沖縄で不動産投資を始めるメリット・デメリットは?エリアの特徴や物件タイプも
沖縄県はマリンリゾートとして国内外からの観光客に人気のエリアです。また、暖かい気候や風土などに憧れて、移住する人もいます。
一方、台風の被害が大きいために自然災害への対策が必要であるなど、沖縄県特有のデメリット・リスクがあります。これらの注意点も考慮しながら不動産投資を検討することが大切です。
そこで今回のコラムでは、沖縄県で不動産投資を始めるにはどのようなメリットとデメリットがあるのか、解説していきます。沖縄本島のエリアごとの特徴や、適している物件タイプも合わせて紹介します。
目次
- 沖縄県の不動産投資に関する基本情報
1-1.沖縄県の人口推移
1-2.沖縄県の地価推移 - 沖縄県で不動産投資を行うメリット
2-1.豊富な賃貸需要を見込める
2-2.大都市圏並みの高い借家率 - 沖縄県で不動産投資を行うデメリット
3-1.台風など自然災害への対策が必要
3-2.駐車場設置に関する費用がかかる - 沖縄県のエリア別特徴と適した物件タイプ
- まとめ
1 沖縄県の不動産投資に関する基本情報
この項目では、沖縄県内で不動産投資を行う際に確認しておきたい、人口推移と地価推移のデータについて紹介していきます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
1-1 沖縄県の人口推移
不動産投資で重要なのは、入居者からの賃貸需要です。そこで、沖縄県の人口推移について表にしました。
集計日 | 人口総数 |
---|---|
2003年10月1日 | 1,347,304人 |
2008年10月1日 | 1,377,709人 |
2013年10月1日 | 1,416,587人 |
2018年10月1日 | 1,448,101人 |
2019年10月1日 | 1,454,184人 |
2020年10月1日 | 1,458,839人 |
2021年10月1日 | 1,459,886人 |
※参照:沖縄県「沖縄県推計人口データ一覧」より抜粋。
最新のデータである2022年3月1日の「沖縄県推計人口」では1,468,780人と前月比で453人(0.03%)の減少となりましたが、卒業や離島などで2月〜4月まで人口が減少する傾向があります。
そこで1年間の増減を見てみると、2021年3月1日の推計人口は1,460,652人となっており、2022年3月1日までの1年間で約8,000人の増加となっています。
1-2 沖縄県の地価推移
次に不動産投資をするために必要な土地の価格推移を見ていきます。下記は、沖縄県の住宅地の平均地価を表にしたものです。
集計年 | 住宅地の平均価格 |
---|---|
2008年 | 42,000円 |
2013年 | 43,800円 |
2018年 | 52,900円 |
2019年 | 59,100円 |
2020年 | 62,600円 |
2021年 | 63,700円 |
※出典:沖縄県「地価調査・地価公示」より抜粋
沖縄県の地価は上昇を続けており、2018年から2020年までは3年連続で全国最大の上昇率を記録していました。2021年も東京に次いで全国で2番目の上昇率となっています。
2 沖縄県で不動産投資を行うメリット
人口が増加し、さらに地価も上昇している沖縄県で、不動産投資をするにはどのようなメリットがあるのか、詳しく見てみましょう。
2-1 豊富な賃貸需要を見込める
2020年に実施した国勢調査をもとにした「沖縄県の人口と世帯数(令和2年10月1日)」によると、沖縄県の人口は1,467,480人で、前回調査の2015年に比べて33,914人(2.4%)の増加となっています。人口増加率は前回調査に比べて鈍化していますが、人口減少が続く自治体が多い中、東京都の4.1%に次いで全国2位となっています。
また世帯数は614,708世帯で、前回調査から5年間で54,284 世帯(9.7%)増加しています。1年間で1万世帯ずつ増えている計算になります。人口・世帯数が増えているということで、短~中期的な推移を見るうえでは賃貸需要を見込みやすい環境にあると考えることができます。
2-2 大都市圏並みの高い借家率
沖縄県が発表している「住宅の所有関係」によると、沖縄県内での持ち家率は2018年の時点で44.4%となっており、全国の61.2%よりも16.8%低い数値です。
一方、借家の割合は2018年の時点で49.5%となっています。これは全国平均の35.6%よりも高く、東京都や大阪府などの大都市圏並みの水準になっています。
若い世代で借家率が高いのは全国的に見ても同じですが、沖縄県の特徴としては30歳以降も借家率が高いことです。下記の表は、年代別住宅の所有関係です。
年代 | 全国の持ち家率 | 全国の借家率 | 沖縄県の持ち家率 | 沖縄県の借家率 |
---|---|---|---|---|
29歳以下 | 6.4% | 93.4% | 7.1% | 90.8% |
30〜39歳 | 35.9% | 63.9% | 16.8% | 81.5% |
40〜49歳 | 57.9% | 41.9% | 32.7% | 66.3% |
