海外ETFの主な商品は?手数料や成績を比較。購入方法やリスクも

米国株式市場が注目されるなか、米国市場に上場している海外ETFの人気が高まっています。そこで、今回は海外ETFの商品や手数料、過去の成績、商品別に海外ETFの主な商品を解説します。

※2022年4月15日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
※経費率など、課税対象となる数値は全て税込表記です。

目次

  1. ETFとは
  2. 海外ETFの始め方
  3. ETF投資での確認事項
    3-1.経費率
    3-2.純資産総額や出来高が多いか
    3-3.投資目的にあった銘柄かどうか
  4. 海外ETFに投資するメリット・デメリット
    4-1.海外ETFのメリット
    4-2.海外ETFのデメリット
  5. 海外ETFの種類
    5-1.対象指数
    5-2.投資地域
    5-3.レバレッジ型
  6. まとめ

1 ETFとは

ETFは、各種指数に連動するように組成されている投資信託です。取引所に上場しており、連動する指数は幅広く、株式、債券、REIT、コモディティ、株式バスケットなどが対象となっています。

一般的な投資信託の基準価額は1日に1回しか算出されませんが、ETFは取引所に上場しているため、株式のように売買が成立する都度、価格が更新されます。

海外ETFの主要市場は米国で、現在2,000銘柄以上のETFが取引されています。日本では、東京証券取引所に36銘柄(2022年3月時点)の外国ETFが上場しています。決済通貨は米国市場ではドルですが、東証上場の外国ETFは円です。

2 海外ETFの始め方

海外ETFは、証券会社で外国株口座を開設すると始められます。自身の目的にあった証券会社を選ぶことが大切です。コストを低く抑えたい場合にはネット証券、銘柄選びに不安で専門家のアドバイスを受けたい場合には、店舗型の証券会社もしくはIFA経由でネット証券を選ぶようにしましょう。

なお、ETFの取り扱い銘柄数は証券会社によって異なるので、事前に調べるようにしましょう。

3 ETF投資での確認事項

ETFに投資する際のチェックすべきポイントについて、見ていきましょう。

3-1 経費率

まず、経費率を確認しましょう。経費率とは保有期間中に発生するコストのことで、経費率が低いほど投資家にとって負担が少ない銘柄ということになります。同じ指数を対象とした銘柄であれば、経費率が低い銘柄を選ぶようにしましょう。

3-2 純資産総額や出来高が多いか

純資産総額はETFの規模を、出来高は流動性を表します。純資産総額が多く、出来高が多い銘柄は、資金が順調に流入している銘柄で、値動きなどが相対的に安定感のある銘柄と言えます。出来高は多いほど売りと買いの価格差が小さくなる傾向があるため、売却時にメリットがあると言えます。

3-3 投資目的にあった銘柄か

投資目的にあっている銘柄かどうかを確認しましょう。投資期間によって選ぶべき銘柄が異なるためです。

長期間運用する場合には、S&P500や全米国株式、世界株式に連動するような銘柄が適しています。世界経済や米国経済は、今後も成長する可能性が高いためです。比較的短期の運用の場合には、値動きが大きいレバレッジ型ETF(対象指数の動きに対し、2倍、3倍に動くように設計されている)が選択肢の一つとなります。

4 海外ETFに投資するメリット・デメリット

海外ETFに投資するメリットとデメリットについて、見ていきましょう。

4-1 海外ETFのメリット

メリットの一つには、銘柄の種類が多いことが挙げられます。株式指数、金や石油などの資源価格、REIT、レバレッジ型など様々あり、自身の投資ニーズに合った銘柄を選ぶことができます。

1株から投資が可能なため、5,000円以下で投資できる銘柄もあり、比較的少額から投資できます。

経費率(信託報酬)が一般的な投資信託より低く設定されていることもメリットです。例えば、S&P500指数に連動するバンガードS&P500 ETFの経費率が0.03%なのに対し、一般的な投資信託であるeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、0.0968%以内と、約3倍となっています。一般的な投資信託の場合、ETFをファンドに組み入れている場合が多いため、信託報酬が高くなってしまう傾向があります。

また、市場の取引時間内であれば、いつでも売買できる点もメリットです。

4-2 海外ETFのデメリット

最大のデメリットは、為替リスクが発生する点です。円建てETFとは異なり、海外ETFは指数が上昇していても、円高が進むと円換算収益がマイナスとなってしまうこともあります。

また、株式と同様、売買時に手数料が必要なこともデメリットです。一般的な投資信託では、購入時の手数料や解約時の手数料が無料に設定されている銘柄が主流となっているからです。また、外貨決済のため、為替手数料が発生する点もデメリットです。

5 海外ETFの種類

海外ETFは多くの種類があります。分かりやすくするために、ここでは対象指数、投資地域、投資資産、型に分け、代表的な銘柄を見ていきましょう。なお、海外ETFの代表銘柄の時価総額は、800億ドル(10兆円)以上と見られます。

5-1 対象指数

時価総額が最も高い銘柄は、SPDR S&P500 ETFの約50兆円です。S&P500の動きに連動するように設計されている主なETFとしては、SPDR S&P500、iシェアーズS&P500、バンガード S&P500の3銘柄が挙げられます(下表参照)。

過去の上昇率はどれも同じような水準で、過去1年が約8.3%、過去3年が約17%です。経費率は、iシェアーズS&P500とバンガードS&P500がSPDR S&P500を下回る0.03%に設定されています。

