人気のバランスファンドは?販売金額上位10本の成績を比較【2022年5月】

バランスファンドは、価格変動を抑えるために異なる資産に分散して運用するファンドです。低リスクファンドが多く、基準価額の変動は株式ファンドに比べると穏やかです。

相場が上昇トレンドの時に、思うように基準価額が値上がりしないケースもありますが、下降トレンドの時の下落幅も抑えめなので、価格変動に一喜一憂せずに長期保有したい人に向いています。

当記事では、販売金額順にバランスファンドを紹介しています。また、バランスファンドの特徴や活用方法も解説していますので、バランスファンドについて知りたい方は、内容をご確認ください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※信託報酬など、課税対象となる数値はすべて税込表示としています。

目次

  1. 人気のバランスファンド販売金額上位10本
  2. ファンドごとの概要
    2-1.eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
    2-2.SBI資産設計オープン
    2-3.楽天・米国レバレッジバランス・ファンド
    2-4.グローバル5.5倍バランスファンド(1年決算型)
    2-5.ファイン・ブレンド(毎月分配型)
  3. 値動きが少ないことがメリット?バランスファンドの役割や活用方法
    3-1.値動きを資産同士で相殺する特徴
    3-2.ポートフォリオのベースとして
    3-3.値動きに一喜一憂したくない場合に活用
  4. バランスファンドと相性の良いファンドは?
    4-1.ハイリスク・ハイリターンのブルベア型ファンド
    4-2.テクノロジーへ投資するファンド
    4-3.原油など商品ファンド
  5. まとめ

1.人気のバランスファンド販売金額上位10本

SBI証券が扱うバランスファンドカテゴリーの中から、販売金額が高いファンドを10本ピックアップしました。

ファンド名 基準価額 純資産 トータルリターン/1年 トータルリターン/3年 シャープレシオ/1年 信託報酬
1.eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) 13,639円 143,467百万円 8.08% 8.31% 0.96 0.154%以内
2.世界経済インデックスファンド 28,685円 140,083百万円 7.97% 9.27% 0.96 0.550%
3.SBI・iシェアーズ・米国バランス(2資産均等型) (愛称:まるっと米国) 10,083円 1,006百万円 0.0938%程度
4.SBI資産設計オープン(資産成長型) (愛称:スゴ6) 19,052円 36,542百万円 9.24% 8.21% 1.05 0.748%
5.ニッセイ・インデックスバランスF 4資産均等型 14,257円 20,140百万円 6.89% 8.64% 1 0.154%以内
6.楽天・米国レバレッジバランス・ファンド (愛称:USA360) 13,667円 13,566百万円 6.22% 0.37 0.4945%程度
7.グローバル5.5倍バランスファンド(1年決算型) (愛称:ゴーゴー・バランス) 10,300円 8,616百万円 1.90% 0.08 1.089%程度
8.eMAXISバランス(8資産均等型) 24,867円 40,019百万円 7.69% 7.94% 0.91 0.55%以内
9.ファイン・ブレンド(毎月分配型) 8,763円 45,467百万円 3.73% 2.77% 0.79 1.47175%以内
10.ピクテ・マルチアセット・アロケーション・ファンド (愛称:クアトロ) 11,936円 286,430百万円 0.01% 3.66% 0 2%程度+成功報酬

※2022年5月2日時点の数値

販売金額の上位には、世界株式へ分散投資するインデックス型バランスファンドが多く見られます。

レバレッジ型バランスファンドや5.5倍バランスファンドは、先物取引を利用し、レバレッジを掛けた取引を行います。同じバランスファンドカテゴリーの中でも、値動きが異なるため注意が必要です。

2.ファンドごとの概要

販売金額上位10本のファンドから5本ピックアップし、概要を以下に紹介します。

2-1.eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)

eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)は各資産の指数を均等比率で組み合わせた合成ベンチマークに連動する成果を目指すファンドです。三菱UFJ国際投信を通じて運用がおこなわれます。

新興国債券や株式が資産構成に組み込まれているため、リスクはやや高めです。2022年3月末日の月次レポートによると、8資産の構成は以下のとおりです。基本資産配分は12.5%に設定されています。

  • 国内株式
  • 先進国株式
  • 新興国株式
  • 国内債券
  • 先進国債券
  • 国内REIT
  • 先進国REIT
  • コールローン他

2022年2月の基準価額プラス700円の内訳は以下のとおりです。

対象資産 寄与度(円)
国内株式 70
先進国株式 173
新興国株式 82
国内債券 -4
先進国債券 53
新興国債券 16
国内REIT 111
先進国REIT 250
その他(信託報酬など) -1
基準価額 700

