IPO投資、穴場の証券会社は?16社のIPO実績や抽選方法を徹底比較
2020年のIPOは93銘柄で、全銘柄に当選し初値で売却した場合の利益は約1,800万円にのぼります。一方、初値売却で利益が出やすいIPOは人気が高いため、なかなか当選することができません。
そこで今回は、IPOの申込に便利な証券会社を、実績や抽選方法など各社の強みごとにいろいろな角度から分析しました。
目次
- IPO申し込み時に前受金が必要ない証券会社7社
1-1.野村證券:「野村ネット&コール」
1-2.岡三オンライン証券
1-3.松井証券
1-4.SBIネオトレード証券(旧ライブスター証券)
1-5.DMM.com証券
1-6.アイザワ証券:「ブルートレード口座」
1-7.エイチ・エス証券 - IPOに2単元以上申し込み可能な証券会社2社
2-1.楽天証券
2-2.岩井コスモ証券 - IPO抽選に落選すればするほど当選確率が高くなるSBI証券
- 資産残高等によってIPOの当選確率が高くなる証券会社3社
4-1.SMBC日興証券:「ダイレクトコース」
4-2.大和証券:「ダイワ・ダイレクト」
4-3.東海東京証券:「かんたんダイレクト」 - IPO投資をする際に押さえておきたい証券会社2社
5-1.マネックス証券
5-2.みずほ証券:「ネット倶楽部」 - 一株からIPOに申込可能:SBIネオモバイル証券
- まとめ
1.IPO申し込み時に前受金が必要ない証券会社7社
IPOを申し込む際には、事前に前受金が必要な証券会社があるため注意が必要です。当選確率を高くするためには、複数の証券会社に申し込むことが必要です。複数の証券会社に申し込んだ場合、1社ごとに資金が必要ですが、前受金が必要ではない証券会社の場合、事前に資金を準備する必要がありません。自己資金を有効に使うため、前受金が必要ではない証券会社の口座を開設するのが便利です 。
1-1.野村證券:「野村ネット&コール」
野村證券は、2020年のIPO主幹事数NO.1の証券会社です。主幹事とはIPOの取りまとめ役で、IPO株の分配がもっとも多い証券会社です。幹事案件のIPOは、分配数が多く抽選も平等に行われることから、当選する可能性が高いと言えます。
1-2.岡三オンライン証券
岡三オンライン証券による2020年の引受(委託を含む)は39銘柄でした。同年IPOの全93銘柄のうち42%弱をカバーしており、幅広い銘柄を扱っていると言えます。
同証券のIPO抽選は3回実施されます。抽選に参加する投資家の資格は、一定期間の手数料(取引実績)によって異なり、3ステージに分類されています。ステージSは手数料の合計が100万円以上、ステージAは10万円以上100万円未満、ステージBが10万円未満となっています。
第一抽選に参加できるのはステージS、第二抽選にはステージSとステージA、第三抽選には全ステージの投資家が参加できます。取引実績がない投資家の場合、第三抽選に参加することになりますが、第三抽選には割当株数の10%を下回らない最小単元数が割り振られるとされています。
1-3.松井証券
松井証券は2020年の幹事実績はないものの、委託を含む引受件数が18銘柄ありました。配分予定数量の70%以上が完全平等抽選です。また、ジュニアNISA・未成年口座でも抽選に参加できるため、家族全員で申し込むことで当選確率をあげることができます。
1-4.SBIネオトレード証券(旧ライブスター証券)
SBIホールディングスにより、ライブスター証券が買収され2021年よりSBIネオトレード証券に社名が変更されました。2020年の引受実績は7件でしたが、SBI傘下に入ったことで幹事数の多いSBI証券を通じて引受件数増が期待でき、今後はIPO投資で注目の証券会社と言えます。
IPO件数が増加する前に口座を開設し準備するのも良いでしょう。SBI証券はIPO申し込み時に前受金が必要ですが、SBIネオトレード証券は必要ありません。
