GPIF、国内株式運用機関が選ぶ「優れたTCFD開示」27社を発表
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は3月23日、「優れたTCFD開示」として27社を発表した。TCFDはG20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示や金融機関の対応をどのように行うかを検討するため設立された「気候関連財務情報開示タスクフォース」。GPIFは2018年12月にTCFDへの賛同を表明、TCFDの提言に基づくポートフォリオの気候変動に関する財務情報の開示を行っている。また、昨年のコーポレートガバナンス・コード改訂内容を踏まえた新たな取り組みとして、国内株式の運用を委託している運用機関に、優れたTCFD開示の選定を依頼した。
運用機関には最大5社の優れたTCFD開示の選定とともに、開示の4項目(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)についても、それぞれ最大3社ずつ優れた開示の選定を依頼した。結果、27社が選ばれ、そのうち、多くの運用機関から優れたTCFD 開示として4社が高い評価を得た。
高い評価を得た4企業と選定した機関数は、キリンホールディングス株式会社(8機関)、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(5)、株式会社リコー(5)、株式会社日立製作所(4)。
各企業へのコメントとして、キリンホールディングスは「TCFD がシナリオ分析のガイダンスの刊行に際して実施した世界15社へのインタビューに日本企業で唯一選抜。全てにおいて先進的な対応が図られている」点が評価された。リコーは「1976年の環境推進室設立以来、環境経営に取り組んでおり、初めて発行したTCFDレポートでは、脱炭素に向けた環境目標を一層強化、取り組みが同社の事業機会となりうることを具体的に示している」、三菱UFJフィナンシャル・グループは「気候変動に対する自社の影響度の大きさを意識した網羅性の高い情報開示、シナリオ分析における開示充実の取組み、今後のアクションプラン、アセットマネージャーとしての TCFD対応の開示」、日立製作所は「1.5℃・4℃シナリオでの事業環境、リスク、機会が詳細に定義されており、長期的なレジリエンス性に信頼感が持てる内容」とそれぞれ評価された。
ほか、選定されたのは、アサヒグループホールディングス、村田製作所、トヨタ自動車、アスクル、味の素、伊藤忠商事、住友化学、丸紅、積水化学工業、三菱商事、野村総合研究所、丸井グループ、花王、ENEOSホールディングス、三井住友フィナンシャルグループ、小松製作所、みずほフィナンシャルグループ、ダイキン工業、MS&ADインシュアランスグループホールディングス、東京海上ホールディングス、富士通、エヌ・ティ・ティ・データ、パナソニック。
なお、外国株式の運用機関にも同様の選定を依頼しており、英語版のウェブサイトに内容を公表している。
【参照レポート】GPIF「GPIF の国内株式運用機関が選ぶ「優れたTCFD開示」」
【参照レポート】GPIF「Excellent TCFD Disclosure Selected by GPIF’s Asset Managers Entrusted with Foreign Equity Investment」
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