IPOの抽選・配分方法3種類の特徴と、当選チャンスが多い証券会社5選
IPO株は初値売却で利益を狙える投資ですが、IPO株の抽選は利益が出そうな銘柄ほど倍率も高くなる傾向にあります。そのため個人投資家にとっては、どの証券会社・抽選方法を選び、どのようにして当選確率を上げるかが課題になります。
そこで、今回の記事ではIPO株の当選チャンスが多くネットで取引可能な証券会社をご紹介します。当選のためには欠かせないIPO実績や抽選方法などの情報も併せて解説するので、当選確率を少しでも上げたい方は、参考にしてみてください。
目次
- IPOの解説と抽選・配分方法
1-1.店頭配分
1-2.独自の優遇抽選
1-3.完全平等抽選 - IPO株の当選チャンスが多い証券会社
2-1.SBI証券
2-2.野村證券
2-3.マネックス証券
2-4.大和証券
2-5.SMBC日興証券 - まとめ
1 IPOの解説と抽選・配分方法
IPO(新規株式公開)とは、未上場の会社の株式を証券取引所に上場することを指す用語です。上場前は創業者などの限られた株主が会社の株式を保有していますが、上場することによって証券取引所での売買が可能になり、市場参加者は上場した会社の株式を自由に売買できるようになります。
これにより、上場した企業は新規株式の発行などによって市場から資金を調達できるだけでなく、知名度の向上によって優秀な人材を確保できるほか、上場審査をクリアしたことによって市場から一定の信頼を得ることができます。
通常、上場の際は新規株式を発行して市場から資金を調達する「公募増資」と既存株主の保有している株式を市場で売却する「売出し」によって市場に株式が出回ることとなります。
この「公募増資」と「売出し」によって市場に供給されるIPO株は上場申請のサポートなどを行う主幹事証券会社や幹事証券会社によって買い手の募集が行われ、投資家はこれらの証券会社を通じて上場前に株式を購入することができます。
そして、IPO株は上場後につける初値が公募などによって募集される価格を上回るケースも多く、上場前に購入した株式を上場直後の初値で売却すると相応のリターンを狙うことが可能です。そのため、IPO株に対する購入の申し込みは殺到しやすく、どこの証券会社でもIPO株を手に入れるのは難しくなっています。
IPO株は主幹事や幹事を務める証券会社から投資家へ配分されるのが通常です。これらの株をどのように配分するかは募集を行う証券会社によって異なりますが、基本的に以下の通りのパターンに分類されます。
1-1 店頭配分
店頭配分とは、既に取引のある投資家などに証券会社の裁量でIPO株を割り振る配分方法です。IPO株は多くのケースで利益を狙えるため、証券会社の担当者は上顧客の維持や顧客との取引拡大、損失の発生した顧客への補填などの様々な目的でIPO株を配分します。
IPO株は証券会社にとっても顧客を維持獲得するための重要な商品となっており、営業店舗を構えて営業担当者が顧客対応などを行う店舗型の証券会社では店頭配分の割合が高くなる傾向にあります。
1-2 独自の優遇抽選
独自の優遇抽選とは、配分を行う証券会社に口座を保有している一部の投資家が当たりやすくなるように優遇措置を設けて抽選を行う配分方法です。
例えば、多くの口座資産を持つ投資家や取引の多い投資家ほど当選確率が高くなる抽選方式などがあり、証券会社の上顧客である口座資産を多く持つ投資家や利用頻度の高い投資家ほど当選しやすい仕組みとなっています。
1-3 完全平等抽選
完全平等抽選とは、応募のあった全ての投資家に一人一口の応募権利を付与して抽選を行う方法で、全ての投資家が等しい確率で抽選を受けられる方法です。
完全平等抽選では資金力のない個人投資家なども他の投資家と同様に抽選を受けられるというメリットがある反面、店頭配分方式のような優遇措置などがないというデメリットもあります。
そのため、何度応募しても抽選に当たらないケースもあれば、数回の挑戦で当選するケースもあるなど、運に左右されることになります。
2 IPO株の当選チャンスが多い証券会社
完全平等抽選や独自の優遇抽選に参加する際は、各証券会社の抽選方式の内容をしっかりと確認することが大切です。なるべくチャンスの多い証券会社で応募することがポイントになるので、過去のIPO実績なども参考に、当選確率の高さが期待できる証券会社で口座を開設することが最初のステップとなります。
ここからは、IPO当選の機会を多く狙える証券会社について確認してみましょう。
2-1 SBI証券
