【重要ニュースまとめ(11/20~11/26)】ConsenSysがWeb3レポートを公開、スクエアはビットコイン上にDEXを開発。DeFi市場の被害総額が1兆円に到達

今回は、11/20~11/26の暗号資産・ブロックチェーン業界重要ニュースについて、田上 智裕 氏(@tomohiro_tagami)に解説していただきました。

目次

  1. 初心者向け主要ニュース【難易度:★☆☆】
    1-1. NFTのアンケート調査を実施、購入者は全体の約1割強
    1-2. 2021年のDeFi市場におけるハッキングや詐欺などの被害総額は1兆円超え
    1-3. ConsenSysがWeb3レポートを公開
  2. 暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:★★☆】
    2-1. Sqaureがビットコイン上でDEX開発へ
    2-2. デジタル通貨フォーラムが日本円デジタル通貨のホワイトペーパーを公開
  3. 暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:★★★】
    3-1. 米IRSが1年間で約4,000億円の暗号資産を押収
    3-2. ConstitutionDAOが合衆国憲法のオークションに参加
  4. まとめ、著者の考察

初心者向け主要ニュース【難易度:★☆☆】

NFTのアンケート調査を実施、購入者は全体の約1割強

Coincheck NFT(β版)を運営するコインチェックが、NFTに関する意識調査を行いました。2021年に日本でも急拡大を遂げたNFTが、どれだけ認知されているのかを測ることが目的です。

調査結果では、全体の6割がNFTを知っていると回答し、耳にしたことがあるという人は9割に及びました。しかし、実際にNFTを保有している人は2割にとどまっています。

NFTの保有理由としては、3割が長期投資として捉えていると回答している一方で、2割弱が投資として考えているわけではないという結果も出ました。アートやゲームから普及したNFTは、昨今はコレクションとして活用される側面も強く、必ずしも投資目的ではない人が増えてきているようです。

【関連記事】コインチェックがNFTの認知度調査を実施、6割以上が知っていると回答

2021年のDeFi市場におけるハッキングや詐欺などの被害総額は1兆円超え

2021年の現在までに、DeFi市場における詐欺やハッキングによって紛失した金額が、1兆円を超えていることがわかりました。2020年は約1,600億円であったことを考えると、1年で10倍ほど増加していることになります。

分析企業Ellipticによると、今年はイーサリアム以外のブロックチェーンが人気を集めたことで市場に入る資金が増加し、結果的に被害額も大きくなってしまったといいます。この金額には、流出事件による直接的な被害額に加えて、流出したことによる資産価値の低下という間接的な損失も含まれるようです。

Ellipticは、今後の注意点としてレンディングサービスを例にあげました。レンディグサービスは、DeFiにおける被害額の1/3を占めているようです。

【関連記事】DeFiの詐欺や盗難被害が大幅に増加、1年間で105億ドルに到達

ConsenSysがWeb3レポートを公開

イーサリアムの開発企業ConsenSysが、Web3に関する分析レポートを公開しました。Web1やWeb2との違いについても解説されています。

ConsenSysは、Web3の革新性について、ネットワークが分散化されている点が最も重要であると指摘しました。この性質がDeFiやNFTといったトレンドを生み出していると言及しています。

ConsenSysは、イーサリアム系で最も使用されているウォレットであるメタマスクを運営しています。レポート内では、メタマスクのユーザー数がDeFiやNFTの盛り上がりと共に指数関数的に増加したことを説明。月間アクティブユーザー数は1,200万人を突破したようです。

【参照記事】Web3 Report Q3 2021

初心者向け主要ニュース【難易度:★★☆】

Sqaureがビットコイン上でDEX開発へ

決済大手のSquareが、ビットコインのブロックチェーン上に構築するDEXのホワイトペーパーを公開しました。8月末時点ですでに開発計画を明らかにしており、今回それが具体化された模様です。

「tbDEX」と呼ばれるSquareのDEXでは、ビットコインだけでなく法定通貨を含む様々なデジタル資産に対応予定だとされています。暗号資産と法定通貨の橋渡しとしても機能することを目指しており、法定通貨経済圏における資金を暗号資産経済圏に流入させる狙いです。

今回公開されたホワイトペーパーは概念を伝えるものだといいます。今後、コミュニティからのフィードバックを受けて修正していくことを前提としており、具体的なローンチ時期については明かされていません。