50歳以上 | 76.7% | 23.2% | 63.5% | 35.3% |
どの世代も借家率は全国平均よりも高く、単身者向けのワンルームマンションだけでなく、ファミリー向け住宅などの幅広い賃貸住宅への需要があるということが伺えます。
3 沖縄県で不動産投資を行うデメリット
沖縄県で不動産投資を行う場合、住環境や気候などがネックとなる可能性があります。詳しく見てみましょう。
3-1 台風など自然災害への対策が必要
沖縄県は亜熱帯気候で、台風の被害が多い地域です。気象庁がまとめた「台風の発生数と沖縄県への接近数(1951年~2021年)」によると、1991年から2020年に1年間で台風が発生した平均値は25.1個で、そのうち7.7個の台風が沖縄県に接近しています。
2012年には11個、2014年には10個、2018年には13個の台風が沖縄県に接近しており、直近10年間で3度も年間10個以上となっています。2018年の13個のときは、7月に3個、8月に4個、9月に2個といったようにひと月に複数の台風が接近しているのも注意したい点です。
また沖縄県の気候の特徴として、湿度が高いことも挙げられます。月平均相対湿度は冬場でも70%弱、梅雨の時期は80%以上になっています。国土省の「年間降水量月別の比較」によると、日本国内の1971年〜2000年の年間降水量の平均は1718mmですが、気象庁の「平年値(年・月ごとの値)」によると、那覇市の年間降水量は1991年〜2020年の平均で2161.0mmとなっており、国内平均よりも多くなっています。
台風が多く、降水量も多い沖縄県で不動産投資をする場合は、台風被害や降水量対策、さらに塩害対策などの重要性が高まります。
3-2 駐車場設置に関する費用がかかる
沖縄県内の公共交通機関は、路線バスやモノレールが主流です。そのほかは自転車や自動車で行き来をすることになります。そのため自動車の保有率は「沖縄県の道路2017」によると、2015年度末で一世帯当たり1.66台となっており、1.35台の全国平均よりも多くなっています。
そのため住宅に駐車場が設置されている比率が高くなっているのが特徴です。2015年に東京カンテイが発表した「新築マンションにおける駐車場・駐輪場の設置率」によると、沖縄県の駐車場設置率は136.6%で全国1位となっています。
つまり不動産投資をするには居住する部屋だけではなく、駐車場の確保も求められており、用地の確保や駐車場設備など、初期費用がかかることもデメリットとなります。
4 沖縄県のエリア別特徴と適した物件タイプ
沖縄県には41の市町村があり、そのうち本島にあるのが26市町村です。沖縄県民は、本島を大きく3つに分けて、それぞれ「北部」「中部」「南部」と呼んでいます。
この項目ではその3つのエリアの特徴と、それぞれの特徴に合わせて不動産投資に適した物件タイプを紹介します。
沖縄本島南部
沖縄本島南部は、浦添市、那覇市、糸満市などが含まれ、沖縄本島の中心的な地域です。空の玄関口である那覇空港のほか、沖縄一の繁華街・国際通り、首里城などがあります。
特に那覇市内は大型ショッピングモールや高層ビルもあり、都市型生活には欠かせない生活利便施設も数多く揃っています。8,000人以上の学生がいる琉球大学や2,000人以上の学生がいる沖縄大学もあり、単身者向けからファミリー層向けの物件も需要があります。
沖縄本島中部
沖縄本島中部には、宜野湾市や沖縄市、うるま市などがあります。このうち北部と南部へのアクセスもしやすいことからファミリー層からの人気も高いのが沖縄市で、ファミリー向け物件の需要があります。自然環境に恵まれていることもあり、「沖縄こどもの国」「八重島公園」など家族で楽しめるレジャースポットも多数点在しています。
また「令和2年国勢調査速報 沖縄県の人口と世帯数」によると、沖縄県にある41の市町村別のうち、人口増加数が最も多いのがうるま市で、人口増加率と世帯増加率が最も高いのは中城村です。中城村には琉球大学の千原キャンパスがあるので、学生向けアパートの需要もあります。
沖縄本島北部
沖縄本島北部は、名護市のほか、国頭村、恩納村などの市町村があります。高級リゾートが集まるエリアがあり、美ら海水族館や青の洞窟などが観光スポットとして有名です。
長閑な雰囲気が漂う北部は、名護市を中心にファミリー層が多いエリアになっています。小中学校の学区に合わせて物件探しをしている人もおり、長期間の居住に応えられる賃貸用一軒家なども需要があります。
まとめ
人口が増加しており、幅広い世代が借家を利用している沖縄県は、賃貸用物件への需要が高いと考えられます。ただし、台風被害や塩害対策などが必要なことに加えて、駐車場の設置率が高いことなどから、初期費用が高くなることが予想されます。
沖縄県で不動産投資をするには、自身で情報収集することに加えて、このような細かな不動産事情に詳しいパートナーが必要となってきます。複数の不動産会社を比較するなどして、慎重に検証されてみると良いでしょう。
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