社債とソーシャルレンディングの違いは?投資のメリットとリスクも

ソーシャルレンディングは、少ない金額で気軽に投資可能で、かつ利回りが高いため、個人投資家を中心に人気です。日本の10年国債の利回りは、2022年4月26日時点で0.24%程度ですが、ソーシャルレンディングは運用期間が1年未満で、利回りが1.0~5.0%(年率換算)程度と高い水準です。

そのぶん、国債や社債と比較してリスクが高いため、投資する上では注意が必要です。そこで、今回は類似する仕組みである社債とソーシャルレンディングの違いや、投資のメリット、デメリットなどについて解説します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. ソーシャルレンディングとは
  2. 社債とは
  3. ソーシャルレンディングと社債のメリット・デメリット
    3-1.ソーシャルレンディングのメリット
    3-2.社債のメリット
    3-3.ソーシャルレンディングのデメリット
    3-4.社債のデメリット
  4. ソーシャルレンディング投資の注意点
    4-1.集中投資をしない
    4-2.余裕資金で投資する
    4-3.高利回り=高リスク
    4-4.利回りは年率換算
  5. まとめ

1 ソーシャルレンディングとは

ソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)とは、個人を中心にインターネットを用いてファンドの募集を行い、ファンド業者(ソーシャルレンディングを営んでいる会社)を通して、お金が必要な借り手に貸し付ける仕組みのことです。

借り手は、定期的に利息を支払い、その利息が投資家に分配されます。投資期間は1年未満が主流で、長くても3年程度と短いのですが、想定利回りが同期間の社債利回りを大きく上回る水準に設定されています。ファンドの規模は1億円前後で、多くは1万円から投資できます。

ソーシャルレンディングと呼ばれるサービスには、ソーシャルレンディング、不動産投資型クラウドファンディング、株式投資型クラウドファンディングの3種類があります。融資先は、ソーシャルレンディングが企業や個人、不動産投資型クラウドファンディングがマンションなど不動産、株式投資型クラウドファンディングが未上場のベンチャー企業と異なります。

ソーシャルレンディングを運営する会社によって、融資先に以下のような違いがあります。

社名 主な融資先
Funds 上場企業
クラウドバンク 太陽光発電、不動産
CAMPFIRE Owners 企業などの事業者

融資先により、同じ投資期間でも想定利回りが異なり、リスクが高いファンドほど利回りが高くなると言えます。

2 社債とは

社債とは、企業が資金調達の手段として、投資家から資金を調達する際に発行する債券です。社債は、クーポンと満期日(償還日)が決められており、半年に1度利息が支払われ、償還時には、額面金額とクーポンが支払われます。

日本の債券市場では、倒産の可能性が低いBBB以上(投資適格)の銘柄が主流で、多くは上場企業です。利回りは同年限の国債利回りが基準となることが多く、ソーシャルレンディングのような高い水準ではありません。

社債は、機関投資家向けと個人投資家向けが販売されています。最低投資金額は、機関投資家が額面1億円、個人投資家向けは額面10万円(銘柄によって100万円)が主流で、個人向け社債の期間は2年から5年が中心です。

社債の価格は日々変動しますが、償還日が近づくと、社債価格が額面に収れんされるため、満期まで保有すれば元本割れのリスクは低いと言えます。

3 ソーシャルレンディングと社債のメリット・デメリット

ソーシャルレンディングと社債には、それぞれメリット・デメリットがあります。それぞれ見ていきましょう。

3-1 ソーシャルレンディングのメリット

ソーシャルレンディングのメリットは、融資期間(満期までの期間)が短いこと、少額から投資できること、高い利率を享受可能であることが挙げられます。融資期間は、銘柄により異なりますが、多くは1年未満、投資金額は1万円、想定利回りは年1~5%程度です。