【関連記事】米決済大手スクエア、ビットコイン上でDEX開発へ

デジタル通貨フォーラムが日本円デジタル通貨のホワイトペーパーを公開

暗号資産取引所ディーカレットが事務局を務めるデジタル通貨フォーラムが、DCJPY(仮称)と名付けられた日本円デジタル通貨のホワイトペーパーを公開しました。デジタル通貨フォーラムには、大手企業や銀行、自治体、省庁、中央銀行が参画しています。

CBDCの調査・研究が進む中で、民間からもデジタル通貨発行の取り組みが加速してきました。オブザーバーとして金融庁や日本銀行も参画しているデジタル通貨フォーラムには、名だたる大手企業がこぞって参画しており、独自のデジタル通貨を発行するために取り組みが行われてきました。

いわゆる二層構造の決済システムを採用しているDCJPYについて、ディーカレットは「Digital Payment as a Service」と表現しており、様々なWebサービスが決済手段としてデジタル通貨を組み込めるようになると説明しています。

今後は、ユースケースを念頭に入れつつPoCを行なっていく予定です。デジタル通貨フォーラムからは、NFT分科会やセキュリティトークン決済実務・制度検討分科会なども立ち上がっており、デジタル通貨の発行にとどまらず、先進領域での活動を続けていくとしました。

【参照記事】デジタル通貨フォーラムによるデジタル通貨ホワイトペーパーとプログレスレポートを公表

初心者向け主要ニュース【難易度:★★★】

米IRSが1年間で約4,000億円の暗号資産を押収

米内国歳入庁(IRS)が、2021年度に押収した暗号資産の金額が約4,000億円に達したことを報告しました。これは、IRSが同年度に押収した総額の9割以上を占めるといいます。

IRSは、金融犯罪を促進するための手段として、ほとんどの場合で暗号資産が利用されていると説明。来年度には、さらに数十億ドル規模で押収額が増加する可能性があるとしています。

金融犯罪の領域では、国際組織であるFATFを中心に議論・規制が行われており、暗号資産の文脈でも頻繁に名前を聞く存在です。FATFより各国の規制当局に勧告が出され執行されることになりますが、まだまだ暗号資産を使った犯罪を防ぎ切れていません。

日本でも、財務省が外為法を改正する形で暗号資産を規制対象とする計画を立てていることを明らかにしており、FATFからのAML/CFTなどの審査結果が望ましいものではなかったことを表しています。

【関連記事】米IRSが1年間で35億ドルの暗号資産を押収

ConstitutionDAOが合衆国憲法のオークションに参加

米合衆国憲法の初版を競り落とすために組成されたDAOであるConstitutionDAOが、1週間で4,700万ドルもの資金を集めました。

老舗オークションハウスサザビーズに出展された合衆国憲法の初版は、世界に13部しか現存しないといいます。これを競り落とすためにConstitutionDAOは組成され、DAOによる目立ったオークションとして注目を集めました。

最終的には競り落とすことができずに集められた資金は返却されましたが、DAOによる新たな可能性を呼び起こすきっかけとなっています。ここ数ヶ月では、高騰するNFTを購入するためのDAOが組成されたりと、DAOの用途が拡大していることがわかります。

合衆国憲法の初版は4,320万ドルで落札されていたため、ConstitutionDAOの集めた4,700万ドルで落札できると思われましたが、サザビーズの手数料13.9%や、高騰するイーサリアムのガス代などがネックとなり、4,700万ドルでは足りなかったようです。ここでも、イーサリアムのガス代問題が大きな壁として存在しています。

【関連記事】ConstitutionDAO、1週間で4,700万ドル集めるもオークションでの落札を断念

まとめ、著者の考察

今週は、DeFi市場における不正被害額や米IRSの押収額など、暗号資産のネガティブなニュースが話題となりました。実際、市場が拡大するにつれて、詐欺やハッキングといった事件の件数は増加しており、各国当局としては早急な対応に迫られています。

一方で、ConstitutionDAOのような先進的な取り組みが出てきていることも事実であり、イノベーションと不正防止の両立を実現することの難しさが感じられます。日本でも、民間発のデジタル通貨が具体性を帯びるようになってきたことで、このあたりの議論が進むことを期待しましょう。

【関連記事】イーサリアムとは?特徴・仕組み・購入方法

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