証券会社では、預託金の大きい投資家や取引実績のある「お得意様」に優先的にIPO株を販売しており、抽選よりも多くの株式数が割り当てられていることがあります。こうした企業は規模も大きく、主幹事となっているケースも多くあります。
一方、ネット専業の証券会社では、すべてのIPO株が抽選によって分配されるのが原則です。しかし、その分配は各社のルールに任されており、必ずしも一定ではなかったり、平等でなかったりします。
IPO株では、この「抽選」でいかに当選するかが大切です。特に投資初心者や個人投資家は証券会社のお得意様になることも簡単ではないため、抽選を意識した準備が必要になってきます。
2 IPO投資で当選確率を上げる5つの方法
IPO投資で当選確率を上げ、収益を確保するためにはどのような準備が必要でしょうか。主な方法をご紹介します。
2-1 複数の証券会社から抽選に参加する
最もシンプルで取り組みやすい方法の一つは、「複数の証券会社から抽選に参加する」ことです。同じIPO案件へのブックビルディングは、1人1回しか行うことができませんが、別の証券会社から参加することは可能です。
そこで、IPOが可能な複数の証券会社で口座を作っておいて、期待できる案件があればできるだけ多く申し込むことで当選確率を上げることができます。
ただし、抽選に参加料が必要なケースや、ブックビルディング時から購入資金が拘束されるケースもあるので、できるだけ資金面で負担のない証券会社を選ぶようにすることも大切です。
2-2 証券会社の窓口顧客になる
実店舗を持っている証券会社の場合、窓口顧客になることでIPO株の購入チャンスを高めることができます。窓口顧客だとしても、オンライントレードはサービスとして提供されているので、ネット経由でのブックビルディングへの参加は可能です。
お得意様になると担当者からIPOに関する情報が入る機会が増えたり、購入について提案をもらえたりする場合もあります。すぐに取引実績を増やすことはできないとしても、中長期的に証券会社との関係を作っておくことで有利になっていくでしょう。
実店舗を持つ証券会社は、IPOに際して主幹事や幹事会社となるケースも多く、割り当てられる株式数も多めです。さまざまな手数料は高くなりますが、IPOを中心にした投資を考えている場合は検討してみましょう。
2-3 主幹事の証券会社を見極める
主幹事の証券会社ほどIPO株の割り当てが多くなります。そのため、主幹事の多い証券会社で口座を作ると、それだけIPOにおいて当選しやすくなります。IPO案件では、どの企業が幹事証券会社として参加したかが確認できるようになっているので、情報を集めて口座を作っておくのも良いでしょう。
なお、割り当て数の割合には注意も必要です。IPO株の割り当てが多い企業でも、窓口顧客を抱えている場合、大部分がそちらに流れていくため、抽選での競争率がかえって高くなる可能性があります。
さらに、IPO株の割り当て数や幹事会社となる回数が多く、100%抽選で当選者を選ぶ証券会社だとしても、口座開設者が多い場合、当選は厳しくなります。
割り当て株式数、抽選に割り当てられる割合、ユーザー数、コストなど、さまざまな条件を考慮して口座を開設する証券会社を選ぶことが大切です。そのため普段の取引とは別に、別会社でIPO用の証券口座を開設している方も見られます。
2-4 外れるほど当選確率の上がる証券会社もある
IPO抽選のためのルールは各社によって違いがあります。ネット証券の多くでは、利用実績に応じてユーザーをランク分けしており、そのランクによって当選確率に多少の優劣をつけています。そのため、当選確率アップのための基本戦略は、利用している証券口座でしっかりと取引を続けることです。
特にネット証券会社の中でも、SBI証券はIPOに関してユニークなルールを採用しています。SBI証券では、IPOの抽選で外れると「IPOチャレンジポイント」という特殊ポイントがたまります。個人客への配分を予定しているIPO株の30%が特別枠として準備されており、抽選に落ちた申込者のうちチャレンジポイントが多い順に当選することになっています。つまり、抽選で外れるほど次の機会で当選しやすくなるという仕組みです。
2-5 時間差を利用して申し込む
IPOの流れは証券会社によって多少違いがあるものの、中でも抽選日は大切です。IPOの抽選日はほとんど決まっていますが、証券会社で購入申し込みを抽選の前にしているか、後にしているかによって、抽選日が異なる場合があります。購入申し込み時点で必要資金を準備する必要がありますが、抽選日が異なることを利用して少ない資金でも複数の証券会社から申し込むことが可能です。
購入申し込みが終わってから抽選を行うタイプの証券会社では、数日販売が遅くなることがあります。例えばネット証券の場合、「楽天証券」「松井証券」「auカブコム証券」「GMOクリック証券」などは抽選が遅くなる証券会社です。
こうした証券会社のブックビルディングにはとりあえず参加しておいて、抽選前に販売される証券会社で外れた場合のバックアップにしておくのもポイントです。
3 IPO投資がダメだった時の選択肢
IPOの抽選に外れた場合、上場後のIPO株を活用して収益を上げる「セカンダリー投資」と呼ばれる方法や、非上場企業の株式に投資する方法があります。
セカンダリー投資とは、証券市場へ公開されたIPO株の売買によって収益化を狙う投資方法です。初値からの値上がりを期待して抽選申込・購入することをプライマリー、セカンダリーとして株式公開後の値動きを利用して収益を狙うという形になります。
セカンダリー投資は、対象の株式を売買するだけなので、通常の株式取引と異なる点はほとんどありません。しかし、IPO直後の銘柄の特性を利用することですでに公開されている株式の取引よりも大きな収益を期待できます。
3-1 セカンダリー投資のメリットは?
