外貨建てMMFに投資するメリット・デメリットは?外貨預金や通常の投資信託との違いも

MMFとはマネー・マネージメント・ファンド(Money Management Fund)の略称で、主な投資対象を国内外の公社債やCD(譲渡性預金)、CP(コマーシャル・ペーパー)などの短期金融資産とするオープン型の公社債投資信託です。

2021年1月現在では国内のMMFは購入できず、外貨建てMMFでの運用となります。この記事では外貨建てMMFに投資するメリットやデメリット、通常の投資信託や外貨預金との違いについて解説します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※本記事は2021年1月20日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもお調べの上、ご判断下さい。

目次

  1. MMFと通常の投資信託の違い
  2. 国内のMMFは取扱いが終了
  3. 外貨建てMMFの特徴
  4. 外貨建てMMFと外貨預金の違い
    4-1.外貨建てMMFと外貨預金の比較
  5. 外貨建てMMFのメリット
    5-1.少額から購入でき、売却もしやすい
    5-2.為替差益が狙える
    5-3.一定の利回りが期待できる
  6. 外貨建てMMFのデメリット
  7. 外貨建てMMFを取引するのに適したネット証券
    7-1.SBI証券
    7-2.マネックス証券

  8. まとめ

1.MMFと通常の投資信託の違い

投資信託は、主に「株式投資信託」と「公社債投資信託」に分類できます。株式投資信託とは、株式を組み入れることができる投資信託を指し、通常の投資信託では株式投資信託がメインです。リート(不動産投資信託)や債券で運用しているファンドも株式投資信託に分類されます。

一方の公社債投資信託は、株式を一切組み入れることができない投資信託で、社債や国債などの債券で運用されます。公社債投資信託に分類される代表的な商品としてMMFがあるのです。

2.国内のMMFは取扱いが終了

2016年2月に日銀がマイナス金利を導入した後、利回り低下により運用が不振になったMMFの繰上償還が相次ぎました。2016年の2月5日に野村アセットマネジメントがMMFについて新たな購入の受付を停止。MMFを運用する国内11社すべてで事実上購入できなくなったのです。

MMFはコマーシャルペーパー(CP)や短期国債など、償還までの期間が主に1年未満の債券で運用します。日銀のマイナス金利導入で短期国債の利回りのマイナス幅が拡大し、運用益を確保するのが困難になったため、MMFの受付を停止したのです。

3.外貨建てMMFの特徴

国内のMMFの新規購入は事実上できないので、現在はMMFといえば「外貨建てMMF」のことを指します。外貨建てMMFは、日本国内でユーロやドルなどの外貨を利用して取引を行う投資商品の一種です。

外貨建てMMFは、低リスクの国債や優良企業の社債が組入対象になっているので、外貨建てベースでの元本割れリスクが極めて低い商品です。ただし外貨で運用するので、為替変動リスクがある点には注意が必要です。

4.外貨建てMMFと外貨預金の違い

外貨建てMMFと比較される商品として外貨預金があります。外貨預金と外貨建てMMFは同じ外貨通貨の金融商品ですが、仕組みは根本的に異なっています。外貨預金は利息や元本がどちらも外貨建ての預金のことで、基本的な仕組みは国内の円預金と同じです。一方の外貨建てMMFは、外国で設定され国内で販売される外国投資信託になります。

4-1.外貨建てMMFと外貨預金の比較

外貨建てMMFと外貨預金の主な違いは、以下の通りです。

項目 外貨建てMMF 外貨預金
利回り 運用成果に応じて変動。外貨預金よりも高い傾向にある 通常、確定利率
安全性 投資元本の保証なし 原則、外貨ベースでは元本確保
換金性 いつでも換金の申込ができる 定期預金は原則解約できない。また、解約できても手数料が必要な場合がある
倒産時 証券会社の資産と分別管理されているので、資産は保護される 銀行が破綻した場合、資産は保護されない。また、外貨預金はペイオフの対象外

5.外貨建てMMFのメリット

外貨建てMMFのメリットは、主に次の3つです。

5-1.少額から購入でき、売却もしやすい

外貨建てMMFは少額から投資でき、いつでも購入や換金ができます。たとえば、マネックス証券の申込単位は、1,000円以上1円単位。外貨での運用に不安がある人でも気軽に始められます。

