海外不動産投資に強い税理士の探し方は?4つのポイントや費用の相場・相談方法も

海外不動産投資では、海外の確定申告が必要となるため、不動産投資家自身が自分で処理するのは困難であり、税務リスクが高いといえます。

それでは、税金の専門家である税理士に依頼するとして、海外不動産投資に強い税理士をどのようにして探せばよいのでしょうか。海外不動産投資の税務を扱っている税理士は少なく、対応してもらえる税理士が見付かりにくい傾向にあります。

この記事では、海外不動産投資で税理士に依頼できる業務、海外不動産投資に強い税理士を探すポイント、料金相場や相談方法について解説していきます。

目次

  1. 海外不動産投資で税理士に依頼できる業務
    1-1.日本の確定申告
    1-2.海外の確定申告
    1-3.各種税務関係届代行、税務相談
    1-4.記帳代行その他の業務
  2. 海外不動産投資に強い税理士を探すポイント
    2-1.海外不動産投資税務の実績があるかを確認する
    2-2.国際税務・海外税務の専門の税理士を探す
    2-3.外資系会計事務所と提携している税理士を探す
    2-4.グローバル企業を顧客に持つ税理士を探す
  3. 税理士の依頼費用相場
    3-1.確定申告のみ
    3-2.顧問料
  4. 税理士に相談依頼する方法・手順
    4-1.ホームページ経由
    4-2.セミナーや不動産投資家の紹介
    4-3.税理士紹介サイトの利用
  5. まとめ

1.海外不動産投資で税理士に依頼できる業務

まず、海外不動産投資で税理士に依頼できる業務には、どのようなものがあるのか確認してみましょう。主に、次のような業務があるといえるでしょう。

  • 日本の確定申告
  • 海外の確定申告
  • 各種税務関係届代行、税務相談
  • 記帳代行その他の業務

以下でそれぞれの業務内容を説明していきます。

1-1.日本の確定申告

海外不動産投資をおこなっている場合でも、日本での確定申告が必要です。

個人の場合、不動産投資から生じた所得につき、毎年翌年の2月16日から3月15日までに税務署に確定申告をおこなって、所得税と住民税を納める必要があります。

税理士に依頼する確定申告業務は、この申告書類を作成する業務とそれに付随して発生する税金に関する相談業務が含まれます。どのような経費を計上することができるのかなどを予め相談することも可能です。

また、確定申告業務には、通常、本人の代理として税務署に主張を伝える、いわゆる税務代理業務も含まれます。税理士に依頼した確定申告について税務署から問い合わせがあった場合、税理士に対応してもらうことも可能です。

1-2.海外の確定申告

海外不動産投資では、海外不動産が所在する国の確定申告が必要になります。たとえば、アメリカの場合は、連邦個人所得税の支払いは、源泉徴収方式あるいは、確定申告方式のいずれかを選択することになっています。

確定申告方式による場合は、日本の場合と同様に、家賃収入から、固定資産税、支払利子、修繕費、管理費、維持費、保険料、仲介手数料、減価償却費などの必要経費を控除して、純利益を翌年4月15日までに申告し、これに累進税率を乗じた税額を納付することとなります。

源泉徴収方式による場合は、テナントが家賃支払いの際にオーナーに代って、家賃の30%を源泉徴収して支払います。

アメリカの不動産投資では、連邦個人所得税以外に、不動産が所在する州に対して、翌年4月15日までに所得を申告し、州個人所得税を納付する必要があります。州個人所得税は、州ごとに大きく異なりますが、源泉徴収方式によることはできず、確定申告をおこなうことが基本となります。

1-3.各種税務関係届代行、税務相談

所得税や消費税、法人税、相続税の申告以外にも、税務に関係する届け出が必要になることがあります。このような税務関係届の代行も税理士の業務の一つです。

また、税務署から申告内容についての質問や、立ち入り調査が行われることがあります。このような税務署対応も、税理士の業務に含まれます。その他、顧問契約を締結した場合、日常の記帳や投資の各場面で発生する税金に関する相談にも対応してもらえるケースが多いでしょう。

