投資信託の純資産総額、目安は?銘柄選びのポイントも
投資信託のファンドを選ぶ時に目にする純資産総額。公募によってファンドに集まったお金、ということはお分かりの方もいるかと思いますが、実際の運用や基準価額にはどのように関連しているのでしょうか。
この記事では、純資産総額から見るファンドの運用状況や、基準価額との関連性、純資産総額から見たファンド選びなどを解説しています。純資産総額とファンドの関連性が気になる方など、ご確認ください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- 投資信託の純資産総額とはファンドの規模を示すもの
1-1.純資産総額に関する気になるポイント - 純資産総額が増加すると基準価額も上がる?
2-1.基準価額の計算方法 - 純資産総額の規模と運用
3-1.純資産総額が多いと良い運用ができるのか
3-2.純資産総額の目安は? - 純資産総額に関するランキング
4-1.純資産総額ランキング
4-2.資産流入ランキング - まとめ
1.投資信託の純資産総額とはファンドの規模を示すもの
純資産総額は、ファンドのすべての資産である総資産額から、支払いが終わっていない信託報酬などの費用を差し引いた差額のことを指します。投資家の方から集めた資金をもって、ファンドマネージャーの責任で運用を行います。
1-1.純資産総額に関する気になるポイント
ファンドの規模を表す純資産総額ですが、基準価額とどのように関係しているのでしょうか。
基準価額が下落しつつ純資産総額も下がっている
一般的にこのような状況は、投資家が運用の見通しが悪いとして、解約が相次いでいる状況です。
他の人が一斉に解約しているからといって、即座に同調する必要はありません。基準価額が大きく下がっている場合、運用会社のサイトで確認すると原因や今後の見通しが書かれたレポートが出ていることがありますので、状況の確認のためサイトへアクセスしてみましょう。
短期的な値動きであれば心配する必要はありませんが、同じカテゴリーのファンドと比べて運用成績が悪い場合、運用を継続するか否かの判断を行います。
基準価額は下がっていないが純資産総額は下落している
基準価額がそんなに下がっていないのに、純資産総額は大きく下がっている場合、お金の出入りによる要因が考えられます。あまりに規模が小さくなりすぎると運用に支障をきたす場合があります。
投資信託の目論見書には、繰上償還となる対象の口数が記載されていますが、この数値に近づいているようであれば、今後の運用の可否を決めなければいけません。
なお、分配金が支払われた時も純資産総額は減少します。この場合、純資産総額の減少は一時的なものなので、気にする必要はありません。
2.純資産総額が増加すると基準価額も上がる?
純資産総額が増えると、その分だけ基準価額も増えるのでしょうか。純資産総額と基準価額の関連性を理解するために、基準価額の計算方法を確認しましょう。
2-1.基準価額の計算方法
基準価額は純資産総額を、ファンドに投資している投資家が保有している口数をすべて合わせた総口数で割ることで計算します。1万口あたりの価格を表す基準価額の場合、さらに1万倍にします。基準価額は1口あたりの純資産総額と見ることもできます。
例えば、Aさん、Bさん、Cさんが、3万口、2万口、5万口買い付けた場合、総口数は10万口です。運用会社へ支払う費用を差し引いた分の純資産総額が20万円だった場合、ファンドの基準価額は以下のように計算されます。
純資産総額20万円÷総口数10万口=2円 1万口あたりの基準価額は20,000円
ファンドの基準価額は株式のような需要と供給で決まるものではなく、客観的な評価額として基準価額に表されています。
3.純資産総額の規模と運用
純資産総額の金額が大きければ大きいほど運用の成果が出せるのでしょうか。ここでは、純資産総額と運用の関係性について解説します。
3-1.純資産総額が多いと良い運用ができるのか
純資産総額の多いファンドは多くの資産を保有しているので、余裕のある資産運用が可能です。主なメリットとして、以下の3点が挙げられます。
- 経費率を抑えられる
- 銘柄の入れ替えが行いやすい
- 繰り上げ償還されにくい
規模の小さなファンドは、頻繁に銘柄の売買を行っていると、リバランスの兼ね合いにより売りたくない銘柄まで売却するケースに陥ることがあります。基準価額にも影響するので、思い切った銘柄の入れ替えを伴う運用は行いにくくなるのです。
規模が大きなファンドは繰り上げ償還のリスクも低めです。繰り上げ償還の条件は、目論見書にも記載がありますが、純資産総額が減少し運用成果が出せなくなるとファンドから通達があり、運用が途中で終わってしまいます。
ファンドの規模が大きければいい運用ができる、とは言えませんが、余裕がある柔軟な運用ができることは確かでしょう。
3-2.純資産総額の目安は?