また、為替レートを見ながら購入・換金できるので、為替変動に対応できる金融商品といえます。

5-2.為替差益が狙える

外貨建てMMFを円高の時に購入し、円安の時に売却すれば為替差益を得られます。たとえば、1米ドル=100円の時に100万円分購入し、その後1米ドル=105円で売却した場合の為替差益は以下の通りです(分配金や税金、為替手数料は考慮せず)。

  • 100万円を外貨に交換:100万円÷100円=1万口
  • 1米ドル105円で売却:1万口×105円=105万円

つまり為替差益は、105万円ー100万円=5万円となります。

5-3.一定の利回りが期待できる

外貨建てMMFは為替変動リスクはあるものの、比較的リスクが低い投資信託です。また、金利が高い国の通貨でMMFを運用すれば、日本の銀行預金よりも高利回りが期待できます。

たとえば、SBI証券で取り扱っている外貨建てMMFの2020年12月15日時点の直近平均利回りは以下の通りです。※元本割れリスクはありますので、利回りが高いMMFほど慎重に判断するようにしましょう。

米ドル

  • ノムラ・グローバル・セレクト・トラスト 0.127%
  • ニッコウ・マネー・マーケット・ファンド 0.109%

NZドル

  • ニッコウ・マネー・マーケット・ファンド 0.073%

南アフリカランド

  • ホライズン・トラスト 2.513%

トルコリラ

  • トルコ・リラ・マネー・マーケットファンド 11.05%

6.外貨建てMMFのデメリット

国内の預金に比べてメリットの大きい外貨建てMMFですが、外貨を利用した商品なので為替変動リスクがある点には注意が必要です。購入時よりも円安になれば為替差益を狙えますが、円高に進むと為替差損になるのです。

また、組み入れている債券の値動きや発行者の信用力低下などによって元本割れの可能性もあります。元本が保証された金融商品ではないという点に注意が必要です。例えば上記のトルコリラファンドは利回りが11%台と非常に高いものの、これはトルコリラやトルコの信用力が低く、高リスクであるためです。国や為替のリスクと利回りは比例するという原則も押さえておく必要があります。

7.外貨建てMMFを取引するのに適したネット証券

外貨建てMMFを取引するのに適したネット証券を紹介します。

7-1.SBI証券

SBI証券

SBI証券の外貨建てMMFの特徴は、以下の2つです。

少額から購入できる

米ドル建てMMFは10米ドルから購入できます。また、直接円貨からも5,000円から購入可能です。

積立サービスが利用できる

SBI証券では、外貨建てMMFの積立サービスが利用できます。米ドルや南アフリカランドなど、高利回りの通貨を含めた5つの通貨で積立サービスが利用可能です。毎月の最低積立投資金額は5,000円からなので、少ない投資金額で積立投資を始められます。

積立サービスは、金融商品を一定額で毎月購入できるサービスです。購入時期を分散することで為替変動リスクを抑えることができます。

7-2.マネックス証券

マネックス証券

マネックス証券の外貨建てMMFの特徴は、主に次の2つです。

少額から投資可能

マネックス証券の外貨建てMMFの申込単位は、1,000円以上1円単位。少額から始められるのが魅力です。また、購入日の翌営業日から売却可能で、購入・売却時の手数料はかかりません。

為替レートが事前にわかる

マネックス証券の外貨建てMMFは、為替レートを確認してから注文できます。また、外貨建てMMFで増やした外貨で外債を購入でき、その償還金や利金を外貨のまま受け取ることも可能です。

まとめ

高利回りが期待できる外貨建てMMFですが、コロナ禍による各国の低金利政策で運用利回りが下がっている国もあります。マネックス証券がオーストラリアドルのMMFを2021年1月に繰上償還するなど、国や地域によっては運用が停止される可能性もあるので、各国の金利状況はチェックするようにしてください。

また、全ての金融商品に言えることではありますが、高利回りのMMFほどリスクが高く、元本割れや債務不履行による大幅な損失が発生する可能性も上がるため、利回りが高い商品ほど慎重に判断することが必要です。

Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
外貨建てMMFに投資するメリット・デメリットは?外貨預金や通常の投資信託との違いも