最近よく耳にするdYdXとは?今DeFi領域で注目を集めるdYdXを徹底解説

今回は、DeFi領域で注目を集めるdYdXについて、大手暗号資産取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では暗号資産コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. dYdXが注目される理由
    1-1. 急激な値上がりを見せたdYdX
    1-2. dYdXの価格上昇の背景
    1-3. 中国の仮想通貨規制とは?
  2. DEXとしてのdYdX
    2-1. dYdXの概要
    2-2. dYdXの特徴
  3. 仮想通貨「dYdX」
    3-1. dYdXの基本情報
    3-2. dYdXの特徴
  4. まとめ

DeFiの情報を追いかけている方の中は「dYdX」という言葉を最近耳にするのではないでしょうか?dYdXは2つの意味があり、1つは分散型取引所(DEX)の名称、もうひとつがそこで利用されるガバナンストークンの名称です。

dYdXは9月の上旬に海外仮想取引所に上場したばかりの仮想通貨ですが、下旬からの数日で急激な上昇を見せました。また、取引所としてのdYdXはコインベースの取引高を抜くなどその点からも注目を集めています。さらにBINANCEやHoubiなどの大手仮想通貨取引所での上場も相次いでいます。

そこで今回は、dYdXが注目されている理由と、取引所・仮想通貨それぞれのdYdXについて解説したいと思います。

1. dYdXが注目される理由

まずはじめにdYdXが注目される理由について解説します。

1-1. 急激な値上がりを見せたdYdX

dYdXが注目された背景としては、わずか数日の間での急激な価格上昇がありました。

上記はFTXのdYdX/USDのチャートですが、9月26日の始値で13.979ドルであったdYdXの価格は、9月30日には高値で28.000ドルまで上昇し、わずか4日で200.3%の急激な上昇を見せています。また、この急上昇が始まった9月26日にはdYdXの取引高は36.8億ドルを記録し、Coinbaseの36.1億ドルを上回りました。これは、同じDEXであるUniswapやPancakeSwapなどの取引量も上回っています。

1-2. dydxの価格上昇の背景

dYdXの価格上昇の背景には何があったのでしょうか?仮想通貨に限らず、価格は需要と供給の関係で決まるため、基本的には急激な価格の上昇は需要の急激な高まりか、供給の急激な減少を意味します。

例えば、8月に急激な上昇を見せたSOL(ソラナ)は、ソラナのブロックチェーンをプラットフォームとする「Degenerate Ape Academy」がローンチし、 最初の10分間で1万枚の猿のクリプトアートが売れました。このNFTマーケットプレイスではSOLが決済通貨となっており、NFTの購入とトークンの購入が結びつき、SOLが大量に購入された結果価格が上昇しました。2020年3月に1ドル以下で発行されたSOLは、約1年半で約15,000倍の上昇をしています。

今回のdYdXの場合は、需要の増加に伴うものだという見方があります。複数のアナリストの推測によると、中国政府による仮想通貨規制の影響との見方が強く、規制が発表された日付から考えても、その予測は一致します。

次に中国の仮想通貨規制と今回のdYdXの価格上昇にはどのような関係があるのかについてを解説します。

1-3. 中国の仮想通貨規制とは?

中国政府の仮想通貨規制は、2018年から段階的に進められ、今年の5月には電力供給懸念と相まってマイニングに対する規制や金融機関に仮想通貨の関連業務を禁じる通達がなされていました。そして、dYdXが急激な値上がりを始める2日前に当たる9月24日には新たな規制が発表されました。

これは国外の仮想通貨取引所が中国の居住者を対象としてインターネットを通じた取引業務を提供することを禁じるもので、今回の規制により仮想通貨取引や取引情報の提供に関連するサービスが全面的に禁止され、刑事責任が追及されるという厳しい内容のものでした。

個人ユーザのほとんどは中国のグレートファイヤーウォールを搔い潜る為のVPNを利用し、BINANCEなどの国外取引所の利用をしていましたが、中央集権型の仮想通貨取引所での取引は難しくなるため、DEXへの流入が起こったと考えられています。

