投資信託の利回りはどれくらい?利回りが決まる要素とポイントも解説

金融商品を買うときに気になるのは、やはり利回り。銀行の預金の利率に見慣れている私たちからすると、本当?と思うような利回りの商品もあります。

選ぶなら利回りの高い方を選びたい、と思う方に向けて、「そもそも利回りの決まる要素って何?」「利回りで気をつけるべき点は?」など気になるポイントを解説します。

目次

  1. 投資信託の利回りとは
    1-1.利回りって何?利率とどう違うの?
    1-2.投資信託の利回りはどのくらい?
    1-3.投資信託の利回りはどこで確認できる?
  2. 投資信託の利回りが決まる要素とは
    2-1.利回りを決める要素には何がある?
    2-2.利回りだけに頼るのは危険
  3. 投資信託の購入時に気を付けるポイント3つ
    3-1.利回りは様々な期間で値動きを見る
    3-2.中期・長期リターンがわからない投資信託に注意
    3-3.利回りだけではなく総合的に見て判断する
  4. まとめ

1.投資信託の利回りとは

まず、「利回りとは何か?」という点からお伝えしていきます。

1-1.利回りって何?利率とどう違うの?

利回りとは、ある一定の期間に得た利益(リターン)の投資金額に対する割合を表す指標です。一方、利率とは投資した金額(額面)に対する利子の割合を示した指標です。通常は、1年間の「年率」で表示されています。投資信託の場合は、商品の性質上、利率ではなく利回りで表示されます。

利回りは投資信託だけではなく、株式や債券などあらゆる金融商品で指標として使われています。自分が投資する場合、いくら投資したら、この商品はどのくらいの利益を得られるのかという大体の目安を教えてくれる大事な指標です。なお、投資信託では、利回りという言葉よりリターンや騰落率と表示されるのが一般的です。

1-2.投資信託の利回りはどのくらい?

モーニングスター社による、2022年1月31日時点での投資信託のリターンランキングによると、1か月のリターンランキングの1位は、「NASDAQ100 3倍ベア」で43.41%でした。

日本国内を投資対象とした投資信託の商品に絞って見てみると、1位は「日本郵政株式/グループ株式ファンド」で、8.13%でした。国内と海外で結構な差が出ています。

続いて今度は、1年間のリターンで見てみます。1位は、(NEXT FUNDS)NOMURA原油インデックス上場 『愛称:NF・原油先物ETF』」で96.71%ですが、先ほど1か月のランキングで1位だった「NASDAQ100 3倍ベア」は、-40.56%%という結果です。

1か月の間で見るとかなりパフォーマンスが上がっていても、1年間で見るとマイナスになっているものもあります。

このように、投資信託の利回りは投資している商品によって様々です。そして、リターンは単に高い・低いということで見るだけでなく、様々な期間で見ることが大事です。なぜかというと、投資信託の利回りはその時々によって変動するからです。

投資信託は短期間での値上がり益を狙うというより、長期保有を前提として運用していくことを目的としているので、その間に受けるパフォーマンスの変動を長い目で見ていく必要があります。そのため、リターンも1か月、1年、3年、5年といった期間に分けられて表示されています。

短期でのリターンや騰落率を見るのではなく、直近での動きを見つつ、1年・3年といった単位でどこで値上がりしたのか、どういう局面で下がったのかを見ることで、いつが買い時なのかを知ることができます。

1-3.投資信託の利回りはどこで確認できる?

実際に投資信託を購入する前に利回りを確認する場合は、その投資信託のレポートを確認したり、投資信託協会やレーティング(投資信託の商品の評価)をする会社などがあるので、そういったところで探したりすることができます。

購入後もレポートなどで利回りを確認することができますが、例えば年に1回、自分の購入した投資信託がその時点で利益が出ているのか損が出ているのか、という目安になる「トータルリターン」が販売会社より送られるので、それによりまとめて自分の損益状態を知ることができます。

なお、投資信託の購入前には、商品概要の所に記載されているリターンや騰落率といった項目を参考にすると良いでしょう。短期、中期、長期それぞれの期間を見ることによって、直近ではすごくリターンが高いのに、長期で見ると下げていたなどがわかるほか、リスクの高さやいつの時点で大きくリターンが出ているのかということもわかってきます。

最も成績が良い時と悪い時の変動が大きい(ぶれ幅)が大きいほど、リスクが高めの商品になると言えます。リスクが高い商品はそのぶん含み益も含み損も大きくなりがちなため、どのタイミングが買い時、売り時なのか、よりリスクの低い商品も買うべきかどうか、ということをよく考える必要があります。

2.投資信託の利回りが決まる要素とは

先ほどもお伝えした通り、利回りとはある一定の期間に得た利益の投資金額に対する割合です。投資信託の利回りの要素は「投資した金額」「利益」「コスト」「期間」によって決まることになりますが、もう少し詳しく話していきます。

2-1.利回りを決める要素には何がある?

