新進気鋭のブロックチェーンSolana、そのNFT事情は?
今回は、Web3.0とDAOをテーマに事業を行うFracton Ventures株式会社の鈴木雄大 氏から寄稿いただいたコラムをご紹介します。
目次
ビットコインやイーサリアムと比較して飛躍的な性能向上を成し遂げたSolana(ソラーナ)ブロックチェーンが、最近話題となっています。この記事では、同じく大きな注目を集めているNFTが、Solana上でどのような道をたどっているか、そんな事情をご紹介します。
1. 話題となったNFTコレクション
Solanaではイーサリアムと同様に、1つのテーマに沿って作成された「NFTコレクション」が人気を博しています。様々な趣向を凝らしたNFTが日夜販売され、二次流通マーケットでも活発に取引されています。
ここではその一部をご紹介します。
1-1. Degenerate Ape Academy
Solana NFTとしては初期の段階で販売された、類人猿をモチーフにしたNFTコレクションです。当初からTwitterでプレゼントキャンペーンを開催して大きな注目を集め、実際のセールでは10,000体のNFTが8分で完売し、話題となりました。
1-2 SolPunks
イーサリアム上で発行され、今や一種のヴィンテージNFTとして取引されている「CryptoPunks」をモチーフにしたNFTです。ドットで人型キャラクターを描いたアート作品となっています。
2. ブロックチェーンゲームとNFTの可能性
今年に入り、プレイを通して報酬を獲得することのできる「ブロックチェーンゲーム」もまた、NFTと同様に注目される存在となっています。しかし、例えばアイテムのやり取りをブロックチェーンで管理するとしても、そのたびに待ち時間が発生し、多額の手数料がかかるようではゲーム体験を損なってしまいます。そこで、ほぼゼロに近い手数料で、なおかつ数秒以内に取引が完了するSolanaブロックチェーンを使ってゲームを構築しようとする動きが活発化しています。
いくつかのプロジェクトがNFTをゲームに組み込んだ構想を発表しています。ここではSolanaブロックチェーンを用いている2つのプロジェクトについてご紹介します。
2-1 Star Atlas
Star Atlasは広大な宇宙を舞台にしたゲームです。次世代のレンダリング技術を活用して描き出される世界で、プレイヤーは資源、つまりゲーム外世界でも通用する報酬を採掘したり、時には自ら宇宙船を駆って戦闘に参加したりして、銀河の中で自分だけのゲーム体験を作ることができます。また、Star Atlasは多人数が同じゲーム世界に参加することを前提としており、仲間同士で艦隊を作り、大規模な星間戦争を繰り広げることすら可能です。
現在のところ、プレイヤー自身が操作できる宇宙船や、資源(報酬)を採掘するゲーム内施設などがNFTとして販売されています。また、ゲーム内でキャラクターが身につけることのできるファッションアイテムも販売されており、デジタル空間の中で人々が交流することのできる、いわゆるメタバースのあり方を探る上でも興味深いプロジェクトと言えるでしょう。
2-2 Aurory
Auroryは、Neftiesと呼ばれる不思議な生き物が数多く住まう世界を冒険するアドベンチャーゲームです。プレイヤーは多様な能力を持つNefitiesを捕まえ、育て、理想のチームを作りあげていきます。
このゲームには1人用モードと競技用モードが用意されており、1人でストーリーを進めてNeftiesを獲得することも、他のプレイヤーと戦って戦いの腕を磨くこともできます。Neftiesや装備品、ゲーム内の土地などはNFTとして、他のプレイヤーとの間で取引することができるようになっています。
2つのプロジェクトは両方とも、まだゲーム本体はリリースされておらず一部のNFTが先行販売されている状態です。しかし、どちらのプロジェクトのNFTも活発に取引されており、注目が高まっていることが伺えます。
3. SolanaのNFTは新しい境地を切り開けるか?
ここまで、Solana上で構築された複数のプロジェクトを紹介してきました。その中でも、ここで特に着目したいのはSolPunksです。先に述べたように、SolPunksはイーサリアム上で既に販売されている「CryptoPunks」を模倣したものであることは名前からも明らかです。こうした先行NFTプロジェクトのコンセプトを流用したNFTが、後発のSolanaで販売される事例が相次いでいるのも事実です。
ただし、こうしたプロジェクトは大元のプロジェクトを全てコピーできているわけではありません。CryptoPunksとSolPunksの例を見ると、オリジナルのCryptoPunksは現在100ETH(約3200万円)前後で取引されているのに対し、コピーのSolPunksは8SOL(約12万円)と極めて低い価格で取引されていることがわかります。
これは、NFTに画像以上の価値を見出している人々が多いためです。CryptoPunksが高値で取引されているのはCryptoPunksに歴史があり、より多くの人々が魅力を感じているためで、それをコピーしたにすぎないSolPunksには価値を見出している人が少ない、と考えることもできるでしょう。つまり、模倣ではオリジナル以上の価値を生み出すことはできないのです。
では、SolanaブロックチェーンがNFT分野で存在感を得るには何が必要なのでしょうか。低い手数料・高速処理が可能なブロックチェーンというSolanaの特徴が、より多くのクリエイターがNFTを試してみるのに最適な環境につながるのではないかと考えています。
Solana上に数多く存在するプロジェクトの中の1つに、Metaplex(メタプレックス)というプロジェクトがあります。これは、クリエイターがNFTを発行し、自身のウェブサイト上で販売できるようサポートするツールです。ECにおけるShopifyのようなもので、クリエイターは簡単に独自のNFTストアを構築することができるようになっています。
こうした技術面でのサポートに加え、SolanaでのNFT発行は極めて低コストで行えることもポイントです。こうした点を踏まえると、今後より多くのクリエイターがNFTを発行するようになった際、それらの受け皿としてSolanaが活用されるようになるのではないかと考えています。模倣を超えたその先に生まれてくるのは、そうした新たなユースケースではないでしょうか。
4. あとがき
本記事ではSolana上のNFT事情、今後の見通しについて解説しました。Solana上でNFTが発行されるようになってから、まだ1年も経っていません。にもかかわらず数多くのプロジェクトが既に立ち上がっていることを考えると、これから予想もつかない方向に進化していく可能性も十分にあります。この新しい環境で生まれてくる様々なプロジェクトを継続的に観察していくと、新しい発見も得られるのではないでしょうか。
ディスクレーマー:なお、NFTと呼ばれる属性の内、発行種類や発行形式によって法令上の扱いが異なる場合がございます。詳しくはブロックチェーン・暗号資産分野にお詳しい弁護士などにご確認ください。
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