1-5.DMM.com証券
DMM.com証券の2020年のIPOは委託が5銘柄でした。完全平等抽選です。為替トレードの印象が強い会社なので、IPO投資家にとって穴場の証券会社と言えます。申込価格が仮条件の上限になる点には注意が必要です。
1-6.アイザワ証券:「ブルートレード口座」
アイザワ証券の2020年IPOの取扱銘柄は10社でした。個人投資家への配分予定数量の10%が抽選に割り当てられ、平等抽選です。アジア株で有名なため、IPOの穴場証券と言えます。
1-7.エイチ・エス証券
エイチ・エス証券の2020年IPOの取扱銘柄は10社。個人投資家への配分予定数量の10%以上が抽選に割り当てられます。同社の基本方針に「短期売買の排除に関する基準」があり、その中に「過去に配分を受け、直ちに売却を行った投資家への配分数量が少ないか、配分されない場合がある」とあります。そのため、中長期投資家が対象になる証券会社です。
2.IPOに2単元以上申し込みが可能な証券会社2社
ネット証券口座では、IPOの申し込み上限が1単元となっていることが多いのですが、ネット証券口座でも2単元以上申し込みが可能な証券会社も存在します。複数単位を申し込むことで、当選確率が上昇します。しかし、IPOの申し込み時に前受金が必要なため、申し込み数に応じて口座資金が必要となります。
2-1.楽天証券
楽天証券の2020年IPOの取扱銘柄は38社で、同年IPO全93社の約40.9%をカバーしていました。完全平等抽選で、申込件数が多ければ多いほど当選確率が高くなるため、資金力がある投資家に有利な証券会社です。
2-2.岩井コスモ証券
岩井コスモ証券の2020年のIPO取扱いは39銘柄と、市場の41.9%をカバーしました。なお、IPOの申し込みは、上限株数が10単元に設定されています。
3.落選回数が多いほど、IPOの当選確率が高くなるSBI証券
SBI証券の2020年IPOの実績は85銘柄で、全93銘柄の91.4%をカバーしました。幹事が15銘柄と、大和証券やSMBC日興証券と肩を並べる多さです。SBI証券のIPOには独特のチャレンジポイント制度があります。IPOに申し込み抽選・配分に外れた場合にポイントが貯まるシステムで、貯まったポイントを使うことで次回以降のIPOにおける当選確率が高くなります。
2021年1月15日から同証券のIPO配分に係る基本方針が改訂されます。個人投資家への配分予定数量(抽選)がこれまでの70%から60%に変更され、減額の10%については過去の取引状況を踏まえた上で配分先が決まることになりました。残りの30%については、以前と同じIPOチャレンジポイントに基づく方法により配分先が決まります。
4.資産残高等によってIPOの当選確率が高くなる証券会社3社
一部の証券会社では、資産残高や手数料に応じてIPOの当選確率が高くなる優遇制度を設けています。
4-1.SMBC日興証券:「ダイレクトコース」
SMBC日興証券ではIPO優遇特典として、平等抽選(一般投資家は配分する数量の10%を目処)で当選しなかった場合、最大5%を目処とした「ステージ別抽選」を実施しています。ステージは、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナの4つで、預かり資産残額か信用取引建玉金額を基準に分類しています。
- ブロンズ:預かり資産か建玉金額250万円以上もしくは新規口座開設3ヵ月以内
- シルバー:預かり資産か建玉金額1,000万円以上
- ゴールド:預かり資産か建玉金額3,000万円以上
- プラチナ:預かり資産か建玉金額5,000万円以上
抽選票数はブロンズの1票に対し、シルバーが5票、ゴールドが15票、プラチナが25票です。資産がある方は当選確率が上がります。一方、当選したIPOをキャンセルした場合、1ヵ月間ネットからIPOの申し込みができなくなるというペナルティが課せられます。
