積立投資、暴落時の対策とNG行動は?ベテラン投資家の実体験も

積立投資は10~20年といった長期で投資をしていく手法なので、途中で1回や2回の暴落にあう可能性は高くなります。私も2001年のITバブル崩壊、2008年のリーマンショック、2020年のコロナショックなど、何回も暴落を経験しています。

ただ、暴落を避けることはできないので、暴落時にどのように対応するかを事前に決めておくことが大切です。この記事では暴落時の対策と、NG行動について解説します。

目次

  1. 積立投資とは
  2. 暴落したときの対応
    2-1.ルールをきちんと決めておく
    2-2.資産が半分になる可能性があることも覚悟しておく
  3. 暴落時のNG行動
    3-1.積立投資をやめてしまう
    3-2.投資信託などの資産を売却してしまう
  4. 私の積立投資の暴落時の対応
  5. まとめ

1.積立投資とは

積立投資とは、一般的に毎月一定額の金融商品(投資信託など)を購入し、積み立てることです。積立投資は、「時間分散の効果」があります。ポイントは「買える量が変わる」ことです。

積立投資では購入するタイミングを分散し、一定額で購入することで、「価格が高いときは少なく、価格が低いときは多く購入する」ことができます。積立投資の場合、価格が安いときに多く購入するため、平均購入単価が下がるというメリットがあるのです。価格が変動する商品を定期的に一定量購入する方法を「ドルコスト平均法」といいます。

買い物をするとき、価格が高いときは買い控え、セールのときにまとめ買いをする方は多いと思います。それと同じように、積立投資をすれば、価格が安くなったときに自動的に商品を安く買うことができるのです。常にタイミングを見て、自分で判断して売買するよりも、ずっと楽な方法です。

長く投資をしていれば、「いつも上がっている」「いつも下がっている」ということはありません。価格変動があるからこそ、積立投資は有効なのです。

タイミングや感情に左右されず、長く積立投資を続けることが、投資で大きなお金を築く秘訣になります。

2.暴落したときの対応

積立投資は、10年以上の長期で行うのが通常のセオリーです。そして、長期間運用していれば、数年に1回は株価が暴落するときがあります。直近では2020年のコロナショックがありましたし、過去にも2008年のリーマンショックなど大きな金融危機もありました。

そのように株価が暴落したとき、どのように対応すればいいのかについて解説します。

2-1.ルールをきちんと決めておく

相場が暴落したときは怖くなって「投資信託を売却したい」などと思ってしまいがちです。ですから、投資目的や投資期間、目標金額を確認したら、あとはルールを決めて淡々と積立投資を続けることが大切です。

ただ、年に一度は投資信託の基準価額等をチェックし、当初決めた比率から大きく乖離した場合のみ、元の水準に戻すように配分を調整する「リバランス」を行いましょう。そして、それ以外は積立投資を続けること、つまり自分なりのルールを決めて、それを迷わず実行することです。

また、投資できるお金をすべて投資に回すのではなく、一定額の現金を手元に置いておくという方法もあります。そして、大きく値下がりしたときに、投資信託を買い足せばいいのです。そうすることで、1回あたりの購入価格を下げることができます。

いずれにしても、暴落してから考えても遅いので、「株価が暴落した時はこうする」というルールをあらかじめ決めておくことが大切です。

2-2.資産が半分になる可能性があることも覚悟しておく

「積立投資は安全だ」と勘違いしている人もいますが、そんなことはなく、リーマンショックなどの金融危機によって、資産の半分以上を失う恐れも十分あり得ます。しかし、世界中の株式や債券に分散投資しておけば、それは一時的なものに過ぎなくなります。

長期でポジションを保有していれば、資産が元に戻る可能性は高いのです。投資資金が半分になるかもしれないということを最初から覚悟していれば、暴落を恐れる必要はありません。

3.暴落時のNG行動

暴落時にしてはいけない「NG行動」について解説します。

3-1.積立投資をやめてしまう

暴落したらどこまで値下がりするかわからないので、積立投資をやめて、たとえば「大底をつけたら積み立てを再開しよう」と考える人もいるかもしれません。たしかに、下落トレンドの途中で積み立てを中止して購入予定資金を残しておき、大底をつけたときに一気に購入すれば、運用成績は上がります。

しかし、大底を当てることは非常に困難です。その難しさを認識した上で、「購入のタイミングを分散させることで、価格変動のリスクを軽減する」というのが積立投資の考え方です。

積立投資は価格が安いときに多くの数量を購入できるため、場合によっては暴落時が「絶好の買い時」といえます。つまり、暴落は平均取得価格を下げる絶好のチャンスなのです。状況にもよりますが、基本的に積立投資はやめないようにしてください。

3-2.投資信託などの資産を売却してしまう

もっとも避けなければいけないのは、積み立てた資産を売却することです。暴落時には、「充分に分散投資されたポートフォリオ」であっても、短期間で数十%の価値を失うことがあります。

自分の資産がみるみる減っていくのを見ていると、「ダメージが少ないうちに資産を売却して、暴落から逃げたい」と思うかもしれません。

確かに、信用取引やFXなどのようにレバレッジがかかっていたり、長期的な視点でも上昇しそうにない資産であれば、できるだけ早く売却したりしてポジションを解消する必要があります。

しかし、積立投資に関しては、そこまで暴落に慌てることはありません。長期的な視点で「ある程度分散された金融商品」を積み立てているのであれば、確実ではないにしろ、いつかは利益がでる可能性が高いからです。

とくに、暴落に対して反射的に深く考えずに売ってしまう「パニック売り」は避けたいものです。結果的に売ることが正しい場合もあるかもしれませんが、売り注文を出す前に冷静に状況を整理し、積立投資を始めたメリットや理由を今一度思い出すようにしてください。

4.私の積立投資の暴落時の対応

2008年のリーマンショックや、2020年のコロナショックなどの株価暴落で資産は大きく目減りしましたが、積立投資に関しての下落はあまり気になりませんでした。そして、やっていることも変わりませんでした。

積立投資は、株価が短期的に浮き沈みを繰り返すとしても、20年、30年という長期的では、インフレを伴う緩やかな上昇を続ける可能性が高いという前提に立った投資法です。

そういった長い投資期間の間に暴落が来るのは当然です。過去の歴史を振り返っても、1987年のブラックマンデーや、2000年のITバブル崩壊、2008年のリーマンショックなど、暴落は定期的に訪れることが分かっています。世界経済が長期的に成長すると信じていれば、一時的な暴落はむしろ買い場になるのです。

投資信託を定期的に積み立てる積立投資のメリットは、基準価額が下落したときに多くの口数を購入し、平均購入単価を下げることができることです。

投資信託を積み立てていく中では、当然、基準価額が上昇するケースもあります。ただ、長い目で見れば、平均購入価格は横ばいになっていきます。つまり、積み立ての効果が現れるのは、ある程度の期間が経過した後なのです。

まとめ

市場環境が不安定になり、保有している投資信託の基準価額の変動が大きくなると、「このまま投資信託の積み立てを続けていいのか」と悩む方も多いでしょう。しかし、積立投資を成功させるためには、「下落局面は買い増しできるチャンス」と感じるように考え方を変えることと、10年以上の積み立て期間を継続することが必要です。

一時的な暴落に慌てるのではなく、長期的な視点で積立投資を続けるようにしてください。

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