【仮想通貨取引所の元トレーダーが解説】IOSTプロジェクトの現状と今後の計画
今回は、IOSTプロジェクトの現状と今後の計画について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
次世代ブロックチェーンとの呼び声高いIOSTプロジェクトですが、その活動は多岐に渡り、全容を把握することが難しい所です。そこで今回は、重要な項目にフォーカスして21年4月現在のIOSTプロジェクトの現状と今後の計画について解説します。
①IOSTプロジェクトについて
まずは簡単にIOSTプロジェクトの概要について解説します。
IOST とは
IOSTはアメリカの大学でコンピューターサイエンスを学び、シリコンバレーで成功した起業家達によって、2017年の6月にシンガポールで設立された非営利財団です。IOSTの正式名称は「Internet of service token」で、その頭文字を取ってIOSTとされています。
IOSTのブロックチェーン技術と特徴
IOSTのブロックチェーンは「PoB(Proof of Believability)」と呼ばれるコンセンサスアルゴリズムを用いています。IOST トークンのステーク量だけでなく、投票やコミュニティへの貢献といった複数要因からアカウントが評価され、ブロック生成に関与する優先度を振り分けています。
迅速なブロック生成を可能とする方式で、処理能力は8,000TPSとイーサリアムの533倍となています。クレジットカードの処理能力が4,000TPSであることを考えると、既に十分実用的な数字ですが、IOSTは今後100,000TPSまでさらに高速化される予定です。
②IOST プロジェクトの現状
IOSTプロジェクトが手がけるプログラムは多岐にわたります。ブロックチェーンゲームを含むDAppsのローンチサポート、DEXやDeFiの領域、NFTマーケットプレイスの開発支援や大学と連携したプロダクト開発、医療機関との台帳管理実験、さらにIoV(Internet of Vehicle)と呼ばれる自動車に関する管理台帳構築の取り組みなど様々です。
これら全てを解説するのは困難な為、DApps、DeFi、NFT等、今特に注目度の高い領域にフォーカスを当てて解説します。
IOST のDApps領域
IOSTベースのDAppsとしては、2021年4月現在で49種類のアプリがローンチされています。内訳はゲーム関連が12種類、DeFi関連が2種類、ギャンブル関連が20種類、ウォレット関連が4種類、その他が11種類となっており、ゲームとギャンブルで過半数以上を占めています。
IOSTではDEXエコシステムなどのDeFi分野のプロジェクト開発も進められています。現段階でIOSTを利用したDEXとして、「IOST DEX」や「otbTrade」などがローンチしています。仮想通貨IOSTはアメリカのConstantが提供するステーブルコインの融資プラットフォーム(myconstant.com)の担保資産としても正式に採用されています。このような事例は今後も増えて行くでしょう。
また、最近の大きなニュースとしては、2021年2月に仮想通貨取引所フオビが発行するステーブルコインHUSDが、IOSTメインネット上で流通する形となりました。さらに、2021年初頭に分散型取引所の「Donnie Finance」が登場しました。「Donnie Finance」のアプリケーションは現時点では流動性マイニングプールのみ稼働しており、ガバナンストークンDONを獲得できます。Donnie Financeでは今後、IOSTと他のトークンとのスワップや交換機能がリリースされる予定です。
IOSTのNFT領域
IOST上で最初のNFTマーケットプレイスとして「The TokenLink NFT Marketplace」がローンチされています。最大の特徴は、TokenLink上のゲーム間でアイテムの共有が可能となっていることです。例えるなら、ドラクエにマリオを登場させるような事ができるので、自由度が高く楽しさも増す事になります。
③IOSTの2021年ロードマップ
IOST財団は半期ごとに次の半期のロードマップ(事業計画)を発表しています。このロードマップを読み解くことで、彼らが目指している方向性と今後の展開が予測できる為、2021年のロードマップについて解説します。
1Q(第一四半期・1~3月)のロードマップ
- メインネット開発と接続制度の最適化、Rosetta APIのサポートとより実用的なSDKのドキュメント作成
- ARM64 CPUなどの基本的なプラットフォームのサポート
- 内部モジュールをアップグレードしP2Pネットワークの再接続速度の高速化する
- HUSD以外のステーブルコインのサポート
- ステーブルコインを中心としたDeFi関連サービスと模索と実装
- 伝統的な産業とのNFT連携の推進
- 人気の高いDAppsのリリース
- パートナーノードエコシステムの仕組みとグローバルレイアウトの強化
- コアコミュニティーグループの拡大
2Q(第二四半期・4~6月)のロードマップ
- ウェブブラウザのプラグインでハードウェアウォレットのサポート
- より効率的な開発プロセスの実現
- グローバルなコンプライアンスプロセスの推進と厳守の継続
- 世界のトップ企業とブロックチェーンビジネスの協力関係の構築
- クロスチェーン技術の導入と実証パートナー濃度のエコシステムを強化
- 新しいグローバルインフルエンサー網の企画
1Qのロードマップを検証すると8割ほど達成しており、事業は順調に進んでいると評価できます。しかし、1Q-⑦の「人気の高いDAppsのリリース」は、おそらく人気を獲得するには時間がかかるため、第2四半期か第3四半期頃にIOST上のDAppsに注目が集まることが予想されます。
DeFiへの取り組み
ロードマップの中からDeFi関連にフォーカスを当てて解説します。1Qの④、⑤、2Qの①などがDeFi関連の項目です。
年始にIOSTは、大手取引所のHuobiが発行しているステーブルコインであるHUSDをサポートする計画を発表しました。HUSDをサポートする最初のパブリックブロックチェーンとしてIOSTが選ばれています。HUSDの統合により、IOSTのDeFi上に多くのユーザーと資金が流入する可能性があるため注目されています。
今年3月にIOSTはPolkadot(DOT)とのチェーン接続に関連するパートナーシップを発表しました。クロスチェーンはロードマップの2Qの目標として掲げられていたため、ブロックチェーンを跨いで資産を使用できるクロスチェーン技術開発の進展に期待できるでしょう。
NFT分野の取り組み
NFT分野はIOSTプロジェクトが力を入れる分野の一つです。ロードマップの1Qの⑥が該当しています。今年4月にIOST初のNFTデジタルアートとして、日本の漫画家たまきちひろ氏により制作された作品をTokenLinkでオークションに出品されました。今後はデジタルアートのみならず強みの一つでもあるブロックチェーンゲーム上のNFTの活発化も予想されます。ゲーム人口はアート人口よりも圧倒的に多いので、ゲーム分野でヒット作を出せればさらにIOSTに期待が集まると思います。
④まとめ
IOSTプロジェクトほど広範囲にわたる取り組みをしている組織はあまりないでしょう。今回は取り上げていませんが、他にもWEB3.0の主力プラットフォームとしての地位確立も視野に入れています。
圧倒的なブロック生成スピードが実現すれば、次世代ブロックチェーンの筆頭となる可能性も秘めていると思います。IOSTに興味を持った方は、仮想通貨取引所コインチェックで購入できるので、ポートフォリオの一つとして組み入れて頂くと良いでしょう。
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