4-2.大和証券:「ダイワ・ダイレクト」
大和証券のIPOでは個人投資家販売予定数量の10~15%分の抽選が行われます。当選しなかった場合、販売予定数量10%を目処に投資家のステージに応じ、当選確率が上がる再抽選が行われます。ステージは預かり資産評価額によって分類されます。
- プレミアプラチナ:5,000万円以上
- プレミアゴールド:3,000万円以上5,000万円未満
- プレミアシルバー:1,000万円以上3,000万円未満
チャンス回数はプラチナが10回、ゴールドが5回、シルバーが3回、資産1,000万円未満は1回です。上記優遇措置の他に設けられている措置として、ポイントプログラムのポイント残高に応じた優遇措置がありますが、ポイントプログラムの廃止に伴い2021年3月で終了することが決まっています。
4-3.東海東京証券:「かんたんダイレクト」
東海東京証券の2020年IPOの取扱銘柄は16件でした。個人への割当数量のうち10%は、取引実績に関わらず抽選による配分です。ただし、引受株数が2,000単位未満の場合は、取引実績と平均資産残高により区分され抽選が実施されます。ステージ区分はS、A、B、C、Dの5つで、資産が多く手数料を多く支払っている投資家が優遇されるシステムです。
- S:Aステージ相当以上
- A:平均預かり資産残高1億円以上、かつ手数料計(4月、10月から半年)50万円以上
- B:平均預かり資産残高3,000万円以上、かつ手数料計30万円以上
- C:平均預かり資産残高500万円以上、かつ手数料計10万円以上
- D:平均預かり資産残高500万円未満、かつ手数料計10万円未満
5.IPO投資をする際に押さえておきたい証券会社2社
ここでは、完全平等抽選で前受金が必要ですが、押さえておきたい証券会社を2社紹介します。
5-1.マネックス証券
マネックス証券の2020年のIPO取扱件数は55件と、同年全93件の59.1%をカバーしています。これは、大手証券のSMBC日興証券と同水準です。完全平等抽選のため、資産規模や実績に関係なく当選の確率が平等です。IPOに応募する際には前受金が必要ですが、取扱件数の多さから押さえておきたい証券会社です。
5-2.みずほ証券:「ネット倶楽部」
みずほ証券の2020年のIPO取扱件数は62件(幹事21件、引受41件)と、SBI証券の85件に次いで2位の実績があります。「ネット倶楽部」へは、個人向け配分予定数量の10%以上が付されるため、幹事案件については当選する可能性が高いと言えます。
6.一株からIPOに申込可能:SBIネオモバイル証券
IPOは1単元=100株ですが、SBIネオモバイル証券(ネオモバ)では1株からIPOの申し込みができます(ひとかぶIPO)。1単元につき当選者が100人のため当選確率が高いと言えます。「取引継続優遇」や、20~30代の若年層に当選チャンスの広がる「若年優遇」などの優遇策もあります。IPO実績の多いのSBI証券が引き受けた銘柄の一部を委託販売するため、銘柄数、当選確率ともに期待できます。
ただし、「ひとかぶIPO」の売却が上場日以降、初値が付いた日の翌営業日以降でないと売却できない点や、サービス利用料が最低220円(月間)課金される点には留意が必要です。
まとめ
IPOに当選するためには多くの証券会社に口座をもつ必要があります。まず、前受金が必要ではない会社に口座を作ると便利です。資金に余裕のある方は、引受数の実績があるSBI証券、野村證券、マネックス証券、みずほ証券や大和証券などに口座開設を検討すると良いでしょう。また資産がある方は、資産額と当選確率が連動する大和証券やSMBC日興証券も候補に挙がります。
今回はIPO投資に役立つ証券会社を分析しました。IPOは人気が高く当選確率も低くなりがちですが、情報を幅広く収集し応募を続けていきましょう。
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