DMM Bitcoinが新たにリリースした「BitMatch注文」、その機能とそのメリットについて

証券会社を経て、暗号資産(仮想通貨)取引所でトレーディング業務に従事した後、現在は独立して仮想通貨取引プラットフォームのアドバイザリーや、コンテンツ提供事業を運営する中島翔氏のコラムを公開します。

目次

  1. BitMatch注文とは
  2. BitMatch注文のメリット
  3. BitMatch注文の使い方と注文の流れ
  4. BitMatch注文のリスクを理解しよう
    約定価格
    取引手数料
    取引時間
  5. BitMatch注文はレバレッジトレーダーの味方

DMM Bitcoinでは、2020年10月28日(水)より業界初となる「BitMatch注文」の提供が開始されます。今回はBitMatch注文がどのようなサービスであるのか、またそのメリットについて解説していきます。

BitMatch注文とは


BitMatch注文とは、DMM Bitcoinが提示している価格を参考として、発注から30秒におけるミッド価格で取引が成立する注文方法です。マッチングするのはトレーダー同士の注文ですが、約定時の取引相手はDMM Bitcoinになります。

トレーダーの注文が他のトレーダーの注文と一部または全部が相対すれば、その一部または全部においてマッチングが成立し、マッチング時点のミッド(仲値)価格で約定が行われます。もし有効期限内に注文が対当しない時には、その一部または全部の注文は他のトレーダーとマッチングせず成行の時価の約定になります。

BitMatch注文のメリット

端的に言うと、販売所方式とオークション方式のハイブリッド注文が行え、実質的にコストカットが可能となります。

まずは販売所と取引所の違いについて簡単に説明したいと思います。

  • 販売所:相対する取引相手が暗号資産取引所自身であるということ
  • 取引所:暗号資産取引所が運営するプラットフォーム上で他のユーザーと相対で取引を行うということ

販売所ではスプレッドが比較的広い傾向にあり、取引手数料はかからないものの、このスプレッドの広さからレバレッジ取引を行っているトレーダーなどは敬遠する傾向が強く、頻繁に売買を行うトレーダーはこのスプレッドが狭い取引所を利用する傾向が強いです。

DMM Bitcoinでは一般的に販売所と呼ばれる方式で、オークション方式による取引方式は実施されていません。しかし、BitMatch注文を導入することにより、同時間帯でのトレーダー同士の注文が仲値でマッチングすることで販売所方式とオークション方式のハイブリッド注文のような形で取引を行うことができます。

販売所方式では数量を気にせずいつでも売買することが可能ですが、スプレッドが存在しているためスプレッドに注意しなければならない点がデメリットと言えます。オークション方式では条件があった価格で売買できるものの、売買したい数量でいつでも取引できるわけではありません。

BitMatch注文ではこの2つの方式のハイブリット注文方法となっています。このような注文方式により、コストを低くおさえることが可能になります。例えば、レバレッジ1BTCを取引した場合にかかるスプレッドが400円だったとしても、BitMatchを使用することで300円におさえることができ、コストカットが可能になります。

BitMatch注文の使い方と注文の流れ

  1. BitMatchを選択
  2. BitAsk及びスプレッド表示が無くなり、ミッド価格が表示
  3. BitMatch注文を行うと、有効期限以内に対当する注文のあった場合に成立
  4. 有効期限を超えれば通常のスプレッドで成行で注文が約定

この注文を利用する場合、成り行きで注文が成立されるとユーザーとしてはコスト的にもったいないため、1BTCを売買を行いたいとしても、0.1BTCずつ細かく注文を出していくことで成り行きでの注文を自動的に行わないようにすることが必要です。

基本的に注文は分けて取引することを意識しているトレーダーではこの意味はわかりやすいかもしれませんが、リスク管理を行うことを意識すればBitMach注文でなくとも分けて注文を出す必要があることを覚えておきましょう。

BitMatch注文のリスクを理解しよう

約定価格

BitMatch注文においては発注から30秒の有効期限内に他のトレーダーとの注文と対当されないケースがあります。その場合には成行での約定となるため、市場価格が大きく変動しておりスプレッドが拡大しているような場合にはミッド価格から乖離した価格で約定してしまうことになります。このように、マッチングが上手くいかない場合などには損失となってしまうことがある点は理解しておく必要があるでしょう。

また、マッチングが成立した際の価格についてはマッチングが確定した際のミッド価格となっており、発注時に表示されているミッド価格とは異なった価格になることもあります。この点も併せて把握しておきましょう。

その他にもマッチングが成立した場合でも約定するまでの間にロスカットが発生した際にはその時のBitMatch注文は約定せず、ロスカットとなることにも注意が必要です。

取引手数料

BitMatch注文では約定ごとに取引手数料が発生することになります。取引手数料の計算方法は、「約定数量 ÷ 取引単位 × 手数料額」となっています。詳しく見ていきましょう。

例えば、現物取引においてBTC/JPYの取引単位あたりの手数料額が2円である時の数量0.2BTCの買い注文では、「0.2BTC ÷ 0.001BTC × 2円 = 400円」ということになります。(※現物のBTCを売買した際の手数料計算例です)

ただし、手数料額は銘柄や取引種類(現物・レバレッジ)ごとに異なり、取引価格及びスプレッドを基準として定期的に見直しされます。また、有効期限内にマッチングが成立せず成行で約定した場合には取引手数料は無料になるため、その点も併せて理解しておくようにしましょう。

取引時間

BitMatch注文は午前7:00〜午前4:45が取引時間となっており、週次メンテナンス実施日は午前7:00〜午前11:55および午後2:00〜翌午前4:45が取引時間となります。

BitMatch注文はレバレッジトレーダーの味方

BitMatch注文はDMM Bitcoinのみ開発されたレバレッジトレーダー向けの取引ツールであり、取引手数料はかかって来るものの、スプレッド以上に恩恵は受ける取引となるため、メリットが大きいと言えます。

DMM Bitcoinは取引所がないものの、レバレッジトレーダーのユーザーを取り込みたいという思いでこのサービスを開発しており、現在レバレッジトレードだとbitFlyerやGMOコインで取引している日本のレバレッジ取引を行っているユーザーもDMM Bitcoinのこの機能で流れてくる可能性もありそうです。ユーザー観点から考えれば、販売所ではスプレッドが一番の課題となっていましたので、この点を解決しようとしているのは大きな特徴といえます。

スプレッドは暗号資産取引所の収益に密に関わってくる部分のため、DMM BitcoinはBid-Askのスプレッドの収益部分を顧客に還元する代わりに取引量を増加させ、その分手数料を課すことによってユーザーの増加で収益率の低下部分をカバーしようとしていることが見て取れます。ユーザーにとってはメリットが大きいため機能ですので、利用しない手はないでしょう。そのためにも、まずはご自身でも実際にこの機能を利用してみて、どのように使っていくか見極めていくことが大切でしょう。

Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
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