今後5年間の機関投資家の年率トータルリターン見通しは世界的に改善。シュローダー機関投資家調査2021
資産運用大手のシュローダーは、世界の機関投資家のコロナ禍における投資見通しやサステナブル投資に対する意識を把握することを目的に「シュローダー機関投資家調査2021」を実施、日本語版が8月25日公開された。調査ではアフターコロナを見据え、機関投資家の年率トータルリターン見通しが改善したことがわかった。また、パフォーマンスに影響を与える要因として、コロナ禍のような世界的危機が多く挙げられた一方、「金融緩和の縮小」を挙げる投資家が昨年比で大きく増加(23%→51%)した。
サステナブル投資に関する質問では、コロナ禍の影響でより重視されるようになったと回答した機関投資家が過半数(52%)になった。また、サステナブル投資に「課題がある」と考える機関投資家が大半(80%)を占める一方、サステナブル投資がパフォーマンスを低下させるという懸念は後退する傾向にあることが明らかになった。
調査は26の国/地域の750の機関投資家を対象に今年2月から3月にかけて実施。対象とする機関投資家の運用資産総額は約26.8兆ドル。はじめに、世界の機関投資家のトータルリターン見通しは改善してきており、今後5年間の見通しに対してより前向きな回答が得られた。コロナ禍のような世界的危機は依然としてパフォーマンスに影響する要因と考えられているが、世界的な景気減速と同様、1年前の調査結果と比べて大幅に減少していた。グローバルな景気見通しの改善から、金融緩和の縮小による流動性低下を懸念する投資家が増加し、規制や気候変動リスクの影響を挙げる投資家も増えた。
世界の機関投資家におけるサステナブル投資の重要性は高まっている。全体の52%の機関投資家が「新型コロナ危機の影響でサステナブル投資をより重要視するようになった」と回答。欧州では特にその傾向が強く、62%が重要視するようになったと回答した。半面、サステナブル投資を行わない投資家はわずか8%と、20年の11%からさらに減少している。
サステナブル投資のパフォーマンスに懸念を持つ機関投資家は約38%と、3年連続で低下(18年51%、19年48%、20年45%)。サステナブル投資が投資リターンを阻害するとの考えは後退傾向にある。しかし、サステナブル投資を行う上で依然として課題は残っており、最大の課題は「グリーンウォッシング」(59%)で、昨年調査の60%と横ばいだった。また、透明性と報告データの欠如(53%)も多く挙げられた。リスク評価・管理の難しさ(46%)やコスト(34%)も前年より増加した。
サステナブル投資の意思決定に使用するデータソースとして、外部機関のESG評価やインデックスなどのデータを利用する企業が多く見られる。一方で、世界の投資家のうち54%は社内分析を行っており、地域別では、欧州の59%が他の地域を上回った(北米53%、アジア・パシフィック51%、中南米49%)。
【関連サイト】シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社
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