海外の税務当局に対する対応業務は、海外税務専門の事務所などであれば、対応してもらえることがあります。

1-4.記帳代行その他の業務

記帳代行とは、領収書や預金通帳などの資料から現金出納帳や総勘定元帳などの会計帳簿を作成する業務です。 これらは、確定申告の際に税金の計算の基礎となる、貸借対照表や損益計算書を作成する際の元になる帳簿です。

会計帳簿は、簿記の知識があれば作成することができ、必ずしも税理士が作成する必要はありません。しかし、日本の確定申告で青色申告の適用を受けるためには、複式簿記による一定の帳簿を作成することが条件になっています。

また、帳簿作成の際に税務知識が必要になることもあり、税理士に依頼することで税務面からリスクを抑えることが可能です。その他、海外不動産投資に関する税制上のメリット・デメリットやリスクの相談、資金繰りなどの経営相談を請け負う税理士もいるでしょう。

2.海外不動産投資に強い税理士を探すポイント

海外不動産投資に強い税理士を探すポイントは、海外不動産投資の税務実績があるかどうかをみるとよいでしょう。

ただし、日本には海外の税務を扱っている税理士は少なく、海外不動産税務の実績のみを基準に探すのは難しいこともあります。

国際税務・海外税務専門の税理士や、外資系の会計事務所と提携している税理士、グローバル企業を顧客に持つ税理士などを判断の基準にすることを検討してみましょう。

2-1.海外不動産投資税務の実績があるかを確認する

税理士には、税務の分野や担当業種などによって、得意不得意が分かれることが多いといえます。海外不動産投資の税務実績があれば、海外不動産投資に関する確定申告や、税務相談などについて対応することが可能です。過去に海外不動産投資税務を扱った実績があるどうかを確認してみましょう。

2-2.国際税務・海外税務の専門の税理士を探す

海外不動産投資の税務では、海外の税制に基づいた確定申告をおこなう必要があります。日本の税理士は、海外の税制についてはあまり明るくないことが多いといえます。

そのため、海外の税制に詳しく、海外の税務や国内外間にまたがる国際税務を扱っている税理士を探し、対応してもらえるかどうかを確認するとよいでしょう。

国際税務では、特に、海外と国内の二重課税を回避することが課題の一つとなります。海外不動産投資の税務においても、外国税額控除を利用することで二重課税を避けることが可能になります。海外税務や国際税務を専門とする税理士であれば、二重課税問題に対応することもできるでしょう。

2-3.外資系会計事務所と提携している税理士を探す

ある程度規模の大きい税理士法人になると、外資系の会計事務所と提携しているケースもあります。

外資系の会計事務所と提携していれば、海外税務や国際税務のノウハウを持っており、少なくとも国際税務のアドバイザリーやコンサルティング業務をおこなっていることが多いでしょう。海外の確定申告業務にも対応しているケースもあるでしょう。

そのような税理士法人に問い合わせて、海外不動産投資の税務に対応しているかどうかを確認するとよいでしょう。

2-4.グローバル企業を顧客に持つ税理士を探す

海外に支店を持っていたり、海外との取引があるようなグローバル企業を顧客に持つ税理士や税理士法人であれば、日常業務として、海外税務や国際税務を取り扱っています。したがって、海外の確定申告業務などにも対応しているでしょう。

そのような税理士や税理士法人に問い合わせて、海外不動産投資の税務に対応しているかどうかを確認してみましょう。

3.税理士の依頼費用相場

実際に、税理士に業務を依頼する場合の費用相場はいくらぐらいなのでしょうか。個人あるいは法人が、スポットで確定申告を依頼する場合と、顧問料という形式で日常業務から依頼する場合とに分けて説明していきます。

3-1.確定申告

個人の不動産投資(不動産所得)の確定申告であれば、記帳代行と併せて10万円~25万円程度が相場でしょう。家賃収入の規模によって変動します。

記帳代行を自分でおこない、確定申告のみ税理士に依頼する場合、5万円~15万円程度が相場といえます。

海外の不動産投資の確定申告は、専門性が高く、対応している税理士も少ないため、依頼する税理士によって費用は様々といえますが、日本の確定申告と同程度か、あるいは安いケースもあるでしょう。

ただし、海外不動産投資の確定申告を依頼する場合には、日本と海外、両方の分の費用がかかるのが基本となります。

3-2.顧問料

不動産投資の規模が大きくなってきたり、法人を設立して不動産投資をおこなっていたりする場合は、記帳代行の手間が増え、確定申告や税金に関連する手続きが複雑になって来ます。

