テスラ2021年10~12月期 市場予想上回るも供給制約は続く見通しで株価11%下落
米電気自動車(EV)大手のテスラ(ティッカーシンボル:TSLA)が1月26日に発表した2021年10~12月決算は、売上高と1株当たり利益ともに市場予想を上回った(*1)。 世界的な環境規制の高まりを背景にEV販売が好調だった。ただし、半導体不足で供給制約が続く見込みであるほか、22年は新モデルを投入しない方針が示されたことなどを受け、27日に株価は11%以上下落した。なお、31日には決算発表前を若干上回る価格まで戻している(*2)。
売上高は前年同期比65%増の177億1,900万ドル(約2兆円、1ドル=114円換算)だった。自動車部門の売上高は同71%増の159億6,700万ドル、エネルギー発電・貯蔵部門は同8%減の6億8,800万ドル。エネルギー発電・貯蔵部門は売上高に占める割合はわずかであるが、2021年第1四半期以来の低水準にとどまった。 純利益は8.6倍の23億2100万ドル、粗利益率は27.4%と前期の26.6%から上昇した。
良好な第4四半期決算を発表したものの、同社は「サプライチェーンが主な制約要因となっているため、当社工場は数四半期にわたり生産能力を下回って稼働しており、これは22年いっぱい続きそうだ」との見通しを示している。
イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、半導体不足で供給制約が続く見込みであるなか、今年は新モデルを投入しないかわりに、エンジニアリングやツーリング(機械工具)の分野に注力すると述べた。また、2万5,000ドルの廉価EVに関しては現在開発を行っていないことを明らかにしたとCNBCは報じている(*3)。
テキサス州オースティンとドイツ・ベルリン工場の生産拡大ペースは、多くの新製品投入と製造技術の導入、現在も続くサプライチェーン問題、地元の許可に影響されるだろうとの見通しを示している。また、カリフォルニア州フレモントの工場は2021年通期の生産台数が過去最高に達し、年間60万台を超える生産能力を目指すという(*1)。
レベル2(部分運転自動化)の運転支援機能である「Full Self-Driving(FSD)」ベータ版を約6万人に提供したとのことだ。同社はFSDが最も注力する分野のひとつであり、ソフトウエア関連の利益は徐々に会社全体の収益性を高めるだろうと述べた(*3)。
供給制約に悩まされるなか、EVの年間販売台数の伸び率が50%に達する見通しを示している。
【参照記事】*1 テスラ「Investor Relations」
【参照記事】*2 Yahoo!ファイナンス「テスラ」
【参照記事】*3 CNBC「Tesla beats on earnings and revenue, says supply chain issues were ‘main limiting factor’」
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テスラ2021年10~12月期 市場予想上回るも供給制約は続く見通しで株価11%下落