【マンUやGAPが提携】 テゾスが環境に優しいブロックチェーンと言われる理由とは?
今回は、テゾスのESGの側面について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- テゾスとは?
1-1.テゾスの概要
1-2.テゾスの特徴 - テゾスのESGの側面の強みとは?
2-1.ESGとは?
2-2.テゾスのESG的強み - まとめ
テゾス(Tezos:XTZ)はエネルギー効率が高く環境に優しいブロックチェーン基盤として知られ、欧米を中心に有名企業からの支持を集めています。アパレルブランドのギャップ(GAP)は2022年1月からテゾスのプラットフォームを活用してNFTコレクション「GAP threads」を発売。GAP threadsはVIPイベントや限定アイテムへのアクセス権などの展開も計画されています。2月にはイングランドの名門サッカーチーム「マンチェスター・ユナイテッド」とスポンサー契約を締結し、プレゼンスをさらに拡大しています。
テゾスのネットワーク上で使用できる仮想通貨XTZは、国内の仮想通貨取引所でも購入できることもあり、日本でもテゾスに投資することができます。そこで今回はテゾスの概要とそのESGの側面における強みについて解説します。
①テゾスとは?
まず始めに、テゾスについての基本概要を説明します。
1-1. テゾスの概要
テゾスとは、スマートコントラクトやDappsの開発・利用に適した性能を持つブロックチェーンプラットフォームです。独自の検証メカニズムを持つスマートコントラクト機能と、ハードフォークすることなくブロックチェーンのアップデートが可能な自己修正機能を特徴により、他のブロックチェーンと一線を画しています。スマートコントラクトの安全性、アップグレードのしやすさ、意思決定への参加障壁の低さの実現により、テゾスブロックチェーンの採用を推進しています。
1-2. テゾスの特徴
①コンセンサスアルゴリズムにLPoSを採用
テゾスのコンセンサスアルゴリズムは、PoS(プルーフ・オブ・ステーク)をベースとするLiquid Proof of Stake(LPoS)を採用しています。
PoSは通貨の保有量によってブロックを生成する人が決まるため、通貨を大量に保有している人に権利が偏る懸念があります。しかし、テゾスが採用しているLPoSでは他者に自分が持っている投票力を委任することもできるため、誰もがブロック生成(「ベーキング」)に参加できます。
テゾスではブロック生成者の数は固定されておらず、ブロック生成に参加するために必要なハードウェア等の要件も厳しくありません。テゾスは、より多くの人がブロック生成に携わる環境を整えることで、プロトコルの分散性を高めることを目指しています。
②独自のスマートコントラクトを採用
スマートコントラクトとは、ブロックチェーン上で自動的に契約を履行できる技術です。契約実行に第三者の介入を必要としないため、時間とコストを削減できるメリットがあります。
テゾスでは、「フォーマル・ベリフィケーション(Formal Verification)」という独自のスマートコントラクトを導入することで、通常は実施テストを必要とする”作ろうとしたものができているか?”という問いを、数学的に検証することができます。
テゾスは「OCaml(オーキャムル)」というプログラミング言語を使用しています。OCamlは一つのミスが数億円もの損失につながるようなエンタープライズ環境で使用されています。スピードが重要視され、活発なコミュニティに支えられており、豊富なライブラリや開発ツールが用意されています。
③ハードフォークすることなくアップデートが可能
ハードフォークとは、ネットワークのプロトコルに根本的な変更を加えることで、それまで無効だったブロックやトランザクションを有効(無効)にしたり、ブロックチェーンの仕様を変更したりすることです。すべてのノードまたはユーザーは、プロトコルソフトウェアの最新バージョンにアップデートしなければなりません。そうしないと、ネットワークやコミュニティが分岐してしまいます。ビットコインやイーサリアムは過去にハードフォークによってシステムの修正を図り、その過程でフォークが起こり、ビットコインキャッシュやイーサリアムクラシックが誕生しています。
テゾスにはネットチェーン上にガバナンス機能があり、ネイティブコインであるXTZの保有者がネットワークの将来の方向性やアップデートについて投票できるようになっています。この機能により、ハードフォークを起こさずにアップグレードが可能になります。このように、ブロックチェーンが分岐する事態が起こり得ないということは、テゾスに対するユーザーからの信頼を維持できる理由となります。
②テゾスのESGの側面の強みとは?