3-2 社債のメリット

社債のメリットとしては、日本で起債可能な企業のほとんどが一部上場企業で倒産リスクが低いこと、償還まで保有せずに途中売却できること、国債利回りより高い利率が設定されることが挙げられます。

利息にかかる税率は、自身の給料、所得等に関係なく一律20.315%(所得税15.315%、住民税5%)で、課税所得が高ければ高いほどメリットがあります。

3-3 ソーシャルレンディングのデメリット

ソーシャルレンディングのデメリットは、デフォルトリスク(倒産リスク)が社債よりも高いことが挙げられます。ソーシャルレンディングの想定利率が社債よりも高い理由は、デフォルトリスクが高い企業に投資するためです。そのため、多くのファンドは償還期間を短く設定することでデフォルトリスクを引き下げています。

出資金は途中売却できないため、急遽お金が必要となっても換金することができません。また、ソーシャルレンディングから得た収益は、所得税法上では雑所得に分類されるため、原則として確定申告が必要となります。税率は、自身の給料等からの所得と合算し決まるため、所得が多ければ多いほど税率が高くなります。

3-4 社債のデメリット

社債のデメリットとしては、償還期限を待たずに換金する際、額面価格を下回ってしまう可能性が高いことが挙げられます。社債を売却する際は販売した証券会社が買い取り、その価格は証券会社が決めます。

利率は同期間の国債よりも高いものの、ソーシャルレンディングと比較すると低い水準です。満期までの期間が2~5年程度とソーシャルレンディングより長いこともデメリットです。

社債のリスクの一つにインフレリスクが挙げられ、社債の償還時の物価水準が投資時点と同じか低ければ問題ないのですが、物価が上昇した場合には貨幣価値が低下してしまうため、リスクが高くなります。

4 ソーシャルレンディング投資の注意点

投資期間が短く、利率が社債よりも高いことがソーシャルレンディング投資の人気の理由ですが、投資する場合には注意点があります。ここでは、注意点を説明します。

4-1 集中投資をしない

手元にまとまった金額があった場合でも、一銘柄に絞った投資は避けるようにしましょう。ソーシャルレンディングはデフォルトリスクが高いため、銘柄を分散することでリスクを減らすことができます。

4-2 余裕資金で投資する

投資には余裕資金を活用しましょう。想定利率が高く、投資期間が短いからといって全財産を投資しないようにしましょう。ソーシャルレンディングは、補完的な運用商品の一つです。投資金額は案件がデフォルトしても諦めがつく範囲内にしましょう。

4-3 高利回り=高リスク

金融の世界は、ハイリスク=ハイリターンです。高利回りの背景には必ず高リスクが潜んでいることを忘れないようにしましょう。ファンドが無事償還すると安心してしまい、気軽に追加資金を投資してしまう方もいますが、常にリスクとは冷静に向き合って投資判断をしましょう。

4-4 利回りは年率換算

利回り表記は年率が基本です。1万円を3カ月、利率4%で運用した場合、受け取り利息は100円です(1万円×4%×3カ月÷12)。高い利率でも、投資期間が短くなればなるほど受取金額は少なくなります。誤解しないように注意が必要です。

4-5 実績のあるソーシャルレンディング会社を選ぶ

投資する場合には、ソーシャルレンディングを運営する会社について調べるようにしましょう。過去のファンド事例や、運用方針などは運営会社ウェブサイト上で確認することができます。

運営会社の倒産や不祥事による業務停止などの事案も複数あるため、様々な面から情報収集を行うのが無難です。

まとめ

ソーシャルレンディングは新しい金融商品の一つです。日本の預金金利がほとんどつかないなか、利率1%以上の金融商品は魅力的にうつるかもしれませんが、相応のリスクがあることを忘れないでください。

信用できる実績ある運営会社を選び、利率が高いからといって全財産を投資しないようにしましょう。デフォルトが起きてしまうと、元も子もなくなるためです。リスクを踏まえたうえで、余裕資金内で投資することが重要です。

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