アパートローンの審査に通りやすくなる方法は?属性を改善する4つの対策

アパート経営を始めるためには、金融機関でアパートローンを利用して始める方が多いでしょう。しかし、アパートローンと住宅ローンとでは何が違うのか、アパートローンの審査を通過するためにはどうすれば良いのかなど、疑問に思う人もいるのではないでしょうか。

この記事では、アパートローンの審査で金融機関が確認するポイントに加え、審査の対策となる属性改善のポイントなどについて解説します。

目次

  1. アパートローンの審査で確認されるポイント
    1-1.アパートローンは住宅ローンよりも審査が厳しい
    1-2.物件の収益性
    1-3.物件の担保評価
    1-4.申込者の属性
  2. アパートローンの審査で属性を改善するための対策
    2-1.自己資金を多めに用意する
    2-2.あらかじめ他のローンを返済しておく
    2-3.余分なクレジットカードを解約する
    2-4.不動産投資の実績を作る
  3. まとめ

1.アパートローンの審査で確認されるポイント

アパート経営は賃貸経営事業とみなされるため、アパートローンの審査には住宅ローンの審査と異なるポイントがあります。アパートローンの審査で金融機関が確認しているポイントについて解説します。

1-1.アパートローンは住宅ローンよりも審査が厳しい

最初に抑えるべきポイントは、アパートローンの審査は住宅ローンの審査よりも厳しいという点です。審査に違いがある理由は、借り入れたお金の使い道と返済原資にあります。

住宅ローンは自分が住む目的で家を購入するときに利用します。また、住宅ローンの主な返済原資は給与収入です。このため、住宅ローンについては、長期的な収入があることを証明できれば審査を通過できる確率が上がります。

しかし、アパートローンは賃貸経営という事業を営むために利用するローンです。アパートローンの返済原資は、賃貸経営によって入ってくる家賃収入であり、例えばサラリーマンの給与収入などと比較すると不安定性が強くなります。

アパートローンでより確実に審査を通過するためには、自らの収入が一定以上見込める状況であるともに、物件の収益性・担保性が高いことなどの証明も必要です。

1-2.物件の収益性

物件の収益性が高いことを証明するためには、空室の見込みが小さい物件などを選ぶことが有効になります。

空室の見込みが小さい物件とは、例えば賃貸需要の見込める立地条件の良い物件です。不動産投資における好立地とは、駅からの距離が近く、買物できるスーパーなどが近くにあることなど、様々な条件があります。

そのほか、立地が良い物件を可能な限り安く購入することも有効です。好立地で安い物件の情報は、インターネットなどに出回る前に水面下で取引されることも多くなっています。

より良い物件の情報を入手するためには、不動産会社の営業マンと良い関係を作ることが一つの方法です。あらかじめ自身の属性や希望する物件の条件を伝えるなどして、営業マンとの関係ができていれば、良い物件が売り出されたときに最初に案内してもらえる可能性も高まっていきます。

1-3.物件の担保評価

アパートローンの審査では、収益性に加えて物件の担保評価も確認の対象です。担保評価は積算評価と呼ばれることもあります。

担保評価とは、もし契約者が返済を継続できなくなった場合に、購入した物件がいくらで売れそうかという評価のことを指しています。担保評価が高い物件は、売却した時により多くのお金を回収できるため、金融機関から見てリスクの低い物件です。

金融機関の担保評価を予測するためには、土地の相続税路線価や物件の構造・築年数などを確認することが必要です。相続税路線価は国税庁のホームページで確認できます。

アパートの購入にあたっては、木造・軽量鉄骨造よりも重量鉄骨造の物件の方が担保評価は高くなります。また、築年数に関しては新築もしくは築浅物件の方が審査で高い評価を得やすくなります。

1-4.申込者の属性

アパート経営が赤字になるなど上手くいかない場合には、給与収入などからの返済が必要になります。このため、アパートローンの審査では、物件の収益性や担保評価に加えて申込者の属性も審査の対象となります。

