人気の債券ファンドは?国内外の販売金額上位5本の成績を比較【2022年5月】

債券ファンドには、国内債券や海外債券、社債、仕組債ファンドがあります。債券ファンドの主な収益源は、債券価格の変動と利払いによるインカムゲインです。値動きが異なる株式ファンドとポートフォリオを組むと、分散投資効果を高めることができます。

当記事では債券ファンドを販売金額順に紹介し、概要や保有するメリットなどについて詳しく解説します。債券ファンドへの投資をお考えの方はご確認ください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※信託報酬など、課税対象となる数値はすべて税込表示としています。

目次

  1. 人気の債券ファンド販売金額上位5本
  2. ファンドごとの概要
    2-1.eMAXIS Slim 先進国債券インデックス
    2-2.eMAXIS国内物価連動国債インデックス
    2-3.JPMワールド・CB・オープン
  3. 債券ファンドの特徴
    3-1.株式ファンドと比べて価格変動リスクが低い
    3-2.国債からハイイールド社債まで種類が多彩
    3-3.物価と信用力の要因で債券価格が変動
  4. 債券ごとのリスク性向
  5. まとめ

1.人気の債券ファンド販売金額上位5本

SBI証券で取扱いのある債券ファンドを、販売金額上位5位までピックアップしました。

ファンド名 基準価額 純資産 トータルリターン/1年 トータルリターン/3年 シャープレシオ/1年 信託報酬
1.eMAXIS Slim 先進国債券インデックス 11,913円 45,307百万円 2.29% 3.78% 0.43 0.154%
以内
2.eMAXIS国内物価連動国債インデックス 9,575円 4,200百万円 3.98% 0.19% 2.85 0.44%
以内
3.JPMワールド・CB・オープン 8,225円 11,355百万円 4.20% 9.25% -0.26 1.650%
4.ニッセイ外国債券インデックスファンド 12,490円 20,416百万円 2.26% 3.73% 0.43 0.154%
以内
5.eMAXIS Slim 国内債券インデックス 9,966円 16,373百万円 -1.34% -0.83% -1.16 0.132%
以内

※2022年5月2日の情報です。

債券ファンドは国内債券と海外債券でそれぞれ異なる値動きを見せています。国内債券は、近年の株価上昇によって相対的に値動きが横ばい、やや下落傾向にあります。一方海外債券は、株式ファンドと同じような値動きです。

国内外債券ファンドの値動きに差があるのは、発行体の金利によって債券価格が変動するためです。債券ファンドへの投資では、金利の把握が重要です。

2.ファンドごとの概要

販売金額上位5本の債券ファンドから、タイプの異なるファンドを3本ピックアップしました。具体的なファンドを確認する前に、債券ファンドへの投資判断に必要となる用語を以下にて解説します。

債券の利回りには2種類があり、最終利回りとは、個別債券ごとに満期まで保有した場合の複利利回りです。直接利回りは、個別債券ごとの債券額面に対する受取利息を表しています。

債券格付は、BBB(トリプルビー)以上が投資適格債です。BB(ダブルビー)以下は投機的格付けとされています。格付が低くなるにつれて信用度が低下し、利回りはアップします。格付けは民間の格付け会社によって行われます。なお、日本国債の格付けはS&PからA+、R&IからはAA+の評価です。

格付けの例

  • AAA(トリプルエー)
  • AA(ダブルエー)
  • A(シングルエー)
  • BBB(トリプルビー)
  • BB(ダブルビー)
  • B(シングルビー)
  • CCC(トリプルシー)
  • CC(ダブルシー)
  • C(シングルシー)

月次レポートのデータを読み解くと、ファンドの運用状況を正確に把握できます。

2-1.eMAXIS Slim 先進国債券インデックス

eMAXIS Slim 先進国債券インデックスは、FTSE世界国債インデックスをベンチマークとする債券ファンドです。運用は三菱UFJ国際投信を通じておこなわれます。

2022年3月末日発行の月次レポートによると、債券の組入上位の国は、アメリカが47.8%、フランス9.4%、イタリア8.7%と続きます。債券格付の内訳とポートフォリオの金利は以下のとおりです。

格付種類 比率
AAA格 13.50%
AA格 66.60%
A格 3.30%
BBB格 15.10%
BB格以下 0%
無格付 0%

※格付は、R&I、JCR、S&P、Moody’sのうち最も低い格付を表示しています。
※付加記号(+、-等)を省略して集計し、S&Pの格付記号に基づき表示しています。

最終利回り 1.90%
直接利回り 2.00%

2-2.eMAXIS国内物価連動国債インデックス

eMAXIS国内物価連動国債インデックスは、NOMURA 物価連動国債インデックスに連動する運用成績を目指すインデックスファンドです。

物価連動国債とは、物価動向に合わせて元本が変わる国債です。満期までの利率は変わりませんが、物価の変動に合わせて元本も変動するため、受取利息も変動します。インフレ時の目減りしにくい資産として、2015年から個人投資家でも10年物価連動国債が買えるようになりました。物価連動国債は、インフレによって相対的に債券価格が下落するデメリットを補強しています。

2022年3月末日発行の月次レポートによるファンドの状況報告は以下のとおりです。

債券の残存期間 比率
1年未満 0%
1〜3年 34.70%
3〜5年 26.40%
5〜7年 25.90%
7〜10年 12.40%
10年以上 0%

組入銘柄数は10銘柄。各回ごとの利付国債(物価連動・10年)、利率はすべて0.1000%です。

2-3.JPMワールド・CB・オープン

JPMワールド・CB・オープンは、世界各国のCB(転換社債)を投資対象とするファンドです。運用はJPモルガン・アセット・マネジメントを通じて行われます。

転換社債は決められた条件に達すると、いつでも株式に転換できる権利がついた社債です。行使価格を超えると株式へ転換して値上がり益を得ることができます。行使価格を超えない場合でも、通常の債券と同じく定期的な利息を確保できます。満期になると満額で償還されるため、株式のようなリスクはありません。

