株式投資で大切な投資スタイルの種類は?自分に合った投資方法の見つけ方も

株式投資には、向き不向きがあります。投資を始めるにあたっては、己を知ることが大切です。特に、投資する際に影響するのは性格や行動パターンです。どんな時にも冷静に行動できるような方、勉強熱心で洞察力がある方は株式投資に向いているといえます。

性格や行動パターンによって適している運用スタイルが違うため、どのような運用スタイルが自分に適しているのかを理解してから始めましょう。自分にあったスタイルで運用を楽しみつつ利益をあげていけるよう、今回はパターン別の投資スタイルについて解説します。

※この記事は2021年6月15日時点の情報に基づき執筆しています。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。

目次

  1. 自分の性格を知り、それに合った投資法・銘柄を選ぶ
  2. ライフスタイルが乱れない投資をする
  3. 投資スタイルの種類
    3-1.グロース運用
    3-2.バリュー運用
    3-3.短期運用
    3-4.長期運用
  4. 初心者向けの投資方法
    4-1.高配当銘柄に投資する
    4-2.株主優待銘柄に投資する
  5. まとめ

1.自分の性格を知り、それに合った投資法・銘柄を選ぶ

投資を始める前に、自分の性格や行動パターンを把握しましょう。株価は常に変動し、乱高下することも多々あります。何が起きているのか自分で状況判断し決断できる方、どんな時にも冷静に行動できるような方、勉強熱心で洞察力がある方は株式投資に向いているといえます。

株価が大きく下落した時にも冷静に判断できる方は株式投資に向いています。株価の下落には市場全体が売られる下落と、個別銘柄のファンダメンタルズ悪化による下落があります。市場全体が売られる下落は、株価を割安な水準で買うことができるため、投資のチャンスです。

著名投資家のウォーレン・バフェット氏は、投資対象の銘柄が割安になった時に購入します。暴落時に積極的に買い向かう勇気がある方は、将来大きな資産を築ける可能性が高いと言えます。

一方、自身が投資に向いていないかもと思った方も、自身に合った銘柄を選ぶことで対応することが可能です。暴落時に居ても立ってもいられなくなり不安で保有株を売却してしまう方には、バリュー株投資が向いています。それは、銘柄の水準が割安なため、下落率が指数などと比較し低い傾向があるためです。

まず、自身がどういう性格かを知り、それに合った銘柄に投資することが大切です。

2.生活が乱れない投資をする

株式投資に生活が乱されてしまっては元も子もありません。株式は余裕資金で運用しましょう。

株式は流動性が高いため、市場が開いている時間ならいつでも売買可能ですが、時に暴落することもあります。資産の大半を株式で運用している場合、急に現金が必要になった時には株式を売却する必要があります。しかし、もしそのとき株価が暴落しているような状況だったら大きな損失を出してしまうかもしれません。

株式取引には、信用取引といって手元の資金よりも大きな金額を動かす手段も利用できます。信用取引では現金や株券を担保に約3倍の金額が運用できます(担保のことを委託保証金と呼びます)。担保の3倍相当額の取引ができるため相場が当たれば大きな収益を得ることができます。

しかし、相場が自身のポジションと逆方向に動いてしまった場合には大きな損失が出ます。この損失額が委託保証金の一定水準を下回ると追加の担保が必要となります(追証=おいしょう)。もし、追証が払われないと強制的に決済され、追証が解消されるまで金融機関からの請求は終わりません。最悪の場合は家や所得を差し押さえられてしまうこともあります。

このような最悪の事態とならないように、無理な投資は避けるように心がけましょう。

3.投資スタイル

投資スタイルは、運用を行う上で基本となる考え方や投資手法のことです。グロース株やバリュー株に投資するグロース運用やバリュー運用、投資期間を基準とする短期運用や長期運用などがあります。

3-1.グロース運用

個別株は成長株(グロース株)と割安株(バリュー株)に分けることができます。グロース株は将来数十倍、数百倍になる可能性があるものの、企業が倒産してしまう可能性が高いというリスクもあります。

グロース銘柄の例として、アップルやアマゾンなどのFAANGや、テスラ等が挙げられます。企業の純利益に対し株主にどれくらい資金を配分するかという配当性向という指数がありますが、グロース銘柄は配当性向が低く、多くの銘柄は0%です。グロース銘柄の企業は、企業拡大のために設備投資に資金を費やすという成長過程にあるためです。

3-2.バリュー運用

バリュー株は、その企業のほとんどが成長安定期に入っているため、大きな成長は期待できません。しかし、配当金が高く、株価収益率が低い傾向があります。

バリュー株は配当性向が高い傾向にあります。50%を超える配当性向を目標としている企業や、累進配当方針(減配せずに利益成長に合わせて増配する方針)を掲げている企業もあります。累進配当方針は、米国企業では多くの企業が採用していますが、日本企業にはあまり浸透していません。三菱商事、伊藤忠商事、三井住友銀行などが採用しています。

3-3.短期運用

短期運用は、株価の値動きだけに注目し、売買を繰り返す取引方法です。メリットは企業の財務などファンダメンタルズ分析をする必要がないことです。短期投資には、小型株や値動きの大きい銘柄(値がさ株)が適しています。