SBI証券は大手インターネット専業証券会社の一つで、国内株式の個人売買シェアは約40%を占めており、多くの個人投資家が株式の取引に利用しています。SBI証券はインターネット専業証券会社の中でも特にIPO実績が豊富で、以下ように毎年多くの新規上場株式を取り扱っているのが特徴です。
項目 | 2020年※ | 2019年 | 2018年 |
---|---|---|---|
SBI証券のIPO取扱数 | 84 | 84 | 86 |
※2020年12月28日時点。以下注記ないものは同様
SBI証券の取扱件数は主幹事や幹事などとして新規上場株式の公開に携わったもので、過去3年間の実績は店舗型証券会社を併せてもトップの水準です。主幹事となる件数はこの中の1割程度にとどまりますが、多くのIPO銘柄の募集を行っているため、当選チャンスの多い証券会社となっています。
SBI証券のIPO株の配分は一部の機関投資家などに店頭配分も行われますが、個人投資家を対象とした配分については以下の2つの方法で抽選を受けることが可能です。
- 完全平等抽選(70%)
- IPOチャレンジポイントに基づく抽選(30%)
SBI証券では、個人投資家に配分されるIPO株のうち、70%が完全平等抽選で配分されます。残る30%はIPOチャレンジポイントに基づく抽選となっており、これはブックビルディングに参加して抽選に外れた場合、次回以降の参加時に優遇されるシステムです。
例えば、「最初のブックビルディングの抽選に漏れた場合1ポイント」というようにポイントが加算され、次回以降のブックビルディング参加時はこのポイントを使用することでIPOが当選しやすくなる仕組みとなっています。
また、ポイントを使用した抽選に漏れた場合、使用したポイントにさらに1ポイント付与されるため、外れれば外れるほど当たりやすくなります。
このように、SBI証券では数多くのIPO銘柄の取り扱いによって多くのチャンスがある上、ブックビルディングの抽選に漏れた場合の救済的な抽選制度も整備されているため、IPOに当選しやすい証券会社と言えます。
ただし、ブックビルディングに参加する場合、口座に申し込んだ株式数を購入できるだけの資金を準備しておく必要があるので、この点には注意も必要です。
2-2 野村證券
野村證券は時価総額や営業利益などの実績も含め、日本を代表する店舗型の大手証券会社の一つです(2020年12月28日時点)。店舗型の証券会社として対面取引に強みを持つ一方、個人投資家がインターネット取引でIPOのブックビルディングに参加することも可能です。
野村證券のここ3年間のIPO実績は以下の通りです。
項目 | 2020年※ | 2019年 | 2018年 |
---|---|---|---|
野村證券のIPO取扱数 | 21 | 34 | 37 |
※2020年10月9日時点
野村證券の強みは主幹事件数の多さです。主幹事証券会社は他の幹事会社などと比べても多くの株式を取り扱う傾向にあり、多い場合は新規発行株式数の8割超を占めることもあります。そのため、実績件数自体は少なくても1件当たりのIPOで投資家に配分される株数が多くなる点が野村証券の特徴です。
野村証券では以下のような割合で個人投資家へのIPO株の配分を行っています。
- オンラインでの完全平等抽選(10%以上)
- 店頭配分(1以外の株数)
オンラインでの完全平等抽選に割り振られる割合は、個人投資家に割り当てられる株式総数の10%以上となりますが、配分できる株式総数自体が多いIPO銘柄もあります。また、野村證券ではブックビルディングに参加する際に口座に買付資金を準備しておく必要がないため、資金のあまりない個人投資家にとってメリットのある仕組みとなっています。
2-3 マネックス証券
マネックス証券は近年口座開設数を順調に伸ばしているインターネット専業証券会社です。IPOにも力を入れており、最近3年間のIPO実績は以下のように推移しています。
項目 | 2020年※ | 2019年 | 2018年 |
---|---|---|---|
マネックス証券のIPO取扱数 | 54 | 45 | 50 |
マネックス証券は2018年〜2020年で主幹事を務めることはありませんでしたが、1年あたり45~50件以上と多くのIPO銘柄を取り扱っています。
また、マネックス証券の大きな特徴は配分される株式の100%が完全平等抽選となる点です。これにより多くの銘柄でブックビルディングに参加できるだけでなく、全ての株式が抽選によって配分されることで、資本の少ない個人投資家でもIPO当選に期待の持てる証券会社となっています。
