NFT高騰の理由とは?【仮想通貨取引所の元トレーダーがNFTサマーについて解説】

今回は、NFT高騰の理由について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. NFTサマーと呼ばれた2021年
    1-1. 相次いだ高額落札
    1-2. 相次いだNFTマーケットプレイスのローンチ
  2. NFT高騰の理由とは?
    2-1. 誰が購入しているのか?
    2-2. 旧来のアートコレクターはまだ少ない
    2-3. 相場感はまだ醸成されていない
  3. 今後の課題と将来性
    3-1. NFTマーケットプレイスが抱える課題
    3-2. 課題解決を図る日本のNFTマーケットプレイス
    3-3. NFTの将来
  4. まとめ

2020年は「DeFiサマー」と呼ばれDeFi関連銘柄が盛り上がりを見せましたが、2021年はNFTが盛り上がりを見せ「NFTサマー」と呼ばれています。

また、今年に関しては去年の秋からの仮想通貨市場全体の盛り上がりと相まって、NFTも非常に注目を集めています。特に年明けから相次いだ高額落札や新しいNFTマーケットプレイスのローンチが話題となりましたが、その背景には一体どのようなことがあったのでしょうか?

また、今後のNFTがどのような展開を見せていくのかを踏まえて、今回はNFT高騰の理由とNFTの将来性について考察したいと思います。

①NFTサマーと呼ばれた2021年

2021年はNFTサマーと呼ばれる年となりましたが、その背景には相次いだ高額落札と複数のNFTマーケットプレイスのローンチがありました。まずは今年どのようなことがNFT関連で起こったのかという点について解説します。

1-1. 相次いだ高額落札

今年、特に話題となった高額落札は、大手オークションハウスのクリスティーズで、クリプトアート作品集「Everydays:The first 5000 days」が約6,930万ドル(約75億円)で落札され、NFTの販売額としては過去最高を記録した件です。その際、255年の歴史を持つクリスティーズで初めて、イーサリアム(ETH)が決済手段として使用されたことでも話題となりました。

他にも米ツイッターのジャック・ドーシーCEOが2006年に同社のミニブログサイトに最初に投稿したツイート「今ツイッターを設定している」がオークションにかけられ、約290万ドル(約3億1,500万円)で落札。他にもNBAのプロバスケットボール選手、レブロン・ジェームズがスラムダンクを決めるモーメントが約2,100万円で売却されたことや、サッカーのファンタジーゲームのプラットフォームであるSorareのクリスチャーノ・ロナウドのNFTが約3,200万円で落札されたことも話題となりました。

さらに8月には2020年3月に1ドル以下で発行されたNFT関連の仮想通貨SOL(ソラナ)が、約1年半で約15,000倍の上昇をしています。その背景として、ソラナのブロックチェーンをプラットフォームとする「Degenerate Ape Academy」がローンチし、最初の10分間で1万枚の猿(Ape)のクリプトアートが売れました。このNFTマーケットプレイスではSOLが決済通貨であるためNFTの購入とトークンの購入が結びつき、SOLが大量に購入された結果の価格上昇でした。

1-2. 相次いだNFTマーケットプレイスのローンチ

NFTの売買プラットフォームであるNFTマーケットプレイスも続々とローンチしています。

今年3月には日本の仮想通貨取引所として初めて、CoincheckがNFTマーケットプレイス「Coincheck NFT(β版)」を立ち上げました。

NFT Coincheck
それに続き、GMOコインが属すGMOインターネットグループのGMOアダム株式会社が、8月末に「Adam byGMO」をローンチしています。仮想通貨取引所以外でも「nanakusa」が3月、「楽座」が7月にオープンするなど、新規NFTマーケットプレイスのローンチが相次いでいます。

②NFT高騰の理由とは?

次になぜNFTが高騰しているのか?その背景について解説をします。

2-1. 誰が購入しているのか?

高額なNFTは一体誰が購入しているのでしょうか?