2. DEXとしてのdYdX

次にDEX(分散型取引所)としてのdYdXがどのような取引所であるのかについて解説します。

2-1. dYdXの概要

dYdXは2017年、CoinbaseのエンジニアであったAntonio Juliano(アントニオ・ジュリアーノ)氏により設立された分散型のデリバティブ取引所です。

設立当初からトレーダーからのフィードバックを収集し、プロトコルの改善を繰り返すことで2019年5月には新しい取引プロトコルであるSolo Protocolを導入、2020年には1000万ドル相当のシリーズAの投資を完了しています。その後、Starkware StarkEXと共同でイーサリアムブロックチェーンを用いてスマートコントラクトで実行されるレイヤー2を開発し、その結果大幅にガスト取引の手数料を削減。注文サイズの削減やパーペチュアルコントラクトのオプションの取扱いを可能にしました。2021年のシリーズBおよびシリーズCラウンドでは7,500万ドルの投資を受け、2021年8月3日には取引所のガバナンストークンであるdYdXを発行しました。

dYdXが提供しているサービスには、以下のようなものがあります。

  • 現物取引
  • 信用取引
  • レンディング
  • BTC/USD、ETH/USD、LINK/USDのパーペチュアル・スワップ(永久先物)取引
  • ステーキング
  • dYdXのガバナンス

現在の運営チームの透明度の高さやトレーダー視点での利便性の良さ、dYdXがステーキングとガバナンスに利用できるとあり、多くのトレーダーにとって魅力的なDEXであるといえそうです。

2-2. dYdXの特徴

dYdXのもっとも大きな特徴としては、イーサリアムのブロックチェーンを使用しながらもそのメインチェーンであるレイヤー1とは異なるレイヤー2というチェーンで処理をする方法を取ることにより、処理スピードの向上と、ガス代の無料化を実現している点です。

イーサリアムのガス代は、イーサリアムのメインブロックチェーン(レイヤー1)上でトランザクション処理に伴うマイナーへの報酬を手数料として支払う必要があるために発生しますが、イーサリアムのメインチェーンとの互換性を保ちながら別のチェーンで処理するレイヤー2ではこの手数料が必要なくなります。

他にもDEXとしてのdYdXには、以下のような特徴があります。

  • 2~25倍のレバレッジ取引が可能
  • ステーキングサービスも開始
  • ガバナンストークンとしてのdYdXの運用

3. 仮想通貨「dYdX」

最後に仮想通貨としてのdYdXについて解説します。

3-1. dYdXの基本情報

dydxの仮想通貨としての基本情報は、以下の通りです。

ティッカーシンボル・・・「DYDX」
現在の価格(21年10月5日現在)・・・2,556.84円
時価総額・・・約2.56兆円
時価総額ランキング・・・83位
循環サプライ・・・5567.9万枚
発行上限・・・10億枚
トークン規格・・・ERC-20
コンセンサスアルゴリズム・・・PoS(プルーフ・オブ・ステーク)

残念ながら現段階では国内仮想通貨取引所では取り扱われていませんが、海外仮想通貨取引所では、BINANCE、FTX、Houbi Global、OKEx、Krakenなどで取引が可能です。

3-2. dYdXの特徴

dYdXの特徴としては、コンセンサスアルゴリズムにPoSを採用していることでステーキングが可能であるという点と、所有することでdYdXのガバナンスに参加できるという点にあります。ガバナンスに関するインターフェイスも別途用意されているため、ユーザービリティに富んだ使い勝手の高い取引所といえるでしょう。また、dYdXは将来的には完全なDAOを目指しているとの事です。

4. まとめ

dYdXは、仮想通貨の魅力としてもさることながら、取引所としても非常に興味深いサービスを提供しています。興味のある方はCoincheckなどでビットコインなどを購入し、それを転送する形でdYdXを利用してみると面白いかもしれません。

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