申込者の属性とは、具体的に以下のようなものです。

  • 審査申し込み時点から3~5年間の年収
  • 保有している資産(別の物件や貯蓄額など)
  • 勤務先と勤続年数
  • 年齢と健康状態

勤務先については、高年収の中小企業の社長や役員などよりも、大手企業のサラリーマンの方が勤務先の経営状況を判定しやすく、高い評価を得られることがあります。そのほか金融機関からの印象が良いのは、公務員や弁護士などの士業に加えて、医師などの職業です。

2.アパートローンの審査で属性を改善するための対策

アパートローンで審査される属性については、年収や勤続年数など簡単に変えられない項目も多いものです。ここからは、転職など以外に有効な属性改善の対策について解説します。

2-1.自己資金を多めに用意する

属性改善として有効なポイントの1つ目は、自己資金を多めに用意して借入額を抑制することです。

不正融資問題が発覚して以降、コロナによる不景気も重なった2021年11月時点では、物件購入にかかる費用を全額ローンで賄うフルローンを利用できることは少なくなりました。ローンを利用できるとしても、物件価格の1割~3割程度の自己資金を求められることは少なくありません。

借入額を抑制すれば、金融機関から見ると貸し倒れ時のリスクが小さくなるため、審査も比較的通り安くなります。

2-2.あらかじめ他のローンを返済しておく

アパートローンの審査では、毎月の収入と返済額とのバランスも確認の対象です。収入と返済額とのバランスのことを「返済比率」と言います。

なお、ここでいう返済額には、申し込んだアパートローンに加えてマイカーローンやカードローンなど、他のローンの返済額も含まれるため要注意です。

返済比率は低い方が、アパートローンの審査を通過できる確率が上がります。アパートローンの申込をする前に、可能な限り他のローンについては繰上げ返済などをしておくことが重要です。

2-3.余分なクレジットカードを解約する

アパートローンの申込時点で利用していない不要なクレジットカードがある場合は、あらかじめ解約しておくと、審査通過の可能性が上がります。

クレジットカードの利用枠が余っていると、金融機関は申込者が限度額いっぱいまで利用する可能性もあると考えます。クレジットカードの利用額が増えると、返済比率が上がるため、金融機関の貸し倒れリスクが上がります。

返済比率が上がる可能性があると判断されないためには、日頃利用していない余分なクレジットカードを解約することも有効です。

2-4.不動産投資の実績を作る

ある程度長期的な対策にはなりますが、アパートローンを申込む以前に、別途不動産投資の実績を作ることも有効です。金融機関から「不動産投資の実績がある人」と判断されて、審査を通過できる可能性が上がります。

ある程度金融機関を絞り込んだうえで、まずは価格もそれほど高くない小さな物件を購入する際にローンを利用し、いずれアパート購入の際にアパートローンを申込むという手順を踏むことも有効になります。

ただし、サラリーマン投資家などが区分所有マンションを数戸購入したのちに、アパート投資へステップアップしようとしても、融資の利用枠を使い切っているため資金調達に行き詰まるというケースも少なくありません。

「アパート経営を始めたいがアパートローンの審査に苦戦したため、区分マンション投資を始める」というような、消極的な理由で検討している場合には注意が必要です。区分マンションを購入することで現状よりさらに融資枠が減ってしまい、今後の与信審査に悪影響を与える可能性が高いためです。

不動産投資の実績を作る際は、不動産の運用によって返済を行い、融資枠が回復したタイミングで新たに融資を申請する、という長期的な戦略が必要になります。出来るだけ収益性の高い物件をはじめに購入するなどの工夫をしてみましょう。

まとめ

アパート経営は賃貸経営という1つの事業であるという点から、アパートローンの審査は住宅ローンの審査よりも厳しいケースが多いものです。物件の収益性や担保評価なども審査対象になることを把握する必要があります。

また、同様に審査対象となる申込者の属性については様々なポイントがありますが、勤続年数や年収など、簡単には改善できないポイントも少なくありません。

短期的には返済比率を下げるための対策が、長期的にはあらかじめ不動産投資の実績を作ることなどが、属性改善のためには有効です。アパートローンの審査を良い条件で通過するために、これらの点を見直してみましょう。

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