100万円から始める資産運用、おすすめの投資対象は?メリット・デメリットも
資産運用と一言でいっても、株式や投資信託、不動産投資など多くの種類があります。そのため、十分な投資資金が貯まったにもかかわらず、どれを選ぶべきか分からず不安に思う方もいるでしょう。
そこで本記事では、100万円の元手を前提とした場合の主な投資対象を5つ紹介していきます。投資を行う際の参考にしてみてください。
目次
- 100万円で資産運用する際の投資対象5選
- 個人向け国債
2-1.個人向け国債のメリット
2-2.個人向け国債を運用する際のデメリット・注意点 - ETF(上場投資信託)
3-1.ETFのメリット
3-2.ETFを運用する際のデメリット・注意点 - 不動産小口化商品
4-1.不動産小口化商品のメリット
4-2.不動産小口化商品を運用する際のデメリット・注意点 - REIT(リート)
5-1.リートのメリット
5-2.リートを運用する際のデメリット・注意点 - 株式投資
6-1.株式投資のメリット
6-2.株式投資を運用する際のデメリット・注意点 - まとめ
1.100万円で資産運用する際の投資対象5選
100万円の余剰資金があれば、資産運用の選択肢は大きく広がります。しかし、そのぶん何から手を付けていいか分からないと悩むこともあるでしょう。ここからは、そのような方に向けて5つの主な金融商品を紹介していきます。
- 個人向け国債
- ETF
- 不動産小口化商品
- REIT
- 株式投資
2.個人向け国債・国債
国債とは、国が発行している債権のことを指します。債権は借金の証書を意味するもので、債権を購入するということは、国にお金を貸していることと同じ意味になります。
そして、借金に対しては、利息をつけて返済しなくてはならないため、その利息分が投資家の利益になります。個人向け日本国債は1万円から購入可能です。
2-1.個人向け国債・国債のメリット
個人向け国債のメリットは以下の4点です。
- 国が発行・返済をするので事実上元本が保障される
- 年に2回利息を得られる
- 郵便局や銀行など身近な所で購入できる
- 定期預金より高金利(2020年11月現在で0.05%)
金利が0.05%ということは、100万円で運用すると1年の利息は500円です。銀行の定期預金が高くても0.03%程度だということを考えると、預金より利回りは高いと判断できます。加えて、国債は国が破産しない限りは事実上元本が保障される点は大きなメリットです。
また、個人向け国債は証券会社(ネット証券を含む)・郵便局・銀行で購入可能です。証券会社によっては、キャンペーンなどで購入時にキャッシュバックをしてくれる会社もあります。
なお、個人でも通常の国債を購入することが可能です。国債の最低投資額は5万円で、金利が上昇した場合は個人向け国債よりも高い金利を得ることが可能です。ただし、途中売却をする場合は実勢金利が適用されるため、元本割れのリスクがあります。
2-2.個人向け国債・国債を運用する際のデメリット・注意点
個人向け国債は投資初心者向けの投資対象であるものの、注意点は無視できません。主な注意点は以下の2点です。
- 購入後1年間は途中解約ができない
- 最も短いものでも満期は3年
個人向け国債の種類には、3年・5年の固定金利で満期になるもの、10年の変動金利で満期になるものの3つがあります。最低でも償還までには3年を要することから、短期的に利益を得ることには向かず、あくまで年単位で資産運用を行うための手段であることを理解する必要があります。
また、国債はいつでも売却することができる一方、個人向け国債は購入後1年間は途中解約ができない点は注意したい部分です。少なくとも1年間は使わなくても良い、余剰な資金で運用するようにしましょう。
3.ETF(上場投資信託)
ETFとはExchange Traded Fundの略で、日本では上場投資信託とも呼ばれています。証券取引所に上場しているため株と同じように取引することが可能です。
ETFは株と投資信託両方の特性を持ち合わせており、個別株式よりリスクを抑えつつ、市場が開いている間は自由に売買ができるため、株式・投資信託それぞれのデメリットを敬遠する方にも投資しやすい商品となっています。
