アパート経営でFIREに必要な自己資金や規模は?シミュレーション付きで解説
FIREとは、経済的に自立することで労働から離脱することを指しています。このFIREのためにアパート経営を始めたり、投資用物件を増やしていく計画を立てる人も多いのではないでしょうか。
そこで今回はFIREについて解説しつつ、どのようにアパート経営をするとFIREが実現できるのか、シミュレーションしていきます。
目次
- FIREとは
1-1.FIREを実現するための利回りの目安 - 不動産投資がFIRE実現で活用されている3つの理由
2-1.不動産投資ローン(アパートローン)によるレバレッジ効果が高い
2-2.手間や労力が少ない
2-3.ミドルリスクである - アパート経営でFIREを目指す際の注意点とリスク
- FIREを実現するためのシミュレーション
4-1.FIREを実現するための数値の設定
4-2.FIREを実現するのに必要な資産の規模と目標額
4-3.FIREを実現するのに必要な自己資金(初期投資) - まとめ
1 FIREとは
FIREとは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字を取ったもので、経済的な自立によって早期リタイアすることです。つまりFIREするということは、「会社に雇われることなく収入を得た上で、自由で豊かな暮らしを送ることができる」という状態を目指すことになります。
アーリーリタイアやセミリタイアという概念もありますが、FIREには会社に勤めていなくても、自由に暮らしていけるような生活の基盤を資産形成および運用で築いている状態を含みます。早期に退職してその後の暮らしをアルバイトなどで過ごすのではなく、日々の生活費をまかえるだけの貯蓄や資産を形成したことでリタイアするというのがFIREの概念です。
1-1.FIREを実現するための利回りの目安
FIREを実現するためには、必要な利回りの目安があります。それが「4%ルール」と「6%ルール」です。詳しく見ていきましょう。
4%ルール
これはアメリカ株式の年間成長率が7%で、アメリカのインフレ率が3%だったことから、「7-3」という計算から「4%ルール」と呼ばれています。利回りを4%とした場合、年間支出の25倍の資産を築いていれば、その運用益で生活費をまかなえるという考えです。
4%ルールでは、1年間に必要な生活費が400万円であれば、1億円の資産を築いていれば、元手の資産を減らさずに生活していける可能性がある、ということを示しています。
しかしこの考え方はアメリカの経済に則ったもので、日本の場合は異なります。それが次の「6%ルール」です。
6%ルール
アメリカと日本の違いはインフレ率です。アメリカのインフレ率は3%に対して、日本では2%に目標を定めているものの、長年達成できずに1%未満を推移しています。そのため、日本では「6%ルール」を基準とする見方もあります。
前項でシミュレーションしたように、1年間の生活費として400万円が必要であれば、日本の場合は6,700万円ほどの資産による運用益でまかなうことができます。
この「4%ルール」と「6%ルール」はFIREにおける基本的な考え方になりますので、理解しておきましょう。
2 不動産投資がFIRE実現で活用されている3つの理由
このFIRE実現に向けて不動産投資が活用されている代表的な3つの理由を見てみましょう。
2-1 不動産投資ローン(アパートローン)によるレバレッジ効果が高い
不動産投資はローンを活用することでこのレバレッジ効果を得ることができます。例えば、自己資金が500万円だとしても、3,000万円の融資が得られれば、3,500万円の投資用アパートを手に入れることができるのです。
なお、株式投資の信用取引やFXなど、他の投資商品にもレバレッジ効果はあります。しかし、これらの投資対象は元々のボラティリティが高く、短期・中期での投資スパンを想定していることから、不動産投資のように10~40年程度の長い期間にわたって投資を続けることはほぼありません。
一方で、不動産はFXや信用取引と比べて値動きが少なく、金融機関のローンを活用して長期的にレバレッジを利用した投資が可能です。ローンのレバレッジと長期的な運用により、少ない元手からでもコツコツと資産形成に取り組むことができ、FIREの実現に適した投資方法の一つと言えます。
2-2 手間や労力が少ない
不動産投資の代表的な特徴として、手間や労力をかけずに所得が得られることが挙げられます。一度物件を購入すると、管理は管理会社に任せることができ、本業がある人でも無理のない運営が行いやすいと言えます。
給与所得を得ながら早期リタイヤ(FIRE)を目指すうえでは、このような本業とのバランスをとった投資方法を検討することも重要なポイントとなってきます。
2-3 ミドルリスクである
実物資産である不動産は、インフレリスクへのヘッジにもなります。また、国が資産の評価額を設定していることや、個別の不動産に関しては相対取引で価格が決まることから、市場に流通している金融資産と比較して景気変動の影響を受けにくいという特徴もあります。
総じて、株式やFXなどの金融商品を対象とした投資方法と比較してミドルリスクな投資方法と言え、長期的な資産形成を検討している場合に適した手段の一つと言えるでしょう。
ただし、不動産投資に特有のリスクもあり、それぞれのリスク対策を行うことも重要なポイントとなります。下記の表は不動産投資におけるリスクと、その対応策の一例です。
不動産投資のリスク | 対応策の一例 |
---|---|
空室リスク | 管理会社の選定 |
家賃滞納リスク | 保証会社の活用 |
修繕リスク | メンテナンスの徹底 |
資産下落リスク | 地価推移や人口推移などのデータの検証 |
災害リスク | 地震保険の活用、物件のエリア選び |
金利上昇リスク | 固定金利の活用 |