ファンドの目的は、安定的な収益の確保と信託財産の確実な成長を図ることとしています。2022年3月末日の月次レポートによると、ファンドの国別構成比率はアメリカが66.6%、中国7.5%、フランス5.4%と続きます。

直近の分配金実績は以下のとおりです。

2020年1月 170円
2020年7月 720円
2021年2月 1,600円
2021年7月 1,070円
2022年1月 20円

※分配金は、1万口当たり、税引前です

ファンドの組入上位5銘柄は以下のとおりです。

銘柄名 国・業種 利率 組入比率
1.アマデウスグループ スペイン・情報技術 1.500% 2.9%
2.マイクロチップ・テクノロジー アメリカ・情報技術 1.625% 2.7%
3.サムウエスト航空 アメリカ・資本財、サービス 1.250% 2.7%
4.バーリントン・ストアーズ アメリカ・一般消費財、サービス 2.250% 2.5%
5.ショッピファイ カナダ・情報技術 0.125% 2.3%

株価が好調だった2021年に分配金を多く出している点に注目です。

CBファンドは、一般的な債券ファンドとは値動きが異なります。ポートフォリオを構成するときには、特徴を正確に把握しましょう。

3.債券ファンドの特徴

債券には国債からハイイールド社債まで幅広い選択肢があります。株式と異なる値動きを見せることから、分散投資の緩衝の役割が期待される債券ファンドについて、特徴を紹介します。

3-1.株式ファンドと比べて価格変動リスクが低い

発行体の信用度にもよりますが、債券は株式に比べると比較的安全性が高い金融商品とされています。債券の価格が変動した場合でも、満期まで保有していれば利息を受け取りつつ償還金を満額受け取ることができます。債券価格が上昇している場合、償還日前に売却することも可能です。

株式ファンドほどの大きな収益を得る可能性は低いのですが、債券ファンドへの投資は低リスクな分散投資として良い選択肢の一つです。

3-2.国債からハイイールド社債まで種類が多彩

債券には、国債を始めとしていくつかの種類があります。ニュースなどでよく耳にする国債は、国が発行する借金の借用書です。

国内の公的機関が発行する債券を公社債と呼び、以下3つの種類があります。

  • 国債
  • 地方債
  • 政府関係機関債

一般企業が発行する債券は民間債、社債と呼ばれます。種類は以下のとおりです。

  • 一般事業債
  • 転換社債
  • ワラント社債

他には外国の発行体が円建てで発行するサムライ債、外国や外国企業が発行する外貨建債券、債券とデリバティブ取引をあわせた仕組債があります。

信用度が低い企業が発行する債券はハイイールド債と呼ばれ、利率が高く設定されています。債券は基本的に低リスク商品ですが、発行体の信用度が低い債券や仕組債はハイリスクになりますので、注意が必要です。

3-3.物価と信用力の要因で債券価格が変動

債券は主に物価と発行体の信用力、2つの要因で価格が変動します。

債券の利息と償還金は事前に決まっているので、債券が発行された後にインフレが進行すると、相対的に債券の実質的価値は下落。逆に、デフレの局面では、債券価値は上昇します。

発行体となる企業や国の運営状況が悪くなると、利息や償還金が満額もらえない可能性が高まります。そのため、景気や運営状況によって債券の価格は変動するのです。

運営が安定しない国や企業の債券は、信用力要因で債券価格が変動することが多く、信用が高く支払い能力のある国や企業の債券は、物価変動要因で債券価格が変動するケースが多く見られます。

4.債券ごとのリスク性向

株式ファンドの分散投資先として、債券ファンドの選択は有効です。しかし、債券ファンドでも債券の種類によってリスクが異なります。債券ごとのリスク参考例を以下の表にまとめました。

投資対象・債券の例 金利変動リスク 為替変動リスク 信用リスク
日本国債
先進国の国債
オーストラリアの債券
米国ハイイールド債券
ブラジル債券

低リスクな債券は日本国債券です。信用力が高く、日本銀行や国内の機関投資家の保有率が高いので、国外の債券よりも金利変動リスクが小さいのです。

一般的にオーストラリアドルは米ドルに比べて、為替変動リスクが高い傾向にあります。ブラジルのような新興国債券は、利率は高いものの、為替変動や金利変動、信用面においてハイリスクになります。

低リスクな分散投資や、別方向の値動きに対してリスクを取りたい場合など、投資スタイルに合わせて債券ファンドを選びましょう。

まとめ

債券ファンドには、先進国債券や国内債券、ハイリスクな新興国債券やハイイールド債、仕組債、転換社債など多くの種類があります。

株式ファンドに対する低リスクな分散投資先として検討する場合、国内債券ファンドや先進国債券ファンドが良いでしょう。また、株式とは別のリスクをとって収益を狙いたい場合は、ハイイールド債券ファンドや仕組債ファンドを検討する方法もあります。

債券の主な価格変動要因は金利や物価の変動、信用力の変化です。運用会社が発行している月次レポートには、投資のヒントとなる情報が開示されていますので、内容を読み解きながらリスクを各自で測定する必要があります。

投資の幅を広げるために、債券のしくみも学び、債券ファンドも検討に入れてみてはいかがでしょうか。

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