セカンダリー投資のメリットは、抽選結果に関係なく誰でも参加できることです。また、IPOの段階から銘柄を追いかけてきた人であれば、一般の投資家よりも多くの情報をもって取引に参加できるため有利になります。
また、IPO株は数日にわたり、他の銘柄よりも値動きの上下幅が大きくなります。そのため、短期トレードを繰り返すことで収益化を狙え、デイトレーダーにも人気があります。
IPO銘柄は、基本的にさらなる成長が期待される有望企業なので、買い手がつくように公募価格も安めに設定されています。公募割れ(初値が公募価格を下回る)の場合でも中長期の値上がりは期待できます。一般的には初値が公募価格を上回ることが多いのですが、その場合は上場後に一定数の売却も予想されます。このようにIPO株の特性を活かした戦略を立てやすいのもメリットです。
IPOでは株価だけでなく購入可能な株式数に制限があるものの、セカンダリー投資では市場が許す限り株式数の制限はありません。そのため、大きな収益を上げることも可能です。
3-2 セカンダリー投資を始めるには?
セカンダリー投資を始めるにあたり、特別な準備は必要ありません。株式の取引ができる証券会社口座と、取引に必要な資金があれば誰でも取引可能です。
3-3 セカンダリー投資の注意点
セカンダリー投資では、すでに上場して日の経っている銘柄よりも値動きの上下動が激しくなる傾向があります。そのため、大きな収益を期待しやすい反面、失敗した場合に短時間で大きな損失を発生させるリスクを伴うことになります。
また、株式には制限値幅というものがあり、一日に上下に動く値幅が定められています。この制限値幅の上限もしくは下限になると、ストップ高もしくはストップ安と呼ばれ、それ以上の取引ができなくなります。セカンダリー取引を狙う場合、ストップ高やストップ安で取引ができなくなる場合もあるので注意しましょう。
3-4 非上場企業の株式を購入する方法とは
IPOよりも前の段階、すなわち株式を上場する予定が固まっていない段階の未公開株を購入することも、IPO投資の代替手段として考えられます。
未公開株の購入手段としては、主に「企業の株主から直接購入する」「ベンチャー企業に入社してストックオプションを獲得する」「株式投資型クラウドファンディングを利用する」といったものがあり、このうち最もハードルの低い選択肢が株式投資型クラウドファンディングです。
株式投資型クラウドファンディングでは、サイト上で各非上場企業の概要や事業内容が公開されており、投資家はその情報をもとに小口で資金を出資し株主となることができます。今後、その企業が上場やM&Aといったイグジットを果たせば、取得時よりも数倍高い金額で株式を売却できる可能性があります。
一方で、イグジットに至らないまま企業が破産するなどして、大きく株価を毀損したり価値が0になったりするケースも多くあります。数年単位でIPO銘柄以上の大きな利益を得られる可能性もある一方、大きく元本を減らす可能性もあるハイリスク・ハイリターン投資となっています。
日本における株式投資型クラウドファンディングサービスには、「ファンディーノ」や「ユニコーン」「イークラウド」などがあります。いずれもベンチャーキャピタルやエンジェル投資家など、スタートアップ企業への投資のプロフェッショナルと提携してサービスを提供しています。
IPO投資のような短期的に利益を狙いにいく投資ではなく、年単位で出資先の急成長に伴う株式評価額の大幅な値上がりを期待する投資にはなりますが、成長性の高い企業への投資という観点から関心のある方は、IPO投資と併せて検討することも選択肢の一つです。
まとめ
IPO株の購入は、多くのケースで抽選が必要になります。高確率で収益化でき、また収益も大きいIPO株には、募集と同時に多くの希望者が抽選に応募します。そのため、話題になるような人気銘柄の場合、当選倍率はさらに厳しくなるのもIPO投資の特徴です。
しかし、この記事でご紹介した通り、個人投資家でもIPOの当選倍率を高める方法は様々あります。また、外れた場合はセカンダリー投資や株式投資型クラウドファンディングを狙ってみるなど、ご自身にあった方法を検討してみてください。
Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
IPOが当たらない…当選確率を上げる方法やセカンダリー投資も解説