パンデミックの影響後退で引き締め政策始動、インフレは鈍化。アクサIMの2022年世界経済見通し

資産運用大手のアクサ・インベストメント・マネージャーズ株式会社(アクサIM)が12月に公開した2022年の世界経済見通しで①世界的な供給圧力は徐々に緩和し、インフレは鈍化する。②このため、中央銀行は政策正常化のペースに関して慎重な姿勢を保つことができる③気候変動の影響を抜きにマクロ経済見通しを考えることは不可能。22~23年には、目に見える形での資本再配分がGDPにプラスの貢献をもたらす――という見解を示した。

投資家にとって、新型コロナは依然として重要な懸念材料。ワクチン接種率を高めている国がある一方、新たな感染者発生が続く国があり、11月下旬にはオミクロン型が出現している。同社はそれでも主要国ではパンデミック後の回復が続くと予想。22年のGDP成長率は21年の反動で低下する可能性が高いが、依然として堅調な経済成長を見込む。また、22年はインフレが引き続き懸念材料となり、中央銀行による金融引き締め政策により、多くの主要市場で金利が上昇し始めるとみられる。

アクサグループのエコノミスト兼アクサIMリサーチヘッドのジル・モエック氏は「22年はパンデミックのショックを緩やかに吸収する年になる。多くの繰り延べ需要のキャッチアップが過ぎつつあるため、GDPの数字は堅調でも目を見張るものではなくなり、供給状況が正常化してインフレ率が鈍化する。このため、中央銀行は政策正常化のペースに関して慎重な姿勢を保つことができるだろう」と予測する。

気候変動との戦いの影響については「このプロセスに不可欠なのは、ネットゼロ経済に移行しようとしているセクターや事業に資本を再配分すること。ネットゼロ経済に移行するために必要な投資は膨大になるが、すでに目に見える形になってきており、この見通しの予想投資期間において既に経済成長にプラスの貢献をもたらす」と考えている。

22年の市場見通しに関して、アクサIMコア最高投資責任者のクリス・アイゴー氏は「新型コロナが引き続き必然的に市場の関心事だが、インフレ率の上昇も懸念される。現在、金利上昇局面に入ろうとしており、これを投資見通しに織り込む必要がある。しかし、市場は金融引き締め政策をおおむね織り込み済みとみられ、実際の金利上昇が予想通りになれば、債券市場の損失はそれほど大きくならない」という見解を示す。企業収益が成長を続ける限り、株式市場は小幅な金利上昇に対応できるが、21年のような力強い企業収益は減速するという予想だ。

また、アイゴー氏は「投資家にとってのより大きなリスク」として、インフレによって中央銀行がより積極的な政策対応を迫られることを挙げた。これは債券利回りの上昇を意味し、クレジットや株式のリスクプレミアムが拡大する可能性があるという。同時に、サステナビリティ(持続可能性)について「関心の高まりは民間資本をより多くのグリーン投資に向かわせることとなり、インフレや小幅な金利上昇への現在の懸念をはるかに超え、ESG関連投資にとって大きな追い風となる」と明言した。

【関連サイト】アクサ・インベストメント・マネージャーズ株式会社

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