初めての投資信託、金融機関と銘柄の選び方は?NISAの活用方法も
初めて投資信託を買おうとする際には、どの金融機関を使って、どの銘柄を購入すればいいか等、わからないことが多く悩みがちです。ここでは、そんな方に向けて、投資信託デビューのための金融機関や銘柄の選び方、お得なNISAの活用方法について解説します。
目次
- 投資信託を購入する
1-1.最低投資金額が低い金融機関を選ぶ
1-2.取扱い銘柄数の多い金融機関を選ぶ
1-3.信託報酬の低い銘柄を選ぶ
1-4.初心者はインデックス連動銘柄から
1-5.NISA口座を活用する - NISAとは
2-1.“一般NISA”と“つみたてNISA”
2-2.それぞれのメリット・デメリット - まとめ
1 投資信託を購入する
初心者の方が投資信託を購入する際には、以下の5点に注意しましょう。
1-1 最低投資金額が低い金融機関を選ぶ
投資は継続することが大切です。そのため投資を始めるにあたっては、できるだけ小さい金額から投資可能な金融機関を選ぶように心がけましょう。
投資信託の最低金額は購入方法によって異なります。購入方法には通常買付(口数指定)、金額指定、積立の3種類の方法があります。一般的に投資信託の設定価格は最低1万円とされており、基準価額(投資信託の価格)は1口または1万口当たりの価格を示しています。通常買付においては、基準価額が9,800円の投資信託の場合、1口購入する際は投資金額が9,800円、10口では9.8万円が必要です。
一方、金額指定とは購入金額を決めて投資信託を購入する方法です。例えば、基準価額9,800円の投資信託を金額1万円投資する場合、口数は1.02口(1万円÷9,800円)です。なお、金額指定の最低金額は金融機関により異なり、ネット証券会社では100円以上1円単位で購入可能な場合もあります。
積立も金融機関により最低積立金額が違います。積立においても、少額から投資可能な金融機関を選ぶことで、長期にわたり無理のない投資が可能です。ネット証券では100円以上1円単位で積立ができます。
1-2 取扱い銘柄数の多い金融機関を選ぶ
投資信託は金融機関により取扱い銘柄数が異なるため、取扱い銘柄数の多い金融機関を選ぶようにしましょう。投資信託の銘柄数は2021年6月末時点で5,891本です。
株式の場合は、取引所に上場している銘柄については一般にどの証券会社からも投資することができます。一方、投資信託は銀行や信用金庫、郵便局などでも購入することができますが、取扱銘柄数では証券会社に見劣りします。
特にネット証券は取扱い銘柄数が多く、2,500銘柄を超えている会社もあります。一方、銀行や郵便局では取扱い銘柄数が絞られており、2021年7月末時点で取扱い銘柄数は郵便局では68本です。銘柄が多いと何を選んだら良いのか分からなくなってしまうこともありますが、選択肢は多い方が良いと言えます。
1-3 信託報酬の低い銘柄を選ぶ
信託報酬とは投資信託を保有している間に必要な手数料のことです。日々の基準価額は既に手数料が引かれた金額が提示されているため、投資信託を保有していても手数料を支払っているという意識が持てません。そのため、投資する前に信託報酬をチェックする必要があります。
信託報酬は投資信託の銘柄により異なり、インデックス連動型のパッシブ運用の投資信託では低めに、アクティブ運用では高めに設定される傾向があります。インデックスとは、日経平均株価やS&P500指数のような指数で、対象指数と同じ動きをするように設計されているのがインデックス型(パッシブ型)投資信託です。
日経平均株価やS&P500などの指数は計算方法や対象銘柄が開示されているため、対象指数と同様の銘柄を指数の比率に合わせた金額を投資することで合成的な指数を作りだすことができます。つまり、インデックス連動銘柄の場合には、投資信託を運用する運用会社が機械的に運用することが可能なため、信託報酬が低く設定されているのです。
一方、アクティブ運用は投資対象を絞る際にアナリストが銘柄を精査する必要があるため、時間や人手が必要となり信託報酬が高めに設定されます。運用成績が良い銘柄もあるため、一概に信託報酬が高いから良くないとはいえませんが、投資期間が長期にわたる場合には信託報酬ができるだけ低い銘柄を選ぶようにしましょう。
100万円を信託報酬が0.1%と3%の2つの銘柄に投資した場合を考えてみます。基準価額1万円と想定した場合、手数料累計額(30年間)は0.1%の場合は3万円ですが、3%では90万円です。運用期間が長ければ長いほど差額が広がります。信託報酬は年率で、日々の信託報酬は日割り計算されます。例えば信託報酬が3%の場合、基準価額×3%÷365日です。
信託報酬比較(基準価額1万円、100口)単位:円
信託報酬\投資期間 | 1年 | 5年 | 10年 | 20年 | 30年 |
---|---|---|---|---|---|
0.10% | 1,000 | 5,000 | 10,000 | 20,000 | 30,000 |
3% | 30,000 | 150,000 | 300,000 | 600,000 | 900,000 |
差額 | 29,000 | 145,000 | 290,000 | 580,000 | 870,000 |
1-4 初心者はインデックス連動銘柄から