3 アパート経営でFIREを目指す際の注意点とリスク
アパート経営でFIREを目指す場合、一定以上の投資規模まで事業拡大を行う必要があります。規模拡大を行うほど、資金調達の難易度が上がり、アパートローンの返済リスクが増大していくことになります。
また、アパートは金融資産と違って売却時の価格が明確ではなく、相対取引によって買主と交渉を行う必要があります。相場を読み解くのが難しく、想定した価格・タイミングで売却を行えないケースも少なくありません。
物件の取得を焦ってしまった結果、高値でアパートを購入してしまうと、売却差損が生まれる可能性があるので注意が必要です。
アパート経営でFIREを目指していくのであれば、このような注意点やリスクにも目を向け、リターンとリスクのバランスをとった慎重な投資判断が重要となってきます。
4 アパート経営でFIREを実現するためのシミュレーション
この項目では実際にどのような流れでFIREを実現していくのか、シミュレーションをしながら見てみましょう。代表的なのは下記のような流れです。
- リタイアしても安定的に暮らせる毎月の生活費を決める
- どのように資産を形成するかを決める
- 資産から得られるキャッシュを得る方法を決める
- 資産形成を始める
次からは、具体的な数値を用いてシミュレーションしていきます。
4-1 FIREを実現するための数値の設定
FIREを実現するためにはまず自分が欲しい生活費を決める必要があります。毎月の生活費は個人によってそれぞれで、独身で一人暮らしのケースもあれば、夫婦でペットを飼っているケースなどもあります。
ここでは一例として、毎月必要な生活費を30万円として計算してみましょう。この場合、次の3つのパターンがあります。
- 毎月30万円の所得を得る
- 年間360万円の所得を得る
- リタイアから亡くなるまでの年数×360万円の所得をリタイア時に得る
この3つのどれかをクリアすれば、FIREが実現するということになります。では、アパート経営でこの条件をクリアするにはどうすればいいのか、次の項目で見てみましょう。
4-2 FIREを実現するのに必要な資産の規模と目標額
不動産投資をするには、資産として投資用物件を取得する必要があります。この資産を算出するために、ベースとなる数値を設定していきます。
利回りは、前述したように東京都と主な政令指定都市における賃貸住宅の期待利回りが3.5%~5.7%となっていますので、わかりやすくするためにここでは5%として計算していきます。そのほか、不動産投資に必要な経費率をやや高めの20%、空室率を10%、ローン返済比率を50%と設定します。
この設定を基準にして、年間360万円の所得が得られる資産を求めるために、下記のような計算を行います。
- 年間所得360万円×1.3×2=年間収入936万円
- 年間収入936万円÷0.05%=1億8,720万円
つまり価格が1億8,720万円、実質利回り5%のアパート経営の規模であれば、年間収入が936万円得られて、ローンを返済したり、経費を支払ったとしても年間所得として手元に360万円が残る計算になります。
ただし、実際のアパート経営の場合には物件によって実質利回りが異なるうえ、経年劣化によって大規模な修繕工事が必要になったり、家賃を下げる必要があることもあります。ローン返済額やローンの完済時期なども個々のケースで異なりますので、あくまでも目安としてください。
4-3 FIREを実現するのに必要な自己資金(初期投資)
次にシミュレーションをするのは、価格が1億8,720万円という規模の投資用アパートを手にするために必要な自己資金です。通常、物件を購入する際は自己資金が2~3割程度必要になるケースが大半であるため、自己資金は下記のように求められます。
- 1億8,720万円×0.2(0.3)=3,744万円(5,616万円)
ただし、3,744~5,616万円の自己資金を用意するのは簡単ではありません。そこで1億8,720万円の新築木造アパートを1棟購入するのではなく、2~3棟のアパートを取得すると想定してシミュレーションしてみると下記のようになります。
- 新築アパートの場合:8,000万円~1億円程度の物件×2棟
- 中古アパートの場合:4,000万円~5,000万円程度の物件×4棟
例えば、初めに5,000万円の中古アパートを購入する際に1,000万円の自己資金を用意します。そしてその物件を運用しながら利益を得ていけば、手元の資金を減らさずに自己資金を貯めていくことができます。
このように複利のように手元の資金を増やしていくことで2棟目、3棟目を取得するための自己資金ができ、保有する複数の物件価格を足すといずれ1億8,720万円の投資規模にできる可能性があります。
つまり、最初の物件に対して自己資金を投じたあとは、その物件から得られる利益をもとに物件を増やしていくことで、自己資金を減らすことなくFIREに近づいていくことができます。
しかし、前述したようにアパートの経年劣化や設定家賃の減少などのマイナス要因もあり、シミュレーション通りに投資を進めていくのは非常に難しいことと言えます。
また、実質利回り5%を得られる物件はややハイリスクな投資対象であるケースも多いため、リスクとリターンのバランスをとった結果、より多くの投資資金を必要とすることもあります。
「目標額まで事業規模を拡大すればよい」、などと単純に考えてしまわないように注意しましょう。
まとめ
不動産投資の特徴を生かすことができれば、FIREにより早く近づけます。そのためにも不動産投資について、日々勉強をしていきましょう。
今回はFIREを実現するためにアパート経営を活用する場合の目標の立て方について、シミュレーションしながら解説していきました。ぜひ参考にしてください。
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