3-1.ETFのメリット
ETFの主なメリットは以下の2つです。
- 分散投資が簡単にできる
- 少額から投資ができる
- 売買がしやすい(流動性が高い)
ETFの大きなメリットの1つに「分散投資が簡単にできる点」が挙げられます。分散投資は、値動きの異なる複数の金融資産を分散して持つことで、個々の資産の値動きに左右されずにリスクを限定して収益をあげる方法です。
ETFは様々な国・地域の様々な資産を組み合わせて構成されるため、一つの銘柄だけでも分散効果が期待できます。加えて1万円前後から購入できるため、株式投資と比較すると投資しやすく、複数のETF銘柄に分散投資をすることも簡単です。
ETFは市場が開いている間は自由に売買ができるため、現金化がしやすいメリットがあります。いったん投資を始めると途中解約ができない、数ヶ月から数年の単位で資金が拘束されるといったデメリットがなく、いつでも資金を引き上げられるため、短期的な運用も可能です。
3-2.ETFを運用する際のデメリット・注意点
ETFを運用する際のデメリットは以下の通りです。
- 価格変動リスクがある
- 流動性が低いファンドもある
- 価格が指数と乖離しやすいリスクがある
ETFのデメリットの大きなデメリットの1つに価格変動リスクがあります。ETFは上場株式と同様に市場で売買ができるため、リアルタイムに取引価格が変動します。投資信託は1日に1回しか注文できず、基準価額の変動も1日1回となるため、その点において大きく性質が異なります。
また、ETFの中には流動性が低いものがある点も把握しておきましょう。これは、日々の売買高が非常に小さく、流動性が低いETFを購入してしまうと、売却時に非常に低価格でないと売れなかったり、売ること自体ができなかったりすることもあります。さらに、流動性の低いETFは少量の注文が入っただけで価格が大きく上下します。
なお、ETFは基準価額が指数に連動するように運用されるものの、実際の取引価格は市場での需要と供給によって決まります。そのため結果的に連動すべき指数の価格とはかけ離れた価格がついてしまうこともあるので注意が必要です。この点は上記のような流動性の低い銘柄などでは顕著になる場合があります。
4.不動産小口化商品
不動産小口化商品とは、特定の不動産を一口数万円~100万円程度で売り出し、不動産の賃料収入や売却益を投資額に応じて投資家に分配する商品をいいます。基本的に現物の不動産投資は少なくとも数百万円必要ですが、不動産小口化商品なら少額からでも不動産投資が可能です。
4-1.不動産小口化商品のメリット
不動産小口化商品のメリットは以下の4つです。
- 専門家が選定した物件に投資できる
- 管理の手間がかからない
- 相続税の節税対策に効果がある
- 少額で不動産投資ができる
大きなメリットの1つとして、専門家の選んだ物件に投資できることが挙げられます。事業会社は、プロの目線で採算が合う水準の賃料収入や将来価値が上昇するであろう物件を選択します。自身で物件を選ぶ手間をかけず、プロが厳選した物件に投資できる点はありがたい要素といえます。
物件管理については事業者側で行うため、管理の手間もかかりません。また、相続税の節税にも効果的です。現金の相続と比較して、同評価額の不動産を相続する場合は20%~30%ほど相続税の金額が少なくなるためです。さらに、不動産を丸ごと購入するよりも少額で済むため、誰でも購入しやすく、リスクを大きく抑えることも可能です。
また不動産は株式や債券といった資産とは異なる値動きや収益モデルを有しているため、分散投資の対象としても不動産小口化商品が役立ちます。
4-2.不動産小口化商品を運用する際のデメリット・注意点
不動産投資小口は少額から投資可能であるものの、デメリットもあります。
- まだ案件そのものが多くない
- 流動性が低く売却しづらい
- 情報開示の信憑性が低い場合がある
不動産小口化商品は、他の金融商品と比べると比較的新しい手法です。そのため、取り扱いのある事業者は限られています。また、供給が少ないぶん希少性が高いため人気が殺到しなかなか購入できないこともあります。
