仏エネルギー大手トタル・エナジーズ21年通期 黒転 コモディティ価格の急騰受け

仏エネルギー大手のトタル・エナジーズ(ティッカーシンボル:TTE)が2月10日に発生した2021年通期決算は、調整後純利益が前年比4.4倍の18億1,000万ドルと黒字幅が大きく拡大し、市場予想の171億ドルも上回った(*1)。コモディティ価格の急騰が利益を押しあげた。

21年10-12月期に関しても、調整後純利益が前年同期比5.2倍の68億ドルと、アナリスト予想の61億ドルを上回った(*2)。パトリック・プイヤネCEOは、(多様なエネルギー形態を供給する)マルチエネルギーモデルを採用していることにより、液化天然ガス(LNG)や電力セクターなどの非常に良好な市場環境をおおいに活かすことができたと述べている(*1)。

21年末の純債務は208億ドルと、20年末の293億ドルから減少。また、22年の株主還元策も発表している。中間配当を5%増額するほか、上半期に20億ドルの自社株買いを行う計画を明らかにした。

原油価格は7年ぶりの高値水準に上昇したほか、21年末にかけての残り数ヶ月で天然ガス価格が急騰したことが、石油メジャー各社の業績の大幅拡大につながっている。英BP(BP)や英シェル(RDS.B)が黒字に転じたほか、米シェブロン(CVX)と米エクソンモービル(XOM)は過去最高益を達成している。これは石油・ガス業界が耐え忍んだ20年の市場環境が劇的に変化したことを意味する。

一方、化石燃料の利用を大幅に減らすよう求める圧力が高まるなか、エネルギー業界のアナリストは投資家が石油メジャー各社の長期展望に対しておおいに懐疑的な見方をする可能性があるという(*2)。石油・ガスといった化石燃料を利用することが、気候危機の主な要因となっている。環境科学者は気温上昇に対処する最良の武器は温室効果ガス(GHG)の排出をできるだけ早く削減することだと繰り返し主張している状況だ。

近年、石油メジャーのすべての企業が気候変動対策を強化しているものの、各社のビジネスモデルは地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」のもとで産業革命以降の気温上昇を1.5度におさえるという目標に完全に沿うものでない。この目標を達成するためには、30年までにGHGの排出量を半減し、50年までにゼロエミッションを実現させなければならない。

他の石油メジャー同様にトタル・エナジーズも気候変動対策を打ち出している。再生可能エネルギー分野で世界トップ5入りを目指すほか、グローバル各国で運営する事業では50年までにネット・ゼロカーボン(GHG排出量の実質ゼロ)を達成する方針を掲げている(*3)。ただし、機関投資家の立場から気候変動問題の解決を促す国際的なイニシアチブである「Climate Action 100+」は、トタル・エナジーズの気候変動対策関連の目標はパリ協定の一部分にしか沿うものでないと指摘している。

コモディティ価格が高水準で推移するなか、石油依存から総合エネルギー企業への移行を目指す同社の取り組みに注目したい。

【参照記事】*1 トタル・エナジーズ「https://totalenergies.com/system/files/documents/2022-02/4Q21-Results.pdf
【参照記事】*2 cnbc「Oil major TotalEnergies swings to profit thanks to surging commodity prices
【参照記事】*3 トタル・エナジーズ「Building a sustainable multi-energy Company Combining energy transition and shareholder return

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