JPモルガン22年1~3月期、42%減益。ウクライナ侵攻で660億円の損失

米銀大手のJPモルガン・チェース(ティッカーシンボル:JPM)が4月13日に発表した22年1~3月期決算は、純利益が前年同期比42%減の82億8,000万ドル(約1兆500億円)だった。貸倒引当金の積み増しが利益を圧迫したほか、ロシアのウクライナ侵攻による市場の混乱を受けて5億2,400万ドルの損失を計上した。

事業会社の売上高に当たる純営業収益は同5%減の307億ドルだった。投資銀行部門の収入は同28%減。企業の合併・買収(M&A)や新規株式公開(IPO)、社債発行が低調だったことが響いた。市場部門も同3%減と振るわなかった。一方、純金利収入(NII)は同7%増だった。

貸倒引当金と貸倒損失を合わせた不良債権処理費用として14億6,000万ドル計上した。アナリスト予想の6億1,750万ドルの2倍以上となる(*2)。そのうち貸倒引当金として9億200万ドル計上。前年同期は52億ドルの貸倒引当金戻入益を計上していたことから、同行がふたたび与信リスクを保守的に見積もっていることがうかがえる。また、ウクライナ侵攻による相場下落に絡み5億2,400万ドルの損失を計上した。

ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は米国経済に関して「少なくとも短期的には楽観的にみている。個人と企業のバランスシート、および個人消費も依然として健全な水準だ。ただ、高インフレとサプライチェーン問題、ウクライナの影響による地政学的および経済的に大きな試練に直面している」と警戒感を示した(*1)。また、米国景気が下振れるリスクが高まっているため、貸倒引当金を計上したと説明した。

JPモルガンは4月、ウクライナ侵攻に伴い、長期的に10億ドルの損失を被る可能性があると明らかにしている。ジェレミー・バーナム最高財務責任者(CFO)は決算後の電話会議にて、ロシア関連のエクスポージャーを6億ドル有していると述べた(*2)。

米国では連邦準備制度理事会(FRB)が5月4日、22年ぶりとなる0.5%の大幅利上げを決定した。今後も急ピッチでの金利引き上げがつづく見通しである。通常、金利上昇時には金融機関にとって利ざや改善が期待される。しかしながら、JPモルガンは引当金を再び計上しており、景気減速への懸念のほうが高まっている模様だ。同行の株価は年初来で20%超下落する軟調な展開がつづいている(*3)。利上げによる影響はまだまだ続きそうだ。

【参照記事】*1 JPモルガン・チェース「Quarterly Earnings
【参照記事】*2 CNBC「JPM earnings 1Q 2022
【参照記事】*3 Yahoo Finance「JPMorgan Chase & Co. (JPM) Stock Price, News, Quote & History

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