一方で専用のセカンダリー市場は整備されておらず、売却時の流動性リスクは無視できません。不動産は証券市場で取引できる資産と比べると流動性が極めて低く、売出から売却完了までには数ヶ月以上を要すのが通常です。
加えて不動産小口化商品はまだ知名度が低く、かつ共有持分の売却となるために購入希望者が絞られるため、利益が見込める価格での売却は難易度が高いのが現状です。
また、不動産の売買に際しては、買主側に十分な情報提供がなされなかったり、売主や仲介業者側に不利益な事実に極力触れない形で売買が行われたりする事例もあるため、不動産小口化商品でも同様のリスクがあることを踏まえ、案件を慎重に精査する必要があります。
5.REIT(リート)
4つ目はREIT(リート)です。REITはReal Estate Investment Trustの略で、不動産で運用される投資信託のことです。不動産の売却益や賃料収入を投資家の間で分配したものが利益になります。
REITは1口数万円からと、不動産小口化商品以上に安く不動産へ投資できる商品となっています。東証のREITには以下の指数があり、どの指数に連動するのかはファンドによって異なる点に注意が必要です。
- 東証REITオフィス指数
- 東証REIT商業・物流等指数
- 東証REIT商業・物流等指数
5-1.リートのメリット
リートの主なメリットは以下の3つになります。
- 高い分配利回りが期待できる
- 不動産のプロに運用を任せられる
- 少ない金額で購入できる
リートは法律上、利益の90%超を分配すれば法人税が課されないシステムです。そのため、上場株式の平均利回りの数値よりも高い分配金を得られることがあります。
また、他の不動産投資手段では物件の選定や収益分析など専門知識が求められます。現物不動産であれば、物件の管理や複雑な業務も付き物で、委託するにも知識や労力が必要です。しかし、REITは購入するだけで良く、上記のような作業も全て事業者に任せて不動産投資ができます。
数万円から投資が可能なため購入しやすく、かつ分散投資も行いやすい点もメリットだといえます。
5-2.リートを運用する際のデメリット・注意点
REITを運用する際のデメリット・注意点は、主に4つです。
- 不動産市場の影響を受けやすい
- 金利変動のリスクがある
- 地震・火災などの災害リスクがある
- 投資法人の倒産・上場廃止のリスクがある
注目すべき点の一つは、地震・火災などの災害リスクです。REITの投資対象は現物資産である不動産のため、自然災害による影響を直に受けます。場合によっては、物件の価値や収益が下がり分配金が減少する可能性があります。
例えば、2020年現在では、ホテル系のREITはコロナウィルスの影響により物件の収益が激減し、同時に分配金が激減しています。前期比で9割以上も分配金が減り、REIT価格も急落しているというファンドも存在します。
また、一般の企業と同様に倒産のリスクがある点にも注意が必要です。投資法人が破産しても所有する不動産の価値がゼロになるわけではなく、資産整理時の売却による資金で投資資金が返金されることもあります。ただし、返金額が元本を下回る可能性はあります。
他にも、REITは不動産市場の影響を直に受けるため、動向を把握しておく必要があります。不動産市場は株価などとは市況の動きが異なるほか、アセットタイプによっても値動きが変動するため、専門的な情報収集も必要となります。
例えば、コロナウィルスの影響で現在オフィスが縮小傾向にあるため、オフィスREITは収益性悪化により下落基調にある一方、宅配の増加で物流REITが人気化しているといった事例もあります。
また、不動産は融資を受けて購入するのが一般的であるため、借入金利が上昇すればREITの収益も悪化する点にも注意が必要です。
6.株式投資
5つ目は株式投資です。株式投資は、企業が経営資金を調達するために発行した株式を対象にする投資です。株式を売買することで得られる売買差益と、決められた月に受け取れる配当金が主な利益です。
株式の売買は基本的に100株単位で行います。そのため、株価を100倍にした値が株式を購入するための値段となります。例えば、株価が1,000円の株式であれば、10万円から購入可能です。株価は100円以下から1万円を超えるものまで様々な銘柄があります。