Beepleのクリプトアート作品集を約75億円で落札した人物は世界最大のNFTファンドである「Metapurse」の創設者ビグネシュ・スンダレサン氏です。つまり、現在のブーム以前よりNFT投資をしており、スンダレサン自身が仮想通貨で富を築いています。

クリスティーズのNFTオークションの参加者のほとんどが仮想通貨関係者であったことからもわかるように、仮想通貨で利益を得た人が高額なNFTを購入しているようです。

2-2. 旧来のアートコレクターはまだ少ない

ゴッホやピカソなどの作品に代表されるような古典的なアートのコレクターはいわゆる富裕層が多く、そのようなアートコレクターはNFTの入札には参加することは少ないようです。

このことからもわかるように、現在のNFTマーケットの高額落札者のほとんどが仮想通貨関連で利益を得ている人だということがわかります。つまり、去年の秋からの仮想通貨の価格上昇に伴う利益でNFTを購入しているケースが多いと考えられます。

仮想通貨の保有が早ければ早いほどそこから得ている利益も大きいですが、数年前から仮想通貨を所有しているということは、ファーストペンギンタイプの投資家である可能性が高く、そのような視点でNFTへも投資していると考えられます。

2-3. 相場感はまだ醸成されていない

2017年に誕生したNFTマーケットプレイスはまだまだ歴史が浅く、相場感が醸成されているとは言えない状況です。

前述したように現在の高額NFTの落札者が仮想通貨業界関連者であることを考えると、NFTの今後の相場を醸成していく上でも、NFTの価値を高いところに置くことが彼らの利益につながるため、相場観醸成のためにも価格を吊り上げる必要性があるという側面もありそうです。

③今後の課題と将来性

最後に現状のNFTマーケットプレイスが抱える課題とその将来性に付いて考察します。

3-1. NFTマーケットプレイスが抱える課題

現状のNFTマーケットプレイスが抱える課題のうち、特に重要なものは以下の3点となります。

  1. 仮想通貨ユーザー以外の取り込み率が低い。
  2. 取引コストが高い。
  3. マーケットプレイスとウォレットの接続や、NFT発行に関する操作難易度が高い。

これらの課題解決を図ることがNFTマーケットプレイスの発展には欠かせない要素となってくるでしょう。

3-2. 課題解決を図る日本のNFTマーケットプレイス

前述したNFTマーケットプレイスの課題解決を図ろうとしているプラットフォームが日本の仮想通貨取引所であるCoincheckの「Coincheck NFT(β版)」とGMOグループの「Adam byGMO」です。

特に「Adam byGMO」では、オープン当初からクレジットカード決済や銀行振込での日本円決済を可能とし、仮想通貨ユーザー以外のNFTマーケットプレイスに対するアクセス難易度を大幅に下げています。また、NFTの取り扱いジャンルに関しても広く一般に認知されたテーマを取り扱い、価格設定も数千円から設定された購入しやすいコンテンツが揃えられています。

3-3. NFTの将来

NFTの今後ですが、供給面に関しては数多くの売買プラットフォームが誕生し、プラットフォームが率先してクリエイターを囲い込むことで供給体制もある程度は整っています。

しかし、ビジネスとして捉えた際には取引コストが高くつく点がボトルネックとなりそうです。ここに関してはEnjinプロジェクトをはじめとする複数のプロジェクトでNFT発行や取引に関するガス代を無料、または大幅に軽減するプロジェクトが進められています。

一方で取引コストが抑えられて誰もが簡単にNFTを発行できるようになると、今度は供給過多となることが予想されます。供給過多は価格上昇を妨げる要因となります。

しかし、NFTはNFTマーケットプレイスでの売買対象だけではなく、契約書などの重要書類やIoT分野での記録としての利用も可能です。 その点においても、ユースケースにおいて使用されるブロックチェーン技術のひとつとなる可能性は非常に高いと言えるのではないでしょうか?

④まとめ

2017年に誕生したNFTは今まさに成長過程にあり、今後に関しては未知な部分が多いですが、NFTマーケットプレイスが誰にとっても使いやすい形となり、NFTマーケットプレイス以外でのユースケースが進んで行けば今後も成長を続ける領域の一つになってくると言えるでしょう。

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Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
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