世界経済の完全再開まで途上、重要性増すESG投資。ナティクシス・ストラテジスト・アウトルック調査

ナティシス・インベストメント・マネージャーズ株式会社は7月26日、定点調査「ナティクシス・ストラテジスト・アウトルック調査」の日本語訳を公表した。市場は13年来となる本格的なインフレを考慮に入れているにもかかわらず「楽観すぎる投資家心理が最大のリスクとなっている可能性」を示唆。回答者らは「投資市場から大きなリターンを享受しているにもかかわらず、世界経済は依然として完全再開には至っていない」と慎重な見方を示す。一方、ストラテジストの半数(48%)がESG(環境、社会、ガバナンス)投資は主流になりつつあり、4分の1(26%)が「ESG投資は必須」と重視している。

調査はナティクシス・インベストメント・マネージャーズ、 グループ運用会社16社、ナティクシス・コーポレート・インベストメント・バンキングのポートフォリオ・マネージャーやストラテジスト、 エコノミストの計42名を対象に実施。冒頭で、市場が13年来となる本格的なインフレを考慮に入れているにもかかわらず「楽観的すぎる投資家心理が最大のリスクとなっている可能性」を指摘する。パンデミック収束の兆しが確認される中、ナティクシスの専門家は、コロナ禍の長期的な影響が徐々に明らかになると見ており、投資家はこれを注視すべきと示唆。 21年上半期には、主要な株価指数の大半が2桁のリターンを達成したが、下半期、投資家はリターンの上昇に伴うインフレとバリュエーションに注意を促す。

今回の調査では、 特に顕著なリスクは確認されず、10段階評価で平均7を超えたリスク要因はなかった。これらの見解を総合すると、投資家はリスクを監視すると共に、今後生じる可能性のある逆風に注意する必要がある。インフレの可能性が取り沙汰されているが、調査は「インフレは一過性のもの。ロックダウンから解放された消費者の強い消費意欲と、サプライチェーンのボトルネックが要因なため。しかしインフレの上振れリスクが高まったことは明らかで、米連邦準備制度理事会(FRB)でさえ21年にインフレが過熱することを認めたが、それ以上の悪循環には陥らないとの確信を有している」とする。

また、同社のストラテジストは、 パンデミックを乗り越える中での2つの主要投資ストーリーについて、ESG投資に最も強い確信を持っている。「パンデミックの最中にESG戦略はリターンと資産拡大の両面で素晴らしい結果をもたらした」と評価は高い。パンデミック後の世界で成功する産業の予想に関しては、前年調査とほとんど変化がないが、「テクノロジー」(88%)、「ヘルスケア」(83%)、「ESG投資」(76%)、「住宅」(74%)と予想されている。 回答者の10人に6人(57%)が「巣ごもり関連」を勝者に挙げていることから、 多くの人が、 同セクターがオフィスへの復帰からの影響を受けるには、なお時間がかかると考えているようだ。

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