東証再編による株価指数とインデックスファンドへの影響は?

2022年4月4日の東証指数の再編で、東証1部や2部などの市場区分が廃止され、プライム、スタンダード、グロースの3つの区分に変更されました。

この再編によりTOPIXや東証マザーズ指数も段階的に見直されます。これらの指数は、インデックスファンドの対象となっています。そこで、今回は東証再編による株価指数とインデックスファンドへの影響について解説します。

※2022年5月19日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。

目次

  1. 旧市場区分と問題点
  2. 新市場区分
    2-1.プライム市場
    2-2.スタンダード市場
    2-3.グロース市場
  3. 経過措置について
  4. インデックスファンドへの影響
    4-1.TOPIX
    4-2.東証マザーズ指数
  5. まとめ

1 旧市場区分と問題点

旧市場区分は問題点として、市場コンセプトが曖昧で、利便性が低いことが指摘されていました。

東証における新興企業の上場市場として、東証2部とマザーズ、ジャスダックの3つの市場が存在するなど、各市場区分のコンセプトが明確ではありませんでした。また、東証1部への直接上場基準よりも、マザーズやジャスダックからの東証1部への変更基準が緩い点も指摘されていました。

そのほか、企業規模に統一感がなく指数として使いづらいかったことも問題点でした。TOPIX構成銘柄数は約2,200銘柄と多く、時価総額が10兆円超の大企業に加えて、10億円台の小規模企業も多く採用されていました。

2 新市場区分

旧市場区分での問題点を踏まえ、時価総額等を物差しとして市場が再編されました。新市場区分として、プライム市場とスタンダード市場、グロース市場の3つに分類されることになりました。なお、上場市場の選択については、プライム市場の上場条件を満たしている企業であっても、スタンダード市場を選ぶことができます。

2-1 プライム市場

プライム市場は、多くの機関投資家の投資対象となりうる規模の時価総額を持ち、より高いガバナンスを有し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に積極的な企業向けです。

上場基準は、株主数が800人以上、*流通株式時価総額が100億円以上、流通株比率が35%以上などを満たしている企業です。

今回の変更で、他の上場会社等が保有する政策保有株式についても固定株と定義されることになりました。

*流通株式時価総額:(上場株式数-(大株主上位10位までの株式数+役員保有株数+自己株式+他の上場会社等が保有する当該除以上会社の株数))×株価

2-2 スタンダード市場

スタンダード市場は、一定の時価総額を持ち、上場会社に期待される基本的なガバナンス水準があり、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に取り組んでいる企業向けです。

上場基準は、株主数が400人以上、流通株式時価総額が10億円以上、流通株比率が25%以上などを満たしている企業です。

2-3 グロース市場

グロース市場は、高い成長可能性を実現するための事業計画や進捗状況の適時・適切な開示により一定の市場評価が得られる一方、事業実績の観点から相対的にリスクが高い企業向けの市場です。

上場基準は、株主数が150人以上、流通株式時価総額が5億円以上、流通株比率が25%以上などを満たしている企業です。

3 経過措置について

市場区分の変更に伴い、上場維持基準に適合しない企業には、経過措置が設けられています。

経過措置の適用には、上場維持基準に適合するための取り組み及び実施時期を記載した計画を開示し、当該計画の進捗状況を事業年度末日から3カ月以内に開示することが求められています。

東証1部の約8割にあたる1,841社がプライム市場に上場していますが、うち約20%(296社)がプライム市場の上場基準を満たしていないものの、経過措置を使いプライム上場を維持しています。

経過措置として適用される上場基準は、プライム市場の場合、株主数が800人以上、流通株式数1万株単位以上、流通時価総額が10億円以上、流通株式比率が5%以上とハードルが下げられています。なお、経過措置には期限はないものの、多くの企業はプライム市場の条件達成予定年を3~5年先に設定しています。

TOPIX算出にあたり、既存の組入れ銘柄については新市場区分に関わらず全て継続採用されます。その後、流通時価総額100億円未満の段階的ウエイト低減銘柄とし、3回の判定後、上場基準を達成できなかった場合、2022年10月末から2025年1月末まで四半期ごとに10段階で構成比率が引き下げられ、2025年1月に指数から除外されます。

4 インデックスファンドへの影響

今回の再編によるインデックスファンドへの影響をみていきましょう。

4-1 TOPIX

今回の再編に伴うTOPIX連動型ファンドへの影響は、今のところ最小限に抑えられています。

TOPIX算出銘柄に変化はありません。変更前のTOPIX構成銘柄は市場第一部全銘柄(約2,200銘柄)です。新市場区分施行後も選択市場(プライム市場、スタンダード市場、グロース市場)にかかわらず全て継続採用されます。

ただし、流通時価総額基準に達していない銘柄については、2022年10月から段階的にウエイトが低減され、2025年1月最終営業日に指数から除外されます。その結果、TOPIXに対するウエイトの変化は1%未満に抑えられるため、インデックスファンドへの影響はほとんどありません。

現在、TOPIX連動型ファンドは70兆円以上も設定され、TOPIX連動ETFは9銘柄が上場しているため、指数の連続性が重視されました。

TOPIX Core30、TOPIX Large70、TOPIX Mid400、TOPIX Smallの各指数においても、指数移行後のウエイトの変化は上下1%未満になっており、インデックスファンドへの影響は小さいと言えそうです。

なお、移行完了後(2025年1月)の構成銘柄選定方法については今後、指数コンサルテーションを実施し決定されることになっています。

4-2 東証マザーズ指数

一方、東証マザーズ指数に連動するインデックスファンドには影響がありそうです。

東証マザーズ指数は、東証再編以降も算出は継続されるものの、2022年10月から算出ルールが変更されます。新しい算出方法では、指数組入銘柄がグロース市場(470銘柄)から時価総額上位250銘柄に絞られます。2022年10月の定期入替の結果、除外となる銘柄については、同年10月、2023年1月、2023年4月の各最終営業日に構成比率を逓減され指数から除外されます。

なお、2022年5月から、マザーズ以外からグロース市場を選択した銘柄も採用されます。指数の移行期間が5カ月(2022年10月末から2023年3月)と、短期的な見直しとなるため、インデックスファンドには影響が出る可能性が高いと言えます。

除外される可能性が高い銘柄が売りの対象となるため、指数が下落し、連動するインデックスファンドについても下落圧力がかかることが予想されます。

まとめ

TOPIXについては、指数の見直しが2022年10月末から2025年1月にかけて段階的に行われるため、インデックスファンドへの影響は小さいと考えられます。

一方、マザーズ指数については、算出銘柄数が250銘柄と大幅に絞られてしまうことや、移行期間が5カ月と短期的であることから、マザーズ指数から除外される可能性が高い銘柄には売り圧力がかかるため、指数にはマイナス材料となりそうです。

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Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
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