初心者の方は相場の動きに慣れるまでは出来高が多く、値動きの小さな銘柄から始めるように心がけましょう。値動きが小さい銘柄は損失を小さく抑えることができるためです。値動きが小さな銘柄としては、メガバンクや電力が挙げられます。

利益が得られるようになったら、徐々に値動きの荒い銘柄に挑戦しましょう。短期運用で利益が得られない場合は短期運用が向いていないと諦め、投資スタイルを切り替えるようにしましょう。短期運用で勝ち続けることができる投資家はほんの一握りです。

3-4.長期運用

長期投資は、企業の成長に投資する運用方法です。企業の成長にはある程度の時間がかかるため、投資期間は最低10年をめざしましょう。長期投資に重要なことは銘柄選びです。10年、20年後に投資先が存続し、いままで以上に企業収益が高まれば、株価は大きく上昇している可能性も期待できます。

以下の表は各国指数とFAANG(フェイスブック、アップル、アマゾン、ネットフリックス、グーグル)の上昇率を検証したものです。成長株指数であるナスダック指数が他の指数を大きく上回っています。

指数 10年間(%) 20年間(%)
ナスダック指数 511 655
ラッセル2000 380 453
英国(FTSE100指数) 120 126
独(DAX指数) 212 258
仏(CAC30指数) 166 126
米(S&P500指数) 322 347
日経平均株価指数 297 224
TOPIX 230 150

一方、FAANGの上昇率は、指数を大きく上回る値でした(過去9年間)。ネットフリックスに投資していたら資産が13.2倍に、アップルに投資していたら12.71倍に資産が増加していることになります。

アップル株に当時10万円分投資していれば、現在は127万円程度に資産が増えている計算です。インデックス(指数)よりも個別株に投資した方が効率的に資産を増やすことができたことになります。

銘柄 *2012年5月18日=100
フェイスブック 886
アップル 1,271
アマゾン 1,265
ネットフリックス 1,320
アルファベット(旧グーグル) 983
ナスダック指数 517

⊛2012年5月18日=フェイスブックの上場日

4.初心者向けの投資方法

初心者の方が個別株に投資する場合、高配当銘柄や株主優待銘柄に投資する方法もあります。

4-1.高配当銘柄に投資する

配当利回りとは配当金を株価で割った値のことです。2021年6月15日時点の日経平均の予想配当利回りは1.80%、東証1部全銘柄が1.77%という水準です。

銘柄によっては配当利回りが4%を超えるものも存在しています。配当利回りが高い銘柄は、株式市場が急落した場合においては配当利回りがより高くなるため、株価の下落率が指数の下落率よりも低い傾向にあります。また、配当利回りが高い銘柄は株価の変動率が低いという特徴があります。

配当金と株価の標準偏差を比較することで、より低リスクな銘柄を探すことが可能です。

例えば配当金が年間120円、株価の標準偏差(1年間)が120円の銘柄があったとします。この場合、配当金と1標準偏差の金額は同じです。このことは、配当金で1標準偏差(株価の動き)がカバーされることを示しています。配当金120円÷標準偏差120円=1です。分母が配当金のため、この数字が大きいほどリスクが小さい銘柄と推測できます。

株価の標準偏差については表計算ソフトの関数を使うことで簡単に求めることができます。また、株価の時系列データはSBI証券のHYPER SBIという検索機能やYahoo! ファイナンスの時系列で取得することができます。そのデータを表計算ソフトに貼り付け、関数を使うことで簡単に標準偏差の値を求めることができます。

注意点として、標準偏差のデータは日々動くため、特に株価が大きく動く日が続いた場合には再計算する必要があります。また、配当金が減額されるリスクもあるため、定期的に株価の動きや配当金額などを調べるようにしましょう。

また、投資する際にはロスカットルール(強制的にポジションを閉じるルール)を作る必要もあります。

4-2.株主優待銘柄に投資する

株主優待は日本独自の制度です。優待は企業から投資家へのプレゼントで、内容は商品券や自社製品など様々です。馴染みの百貨店やスーパーなどの株主になると、割引が適用される企業もあります。

企業によっては株主優待制度を廃止する場合があります。廃止されると株価が急落する傾向があるため、優待を継続できる余力があるのか企業の財務内容を調べる必要があります。株主平等原則の観点から優待制度は海外投資家から批判の対象となりやすいため、グローバル企業は優待を実施していません。

まとめ

自分にあった投資スタイルを探すことが株式投資にとっては重要です。自分の投資スタイルを築きあげるまでは大変です。しかし、スタイルを構築すると投資が楽しくなります。また、目標を持つことも大切です。例えば、60歳時点で年間配当金が100万円受け取れるようにするなどです。

株式投資のメリットは日本にいながら世界中に投資できることです。残念ながら日本は超高齢化社会を迎えているため、大きな経済成長は期待できません。しかし、まだまだ経済発展が期待できる国はたくさんあります。日本株ばかりではなく、世界各国・地域の株などへの分散投資を心がけて投資先を検討してみて下さい。

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