初心者の方は、まずインデックス連動銘柄を選ぶようにしましょう。信託報酬が低いことに加え、インデックスの価格が公開されているため自身の資産状況を日々把握しやすいためです。
インデックスの代表としては、日本では日経平均株価とTOPIX、米国ではダウ平均株価、S&P500やナスダック指数が挙げられます。それぞれの指数に組み入れられている銘柄数は、日経平均株価が225銘柄、TOPIXは東証1部全銘柄、ダウ平均株価が30銘柄、S&P500が500銘柄となっています。ナスダック指数は銘柄数が多いものの、新興企業の銘柄が多いことから、S&P500が米国の代表指数とされています。
投資の原則は、長期、分散、積立です。リスクを回避するうえで重要なのは分散です。分散には銘柄分散や地域分散があります。地域分散をすることで、為替リスクを回避することが可能です。S&P500指数など米国を代表する指数連動型の投資信託などに投資すれば、投資銘柄を分散しながら米国に投資ができます。
1-5 NISA口座を活用する
投資信託を始める際には、NISA口座を活用するようにしましょう。金融機関の一般的な口座では配当金や売却益などに約20%が課税されますが、NISA口座は長期間にわたり配当金(分配金)や売却益が非課税になるからです。詳しくは後述します。
2 NISAとは
NISAには一般NISAとつみたてNISAの2種類があります。それぞれ上限額と非課税期限が決められており、一般NISAの上限金額は年間120万円で非課税期間は5年(現行制度は2023年まで。2024年から新しいNISA制度)となり、つみたてNISAの年間上限金額は40万円(月33,333円)、非課税期間は20年で最大800万円まで非課税です。
2-1 一般NISAとつみたてNISA
NISA口座は一人1口座のみしか開設できず、複数の金融機関での口座開設や、一般NISAとつみたてNISAの併用もできません。
一般NISAとつみたてNISAの違いは、投資対象や投資期間です。一般NISAは、投資信託、個別株(国内・外国)が対象で、上限金額は年間120万円です。これは累計投資金額のため、NISA口座で100万円の株に投資し、年内に売却した場合においてもNISAの残りの枠は20万円となります。
つみたてNISAの投資対象は、金融庁が指定した投資信託とETFの199本です(2021年7月末時点)。そのうち、インデックス投資信託は173本と、大部分を占めます。非課税枠は年間40万円(月の上限金額は33,333円)で、非課税期間が20年と長期にわたっているため資産形成に有利な制度です。
2-2 それぞれのメリット・デメリット
一般NISAのメリットは銘柄が指定されていないことです。個別株に投資し、非課税期間内であれば利益は全て非課税で、配当金についても非課税となります。非課税期間が終了した場合は最終日の価格が簿価となり、自動的に特定口座に移行するため期間内に売却する必要はありません。
一方、デメリットはNISA口座内で損失が生じた場合、他の口座との損益通算や繰延控除の対象とならないことです。特定口座の場合、確定申告により株式などの譲渡損失は3年間繰延べ損失の対象となり、その間、配当金や譲渡益と相殺することができます。また、米国株に投資している場合、配当金に対し10%が海外で課税されますが、外国税額控除の対象にはならないこともデメリットです。
つみたてNISAのメリットとしては、対象期間が20年と長いことが挙げられます。時間を味方につけることで資産を大きく増やせる可能性があります。利益が増えれば増えるほど、一般の口座では税額も増えますが、つみたてNISAは非課税のため全利益を受け取ることができます。
例えば、S&P500指数やDAX指数はこの20年で3倍以上に上昇し、現在も高値圏で推移しています。このことを考えると、利益に対する20%程度の税金がかからなくなる、つみたてNISAのメリットは大きいと言えます。
また、途中売却も可能なため、急な出費にも対応することができ、使い勝手の良い制度です。最低積立金額も証券会社によっては100円から可能なこともメリットです。
デメリットは、投資対象銘柄が限られていることです。特にアクティブ運用の投資信託は19本のみです。また、一般NISAと同様に損失が発生した場合には、他の口座との損益通算や繰越控除ができないこともデメリットです。
まとめ
投資信託デビューの際には、なるべく取扱本数が多く、購入時手数料0円のものが多い証券会社で、信託報酬の安いインデックス型の投資信託を選ぶのが無難です。SBI証券や楽天証券といったネット証券は、取扱本数が多く、手数料も安い傾向にあります。
また、NISAやつみたてNISAも積極活用することで、非課税メリットを受けて運用効率を上げることもできます。株と投資信託を併用したり、数年単位での資産形成を狙ったりする場合にはNISA、分散投資をしながらコツコツと将来的にまとまった資産を築くにはつみたてNISAが適しています。
初心者のための投資信託ガイド
- 投資信託とは?仕組みや特徴、購入手順などをプロが解説
- 投資信託にはどんな種類がある?投資対象と運用方法から特徴を比較
- 投資信託の手数料の種類と分配金の種類は?複利運用の解説も
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