S&P500指数を対象としたETF

銘柄(ティッカー) 経費率(%) 1年上昇率(%) 3年上昇率(%) 時価総額(USD)
SPDR S&P500 ETF(SPY) 0.0945 8.33 17.04 403,288,812,500
iシェアーズS&P500 ETF(IVV) 0.03 8.38 17.08 325,694,906,250
バンガードS&P500ETF(VOO) 0.03 8.37 17.08 284,780,468,750

バリュー株指数やグロース株指数を対象としたETFとしては、バンガード・バリューETFやバンガードグロースETFが挙げられます(下表参照)。

3年の上昇率は、グロースETFがバリューETFを上回っています。2021年末にFRB(連邦準備制度理事会)が金融政策を緩和政策から引締め策に転じたため、バリュー株に資金が流入し、過去1年の上昇率ではバリューETFがグロースETFを上回っています。

バリュー株指数やグロース株指数を対象としたETF

銘柄(ティッカー) 経費率(%) 1年上昇率(%) 3年上昇率(%) 時価総額(USD)
バンガード・バリューETF(VTV) 0.04 13.47 13.58 102,875,210,938
バンガード・グロースETF(VUG) 0.04 0.58 20.22 79,392,609,375

高配当銘柄に投資するETFとしては、バンガード米国増配株式ETFやバンガード・ハイディビデンド・イールドETFが挙げられます(下表参照)。ハイディビデンド・イールドETFの上昇率は1年、3年ともに13%程度で推移しています。

配当指数を対象としたETF

銘柄(ティッカー) 経費率(%) 1年上昇率(%) 3年上昇率(%) 時価総額(USD)
バンガード米国増配株式ETF(VIG) 0.06 8.34 15.16 65,995,257,813
バンガード・ハイディビデンドイールドETF(VYM) 0.06 12.96 12.43 45,133,496,094

金鉱株や石油・天然ガス指数に投資するETFとしては、ヴァンエック金鉱株ETF、First Trust Nasdaq Oil &Gas ETFやファーストトラスト天然ガスETF等が挙げられます(下表参照)。

原油や資源価格の高騰から関連銘柄が上昇したため、First Trust天然ガスETFの上昇率は117%と2倍以上に上がっています。経費率が高めに設定されていますが、ETFの上昇率が大きく上回っている状況です。

金や石油などの株式指数に連動するETF

銘柄(ティッカー) 経費率(%) 1年上昇率(%) 3年上昇率(%) 時価総額(USD)
ヴァンエック金鉱株ETF(GDX) 0.52 19.80 23.52 16,351,377,930
First Trust Nasdaq Oil & Gas(FTXN) 0.60 87.22 14.92 1,215,152,100
First Trust天然ガスETF(FCG) 0.60 117.50 17.43 741,134,216

5-2 投資地域

新興国を対象とした銘柄では、インド、ブラジル、メキシコ、中国、などが挙げられます。

インドの上昇率が、ブラジルやメキシコと比較し安定しています。新興国に投資する場合、流動性が気になりますが、現在の時価総額を見る限り問題はなさそうです。また、ドルで投資可能なため、比較的投資しやすいと言えます。ただ、経費率が0.6%前後と高めに設定されているのが難点です。

銘柄(ティッカー) 経費率(%) 1年上昇率(%) 3年上昇率(%) 時価総額(USD)
iシェアーズMSCIチャイナETF(MCHI) 0.65 -35.56 -5.63 6,284,739,746
iシェアーズMSCIブラジルETF(EWZ) 0.59 22.40 1.25 6,529,239,746
iシェアーズMSCIインドETF(INDA) 0.65 16.39 11.56 5,526,127,930
iシェアーズMSCIメキシコETF(EWW) 0.51 20.58 7.09 905,080,017

5-3 レバレッジ型

レバレッジ型とは、対象指数の動きに対し、数倍動くように組成されたETFです。例えば、ディレクション・デイリーS&P500ブル3X(3倍)は、S&P500指数が上昇すると利益が3倍に動くように設計されたETFです。レバレッジ型は、値動きが激しいため、比較的短期間の運用に向いています。

銘柄(ティッカー) 経費率(%) 1年上昇率(%) 3年上昇率(%) 時価総額(USD)
ディレクション・デイリーS&P500ブル3X(SPXL) 0.75 16.51 31.22 3,039,316,162
MicroSectors FANG+ Index 3X(FNGU) 0.95 -47.22 55.43 919,359,985
ディレクション・デイリーS&P500ベア3X(SPXS) 0.75 -31.96 -53.93 467,207,214

まとめ

海外ETFを始めるには、まず証券会社で口座を作る必要があります。取引に慣れている方はSBI証券楽天証券マネックス証券などのネット証券を、初心者や投資アドバイスが必要な方は対面式の証券会社などを選ぶと良いでしょう。

海外ETFの主な商品としては、S&P500 指数に連動するSPDR S&P500 ETF(SPY)、iシェアーズS&P500 ETF(IVV)、バンガードS&P500ETF(VOO)等があります。時価総額はいずれも35兆円を上回っており、海外ETFの代表銘柄ともいえそうです。

投資の原則は長期・分散・積立です。海外ETFは銘柄が多く、分散投資が可能です。同じ指数連動のETFに投資するのではなく、金や石油等の指数に連動する銘柄にも投資すると、リスクを回避することができます。

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