コンテナ船大手のAPモラー・マースク「2040年迄にサプライチェーン上のネットゼロ目指す」従来目標を10年前倒し

コンテナ船大手のAPモラー・マースク(ティッカーシンボル:MAERSKB)は1月12日、2040年までにサプライチェーン上のネットゼロ(温室効果ガス排出量の実質ゼロにする)にコミットすることを発表した。従来目標の2050年から10年前倒しの達成を目指す。

排出量を大幅に抑制すべく、2030年までの短期目標も設定した。これにはコンテナ輸送における排出量を50%削減することや、ターミナルからの絶対排出量を70%削減することが含まれている。海運事業の成長に依りつつも、30年までの目標を達成することで、20年を基準として絶対排出量を30~50%削減できるという。自然を活用した解決策(NbS)関連のプロジェクトにも投資し、2030年までに年間500万トンほどの二酸化炭素(CO2)削減を図る。

また2030年および2040年目標の達成に向け、CO2排出量分析ツールである「排出量ダッシュボード」や、バイオ燃料を使用して輸送時のカーボンニュートラルを実現する「マースク・エコ・デリバリー」などのソリューションに加え、複数のグリーン製品を投入する。これらの取り組みを通じ、海上輸送や空輸、コントラクトロジスティクス(#1)、コールドチェーン(#2)といった、物流のグリーンサプライチェーン構築の強化を目指す。サードパーティによる陸上輸送や船舶建造といった間接的な排出量の抑制にも取り組む方針だ。

さらに、海上輸送の25%でグリーン燃料を、空輸の30%以上で持続可能な航空燃料(SAF)を利用する。コントラクトロジスティクスとコールドチェーンに関しては、事業の90%以上において、ライフサイクル全体で温室効果ガスの排出が少ない、もしくは非常に少ない燃料を活用する。

2040年目標は、科学的根拠に基づく排出削減目標の設定を推進する国際的な環境団体であるScience Based Targetsイニシアチブ(SBTi)が公表したネットゼロ基準に沿うものである。ソレン・スコウ最高経営責任者(CEO)は「これらの野心的な目標を掲げたことは、社会やサプライチェーン上のネットゼロを求める多くのお客様に対するコミットを示すものである」と述べている。

(#1)コントラクトロジスティクス…在庫管理や流通加工などロジスティクスを包括的に請け負うこと。

(#2)コールドチェーン…生産地から消費者に送るまで所定の温度(冷蔵・冷凍)に保ったまま流通させる手法。

【参照記事】APモラー・マースク「A.P. Moller – Maersk accelerates Net Zero emission targets to 2040 and sets milestone 2030 targets

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