では、どの程度の規模のファンドへ投資するのが良いのでしょうか。
SBI証券の銘柄検索で調べてみると、運用期間3年のスクリーニングでは純資産総額が少ないファンドもありましたが、5年以上の期間、運用を続けているファンドはおおよそ、100億円以上の純資産額を保有していました(2021年7月26日調査)。
100億円以上の資産を維持しつつ、5年以上の運用を行っているファンドが多いことから、中長期でみると純資産総額の目安は100億円以上と考えても良いでしょう。
ファンド規模の目安ですが、2021年7月26日現在、SBI証券取扱のファンドの最高純資産総額は1兆円を超えており、S&P500のインデックスファンドは約151億円となっています。
4.純資産総額に注目してファンドを選ぶ
SBI証券の取り扱いファンドから、純資産総額の多さや、純資産の増加に注目してランキングトップ10をピックアップしました。
4-1.純資産総額ランキング
2021年7月26日現在、純資産総額ランキングトップ10です。参考に基準価額も載せました。基準価額は分配再投資分も合わせて分析すると、本来の運用成績がわかります。
ファンド名 | 純資産総額(百万円) | 基準価額(円) |
---|---|---|
1.アライアンス-アライアンスバーンスタイン米国成長株投信D毎月H無予想分配金提示型 | 1,110,506 | 12,492 |
2.ピクテ-ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型) | 923,124 | 2,547 |
3.One-グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし) (愛称:未来の世界) | 751,815 | 30,603 |
4.GS-netWIN GSテクノロジー株式ファンド Bコース(為替ヘッジなし) | 716,168 | 24,531 |
5.大和-ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコース(為替ヘッジなし) | 672,648 | 2,588 |
6.フィデリティ-フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし) | 658,547 | 3,459 |
7.日興-デジタル・トランスフォーメーション株式ファンド (愛称:ゼロ・コンタクト) | 652,747 | 13,681 |
8.三井住友TAM-次世代通信関連 世界株式戦略ファンド (愛称:THE 5G) | 639,163 | 18,288 |
9.東京海上-東京海上・円資産バランスファンド(毎月決算型) (愛称:円奏会) | 617,948 | 10,553 |
10.One-投資のソムリエ | 576,387 | 12,401 |
4-2.資産流入ランキング
2021年7月26日現在、6か月連続で資金流入プラスを続けているファンドランキングトップ10です。流入金額から流出金額を引いて、差額が大きなファンドから上位表示しています。
ファンド名 | 純資産額(百万円) | 基準価額(円) |
---|---|---|
1.アライアンス-アライアンスバーンスタイン米国成長株投信D毎月H無予想分配金提示型 | 1,110,506 | 12,492 |
2.One-グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし) (愛称:未来の世界) | 751,815 | 30,603 |
3.One-投資のソムリエ | 576,387 | 12,401 |
4.三菱UFJ国際-eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | 533,245 | 16,482 |
5.アライアンス-アライアンスバーンスタイン米国成長株投信C毎月H有予想分配金提示型 | 522,289 | 12,127 |
6.大和-ダイワJ-REITオープン(毎月分配型) | 430,460 | 3,562 |
7.日興-グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回決算型) | 373,784 | 10,519 |
8.アライアンス-アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース為替ヘッジなし | 348,531 | 43,596 |
9.楽天-楽天・全米株式インデックス・ファンド (愛称:楽天・バンガード・ファンド(全米株式)) | 313,547 | 17,568 |
10.ニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド | 303,650 | 23,357 |
まとめ
投資信託の純資産総額とは、総資産額から運用に必要な費用を引いて残った資産のことを言い、純資産額の多さはそのままファンドの規模に置き換えられます。純資産総額は投資家から預かった資金をもとに運用した時価総額で、表示される基準価額は客観的なファンドの評価です。結果としてファンドの運用成績が良い場合、高い基準価額となって表示されます。
5年以上、繰上償還をせずに運用を継続しているファンドはおおよそ100億円以上の純資産総額で運用されているので、ファンド選びの際は、純資産100億円以上のファンドで絞り込んでも良いでしょう。
運用状況が良いファンドは、資産流出が少なくコンスタントに純資産総額が増えているので、トータルリターンとともに、純資産の増減も見るとより意に沿ったファンド選びが可能です。ファンドを選ぶ時は様々な切り口から検討してみましょう。
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