投資信託という商品は、投資家から集めた資金をもとに運用していきます。例えば、投資信託のリターンを測る指標として騰落率がありますが、その騰落率の計算方法として1年決算※の場合、一般的に下記の計算で表されます。
※1年決算→1年に一回分配金が支払われる投資信託

(期末の基準価額+期中の分配金の合計)/期首の基準価額-1

例えば、ある一定期間の最終の基準価額が10,100円で、分配金が50円出たとします。その期間の最初の基準価額が10,000円だった場合、この投資信託の商品の騰落率は0.015%となり、10,000円をもとにして1年間で0.015%上がったのだということがわかります。

ただ、1年間で計算した場合と、3年間で計算した場合とでは状況が変わってくることもあります。また、それぞれの算出期間や分配金を含めるのか含めていないのかや、各会社の出している騰落率の算出方法が異なっている場合もありますので、そこに気を付けて見る必要があります。

なお基準価額とは、純資産総額(純資産からコストを差し引いた金額)を受益権口数で割った金額になり、日々算出される投資信託の価額を指します。

2-2.利回りだけに頼るのは危険

投資を行う際に利回りはとても重要な項目です。投資するからには、やはりリターンがないと投資の醍醐味がありません。しかし、投資信託の購入をする際にリターンの高さだけで決めるのは得策ではありません。

繰り返しになってしまいますが、投資信託という商品は長期で運用することを目的としているものだからです。直近のリターンの高さだけでは、その商品の値動きの特徴は分かりません。

また、リターンが高い投資信託というのは、リスクが高い商品で運用している傾向があり、大きく値下がりする要素も高いということが考えられます。変動が悪いということではなく、逆に、その値下がりを利用して購入することで、大きな値上がりを期待することもできます。

3.購入時に気を付けるポイント3つ

投資信託の利回りからリターンの要素まで見てきましたが、では実際に購入する場合どこに気を付けるべきか、そのポイントを3つ挙げてみました。

3-1.利回りは様々な期間で値動きを見る

投資信託の利回りは、リターン・騰落率という指標で確認します。短期、中期、長期の期間における値動きを確認し、その商品のトレンドを確認することで、商品の特性、値下がりの時期、値上がりの時期の目安を知ることができます。

必ずしも過去のデータが頼りになるということではありませんが、過去の推移を知ることにより、未来の予測が立てやすくなります。

3-2.中期・長期リターンがわからない投資信託に注意

投資信託の商品の中には、中期や長期の騰落率やリターンがわからない場合があります。新規に設定されたばかりでまだ運用が1年未満のものなどもあるからです。その場合は、その商品の長期のトレンドは確認できませんので、その投資信託の対象としている投資対象が将来成長するかどうかということを自分で判断しないといけません。

新たに設定された投資信託は、運用のプロが成長性の高いものやこれから必要とされる商品を厳選しているはずですが、必ずしも期待通りの運用になるとは限らないため、そういったことを踏まえて購入する必要があります。

3-3.利回りだけではなく総合的に見て判断する

投資信託選びを利回りだけに頼るのは得策とは言えません。投資信託は長期運用でリターンを得る商品ですので、併せて購入時や運用時にかかるコストや純資産額を見て、どのくらいの規模なのか、どのくらいのコストがかかっているのかを確認していく必要があります。

コストを抑えることができれば、そのぶん利益を上げやすいからです。投資信託でも運用コストがかかりすぎる商品だと、そのぶん利益を圧縮することになりますし、運用成績が上がらなくなった場合には含み損になりやすいなど大きな影響があります。

たとえば、ETF(上場投資信託)の売買をプロに任せることができるロボアドバイザーの手数料は、国内最大手(※1)のウェルスナビで、運用手数料が年1%(運用額が3,000万円を超える部分は0.5%)、それ以外の追加手数料なし、さらに年0.9%までは運用金額に応じて6ヶ月毎に手数料率が割引されていく「長期割」(※2)というサービスもあります。

※1 一般社団法人日本投資顧問業協会「契約資産状況(最新版)(2021年3月末現在)『ラップ業務』『投資一任業』」を基にネット専業業者を比較 モーニングスター社調べ(2021年6月時点)
※2 ウェルスナビの長期割の割引率は、50万円~200万円未満:6か月毎に0.01%割引、200万円以上:6か月毎に0.02%割引

一方、ウェルスナビでは、顧客のリスク許容度に応じて、ローリスクローリターン型の「リスク許容度1」からハイリスクハイリターン型の「リスク許容度5」まで5段階の運用プランが用意されており、2016年1月〜2021年12月末までの運用実績(年利換算)は、以下のようになっています。

リスク許容度 期間中のリターン(円建て・年利換算)
リスク許容度1 4.83%
リスク許容度2 6.18%
リスク許容度3 7.16%
リスク許容度4 8.04%
リスク許容度5 8.45%

※ウェルスナビがサービスを開始した2016年1月に100万円、その翌月から毎月3万円ずつ積み立てながら投資した場合のもの。半年ごとにリバランス実施、手数料控除後、手数料は現金部分を除く預り資産に対して年率1%(税込1.1%、ただし消費税率は時期により適用される税率を適用)、分配金やリバランス時の譲渡益にかかる税金は考慮していない、ETFの分配金は権利落ち日に再投資を前提条件としています。

投資信託を購入する場合は、このように手数料と運用利回りを総合的に見て、プラスで運用することができそうかの投資判断をすることが大切です。

4.まとめ

投資信託は、基本的には長期で保有する商品として作られています。長期での運用リスクを軽減するには、あらかじめ商品の値動きや発生コストなどをよく調べた上で、少しずつ積立投資を行っていくことが大切です。

短期のリターンだけを見るのではなく、長期的なリターンも見て商品の特性を知ることで、購入や売却のタイミングの目安を掴むようにしましょう。

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