ただし、マネックス証券でブックビルディングに参加する際には口座に申し込んだ株数を買えるだけの資金を準備する必要があり、抽選に外れた場合の救済的な措置などはないため、人によっては抽選に当たるまで相当数のブックビルディングに参加しなければならない場合もあります。
2-4 大和証券
大和証券は野村證券に次ぐ国内時価総額ランキング2位(2020年12月28日時点)の店舗型証券会社です。創業110年を超える歴史のある証券会社ですが、株式のオンライントレードの先駆けともなった会社で、現在も300万人超の投資家が大和証券のインターネット取引を利用しています。
大和証券はIPO実績も豊富な証券会社で、ここ3年間の実績は以下の通りです。
項目 | 2020年※ | 2019年 | 2018年 |
---|---|---|---|
大和証券のIPO取扱数 | 43 | 48 | 35 |
過去3年間は40件前後のIPO株を取り扱っており、そのうちの3〜5割ほどで主幹事も務めています。
大和証券では、次のようにインターネットで取引を行う個人投資家にもチャンスのある配分を行っており、詳細は以下の通りです。
- 完全平等抽選(10~15%)
- チャンス抽選(5~10%)
- 店頭配分(1、2以外の株式)
まずは、ブックビルディングに参加した投資家を対象に完全平等抽選が行われます。その後、落選した参加者を対象にプレミアムサービスのステージや過去の取引実績に基づき、累積した交換ポイントの残高に応じて当選確率が変わるチャンス抽選が行われます。
このように、大和証券はIPO実績が豊富で、ネット取引をする個人投資家に対しても配分が行われるため、IPOの当選を狙える証券会社です。ただし、ブックビルディングの参加時には口座に申し込んだ株数を買えるだけの資金を準備する必要があります。
また、大和証券が運営するスマホで株取引ができるサービス「CONNECT」でも、大和証券の引き受けたIPO銘柄のブックビルディングに申し込むことが可能です。CONNECTでは70%が完全平等抽選、30%が年齢(39歳までのユーザーを優遇)や口座開設状況、信用建玉や投資信託の保有といった要素で当選確率が変動する抽選方式となっています。
2-5 SMBC日興証券
SMBC日興証券は前身の日興證券時代から野村證券、大和証券と並ぶ日本三大証券会社と呼ばれており、現在は三井住友フィナンシャルグループの中核企業の一つとなっています。野村証券や大和証券と比較してもIPO実績は豊富で、ここ3年間の取扱実績は以下の通りです。
項目 | 2020年※ | 2019年 | 2018年 |
---|---|---|---|
SMBC日興証券のIPO取扱数 | 30 | 61 | 66 |
※2020年10月9日時点
SMBC日興証券は他の大手の店舗型証券会社(野村證券、大和証券)と比較してもIPO実績が豊富で、毎年これらのIPO案件のうち約3割で主幹事を務めるなどの実績もあります。
IPO株の配分については、以下の通り、インターネットで取引する個人投資家にもチャンスのある抽選が行われています。
- 完全平等抽選(10%)
- ステージ別抽選(5%)
- 店頭配分(1、2以外の株式)
SMBC日興証券では、個人投資家に配分する株式総数の10%が完全平等抽選で配分されます。この抽選に漏れた場合、ダイレクトコースを利用している投資家はステージ別抽選によって抽選を受けることになります。
ダイレクトコースとは主にインターネットを中心に取引を行うコースで、ステージ別抽選では口座資産などに応じて変動する当選確率によって抽選が行われます。
このように、SMBC日興証券では豊富なIPO実績によって多くの抽選機会が得られる仕組みとなっています。ただし、ブックビルディングへ参加する際は申し込んだIPO株を購入できるだけの口座資金が必要になるので、留意しておきましょう。
まとめ
IPOの抽選方法の解説に加え、それを踏まえて当選確率の高さを期待できる証券会社について紹介しました。
IPOの抽選方法は各証券会社によって異なるため、事前によく調べることが大切です。また、IPOに当選するためにはなるべく多くのブックビルディングに参加することがポイントの一つとなるので、複数の証券会社での申込も検討してみてください。
Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
IPOの抽選・配分方法3種類の特徴と、当選チャンスが多い証券会社5選