次に、テゾスのESG観点から見た強みについて解説します。
2-1. ESGとは?
ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取って作られた言葉です。
気候変動問題や人権問題などの世界的な社会課題が顕在化している中、企業が長期的成長を目指す上で重視すべきESGの観点での配慮ができていない企業は、投資家などから企業価値毀損のリスクを抱えているとみなされます。
そのため、ESGに配慮した取り組みを行うことは、長期的な成長を支える経営基盤の強化につながると考えられています。
このように、ESGは非財務の情報でありながら、企業へ投資する際に活用され、より良い経営をしている企業を表す指標という見方がされており、企業投資の新しい判断基準として注目されています。
2-2. テゾスのESG的強み
①PoWより消費エネルギーの少ないLPoSの採用
前述の通り、テゾスではコンセンサスアルゴリズムとして、PoSをベースとしたLPoSを採用しています。ビットコインやイーサリアムをはじめとする多くの仮想通貨は、PoWとは「プルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work)」の略称で、より多くの計算を行った人に報酬(コイン)を与える」という仕組みになっています。そのため、より多くの計算を行うためにより多くの電力を消費し、その際には二酸化炭素が生じるため、問題視されています。
一方で、テゾスが採用しているLPoSは、PoSをベースとして開発されたコンセンサスアルゴリズムで、PoSは、PoWにおける問題点を改善するために生み出された仕組みとなっており、保有量と保有年数で報酬が決まります。
よって、PoSでは仕事量が重要ではなくなるため、電力消費が抑えられ、PoWによる二酸化炭素排出問題を改善すると言われています。
実際に、ケンブリッジ大学オルタナティブ金融センター(CCAF)によると、ビットコインは現在、1年間に約110TWhのエネルギーを消費していますが、テゾスの公式ホームページによると、テゾスネットワークの年間エネルギー消費量はわずか0.001TWhと発表されており、環境に配慮したシステムであると言えます。
②カーボンフットプリント
カーボンフットプリントとは、Carbon Footprint of Productsの略称で、商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算して、商品やサービスに分かりやすく表示する仕組みです。
テゾスでは、公式ホームページにおいてカーボンフットプリントを公開しており、この情報をユーザーと共有することで、更なるCO2排出量削減を推進しています。
③環境に優しいNFTプラットフォーム
テゾスを基盤とするNFTプラットフォームの一つである「Hic et Nunc」は、環境問題を意識するアーティストが集まるNFTマーケットプレイスとなっており、テゾスは、NFTアートの分野においてクリーンなNFT(#CleanNFT)を広める試みとして、環境問題を気にするアーティストや活動家にアピールしています。Hic et Nuncの手数料は2.5%となっており、通常15%ほどを請求する他のNFTマーケットプレイスと比べると、大幅に低くなってるのも特徴です。
③まとめ
仮想通貨業界が更なる盛り上がりを見せる中、その一方でブロックチェーンが環境に及ぼす影響も懸念されています。テゾスはPoSを採用することなどによって、環境に配慮した持続可能なブロックチェーンを目指しています。ブロックチェーンがさらに発展するためには、ESGが重要な要素となってくると考えられ始めています。カーボンクレジットのような排出権取引でも欧州ではブロックチェーンが利用されようとしているなか、テゾスがどのような形で具体的に貢献していくのか動向が注目されます。テゾスは日本の仮想通貨取引所ではGMOコインで購入が可能です。積立で購入したりしながら将来の期待を込めてポートフォリオに入れてみるのもいいでしょう。
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Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
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