なお、株式に投資することは、企業に投資することに他なりません。そのため、購入を検討する銘柄が今後どのようになるのかを想定して売買をすることが大切です。その判断尺度の一つとして、例えば、簡単に計算できる以下の項目などは把握しておきましょう。いずれも現状の株価が割安か割高かどうかを推定する指標の代表的なものです。
項目 | 計算方法 | 解説 |
---|---|---|
RER | 時価総額÷純資産 | 株価収益率。倍率が高いほど割高、低いほど割安を示す |
PBR | 株価÷一株当たり純利益 | 株価純資産倍率。1倍を下回るほど割安、1倍を上回るほど割高を示す |
また、株式投資を行う場合は、NISAを活用するのも1つの方法です。年間の投資額が120万円であれば、金額内で購入した株式の売却益・配当が非課税となります。
6-1.株式投資のメリットとは
株式投資には、投資信託やREITなどにはないメリットがあります。株式投資の主なメリットは以下の3つです。
- 値上がり益を狙える
- 銘柄により配当金が貰える
- 銘柄により株主優待が貰える(日本株限定)
- インフレヘッジができる
株式投資の代表的なメリットは、値上がり益が狙えることです。購入時の株価よりも高く売却できれば、その差額が利益となります。大きく株価が上昇すれば、その分利益も高くなる点はメリット的です。
株価は企業の業績や将来性の評価により変動するほか、市況によっても大きく左右されます。景気が良い時や市場にお金(マネタリーベース)が多く出回っている際には市場全体で株価が上昇するため、インフレによる資産の目減りリスクにも強い資産だといえます。
また、投資先の企業が利益を上げた場合、配当金として利益の一部が株主に還元されることが一般的です。配当金は企業の利益が確定する決算の後に、年に1回~2回程度、1株あたりで計算され、所定のタイミングで株主に分配されます。配当金の額は銘柄によって異なるほか、変動することも多く、また無配の企業もあるので、購入時によく確認することが必要です。
株主優待は全ての企業が行っているわけではありませんが、株主に対するお礼の一環として株主優待品を提供するという日本企業独特の制度です。例えばオリエンタルランドでは、ディズニーランド・シーの株主用パスポートなどが株主優待券となっています。
ただし、株主優待や配当を受け取れる権利が確定する日を過ぎた際には、株価が下落することが多い点は覚えておきましょう。
6-2.株式投資を行う際の注意点
株式投資を行う際の注意点は主に3つあります。
- 価格変動のリスクがある
- 市場の影響を受けやすい
- 銘柄選びは簡単ではない
株式市場では、金融市場などの影響を受けやすい点に注意が必要です。例えば、コロナウィルスの感染爆発が世界中の懸念となった当初は各国で大きく株価が下落したものの、その後の大規模な金融政策により、2020年11月現在では、日本などでパンデミック以前よりも株価が上昇する状況となっています。
大幅な株価変動を呈した銘柄の一例として、コロナウィルス以後の感染拡大後、飛躍的に使用機会が伸びた米国のZOOM社は、2020年9月1日には株価が1日で4割以上も上昇しました。このように株式の値動きは他の資産に比べ激しい傾向にあり、市場の影響を大きく受けることから、購入のタイミングに加え、世の中や企業がどのように変化していくのかまで想定して銘柄を選定することが必要です。
まとめ
本記事では、100万円から資産運用を始める際の投資対象5つについて解説してきました。今回紹介した投資対象は以下の5つです。
- 個人向け国債
- ETF
- 不動産小口化商品
- リート
- 株式投資
それぞれの資産運用の特徴を理解すれば、適切な方法で資産運用ができるようになります。それぞれ異なる値動きをするほか、独自のリスク、投資のコツなどがあるため、自分に合った投資対象をじっくり検討してみてください。
Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
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