手続きには期限があることが多く、適切な判断をタイムリーに処理していくことが求められます。税金に関連するリスクを減らすためにも、顧問契約を検討するとよいでしょう。

税理士と顧問契約をした場合の顧問料の相場は、個人では月1万円~3万円、法人では月2万円~4万円程度となります。顧問契約をしている場合は、決算・確定申告料金は、顧問料の4カ月~6カ月分程度が相場となります。

4.税理士に相談依頼する方法・手順

海外不動産投資に強い税理士を探して相談依頼するには、インターネットのホームページ経由、セミナー・海外不動産投資家の紹介、税理士紹介サイトの利用、などの方法があります。

4-1.ホームページ経由

近年では、多くの税理士事務所がホームページを持ち、業務内容の紹介をしています。インターネットで税理士事務所のホームページを検索し、業務内容を調査して海外不動産投資に強い税理士を探してみるのもよいでしょう。

興味を持った税理士がいたら、一度面談を設定してもらい、依頼内容と料金の確認をし、複数の事務所を比較検討してみましょう。なお、面談をする場合は、繁忙期を避けるとよいでしょう。

4-2.セミナーや不動産投資家の紹介

海外不動産投資に強い税理士事務所では、海外不動産投資に関連する税金についてのセミナーを開催していることがあります。セミナーでは、事務所の業務内容を紹介しているケースも多いため、セミナーをきっかけに税理士への依頼を検討してみるのも良いでしょう。

その他、海外不動産投資の税金について詳しく知りたい方は、まずは不動産投資会社のセミナーを受講してみるのも有効な手段です。例えば、アメリカ不動産の販売を手掛ける「オープンハウス」では初心者向けにアメリカ不動産の基礎がわかる不動産投資セミナーを定期的に開催しています。

アメリカ不動産投資の税効果だけでなく、投資国として注目されている理由やアメリカ不動産と日本の不動産の違い、アメリカ不動産のリスクや起こりうるトラブルなどについても解説しているため、きちんと理解を深めてから投資を始めたい、メリットとデメリットを慎重に検討したい、という方にも適したセミナー内容となっています。

なお、海外不動産投資家の会合に出席するような機会があれば、実際に確定申告などを依頼している投資家に税理士を紹介してもらうという方法もあります。

【関連記事】アメリカ不動産投資の初心者は何から始めるべき?アメリカ不動産投資セミナーも

4-3.税理士紹介サイトの利用

税理士紹介サイトを利用して、海外不動産投資に強い税理士を紹介してもらうという方法もあります。税理士紹介サイトでは、コーディネーターが、相談者のニーズに合った税理士をピックアップし、面談を調整してくれます。税理士との依頼内容の調整や、料金交渉などもコーディネーターに任せることが可能です。

税理士ドットコム

税理士ドットコム税理士ドットコムは、全国5,900名の税理士の中から無料で希望に沿った税理士を紹介してもらえるウェブサービスです。複数の税理士を比較することができるうえ、「費用はいくら?」「どんな税理士を選ぶべき?」といった税理士を選ぶ際の相談も可能となっています。

報酬引き下げの実績も豊富なため、すでに税理士と契約している方でも利用が可能です。コーディネーターが複数の税理士に相見積りをとり、費用についての交渉までサポートしてくれます。

利用時の主な注意点としては、提携している税理士の紹介しか受けられない点です。提携外の税理士も比較していきたい方は、自身で探してみたり、セミナーに参加するなどと並行して、利用を検討されてみると良いでしょう。

まとめ

海外不動産投資に強い税理士を探す際には、海外税務・国際税務を専門とする税理士をあたるとよいでしょう。外資系の会計事務所と提携している税理士や、グローバル企業を顧客に持つ税理士も、海外不動産投資の税務に強い可能性は高いといえます。

日本の確定申告と海外の確定申告の両方の費用がかかりますが、料金相場は、どちらもほぼ同程度の価格が目安となります。

ただし、家賃収入の規模によって変動する料金体系のケースもあり、税理士によって費用は異なります。いくつかの事務所を比較しながら、依頼したい業務内容との費用対効果や、相性なども考慮して選ぶとよいでしょう。

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