2月の運用では、主に国内・先進国REITと先進国株式がプラスに寄与しました。国内債券のみマイナスとなっており、残りの資産はすべてプラスです。

2-2.SBI資産設計オープン

SBI資産設計オープンは、国内外の株式や公社債、REITの6資産に分散投資するファンドです。比率は株式40%、債券40%、REIT20%を基本とします。運用は三井住友トラスト・アセットマネジメントを通じて行われます。

組入上位の国は、日本46.7%、アメリカ35.01%、イギリス2.63%、フランス2.67%となり、先進国で構成されています。各資産のマザーファンドの構成比率と騰落率への寄与度を以下の表にまとめました。

マザーファンド 資産構成比率 基本組入比率 騰落率寄与度(円)
国内株式インデックス 20.53% 20% 163
外国株式インデックス 22.71% 20% 423
国内債券インデックス 14.86% 20% -8
外国債券インデックス 18.09% 20% 112
J-REITインデックス 9.85% 10% 123
グローバルREITインデックス 12.50% 10% 270
その他 1.46% 13
合計 100% 100% 1,070

国内外のREITと外国株式の寄与度が高くなっています。特に外国株式が寄与度の半分近くを占めている点が注目ポイントです。資産設計オープンの月次レポートは、各資産毎に細かくレポートされており、ファンドを分析するにあたって十分な情報が揃っています。

2-3.楽天・米国レバレッジバランス・ファンド

楽天・米国レバレッジバランス・ファンドは、米国株式を米国債券で構成されるバランスファンドに債券先物取引を活用し、より運用効率の高いポートフォリオの構築を目指すファンドです。運用は楽天投信投資顧問を通じておこなわれます。米国株式と米国債券の比率は1対3。レバレッジは3.6倍が基本です。

2922年3月末日発行の月次レポートによると、米国株式やETF、為替がプラスとなる一方で、米国5年10年国債先物が大きく下落しました。基準価額プラスの要因は、米ドルが対円で大きく上昇したことです。米国債券の下落は、FRBによる米国の利上げの影響が考えられます。

2-4.グローバル5.5倍バランスファンド(1年決算型)

グローバル5.5倍バランスファンド(1年決算型)は、世界の株価指数先物取引、REIT、国債や国債先物取引、金先物取引を活用し、信託財産に5.5倍のレバレッジをかけて投資するファンドです。運用は、日興アセットマネジメントを通じておこなわれます。

2022年3月末日発行の月次レポートによる資産構成比は以下のとおりです。

世界株式 98.9%
世界REIT 25.0%
先進国債券 393.2%
24.6%
合計 541.8%
現金その他 49.6%

運用方針では株式、債券、金の資産でそれぞれにレバレッジを掛けて運用するとしていますが、月次レポートによると先進国債券にて集中的にレバレッジが掛けられています。合計すると純資産の約5.5倍の資金で運用している計算です。

2022年3月末時点の資産毎の基準価額内訳は以下のとおりです。

資産 基準価額への寄与度(円)
世界株式 359
世界REIT 165
先進国債券 -1,056
88
その他要因 279
合計 -164

3月末時点の各資産の中で、特に先進国債券だけは大きくマイナスとなっています。ファンドの設定以来、株価が上昇トレンドを続けてきたため、相対的に債券価格が下落し続けています。大幅な株価の下落に見舞われたときは、逆に債券価格が大きく上昇する計算となります。

2-5.ファイン・ブレンド(毎月分配型)

ファイン・ブレンド(毎月分配型)は、収益が期待できる5つの資産に分散投資をおこない、基準価額の変動をおさえつつ収益を目指します。毎月決算をおこない、投資家へ収益を分配する毎月分配型ファンドです。直近6期分の分配金は税引前、1万口あたり25円だしています。

2022年3月末日発行の月次レポートによる資産構成比率を以下の表にまとめました。

資産 比率
日本国債 47.7%
17.3%
高金利海外債券 16.4%
グローバル高配当株式 9.6%
グローバルREIT 7.6%
その他 1.6%

資産構成の半分を日本国債が占めています。低リスクな運用を心がけたファンドです。

2022年3月末日時点の基準価額に対する資産毎の寄与度を以下の表にまとめました。

資産 基準価額への寄与度(円)
グローバル高配当株式 68
グローバルREIT 71
高金利海外債券 -113
117
日本国債 -17
信託報酬等その他 -9
合計 115

日本国債がポートフォリオの半分を占めているため、株価の下落相場に強く、上昇相場に弱い配分になっています。運用方針によると、各資産の影響度合いが均等になるよう、資産配分を行うとされています。今後の相場状況によって、適宜配分が変更される予定です。

3.値動きが少ないことがメリット?バランスファンドの役割と活用方法

資産形成におけるバランスファンドはどのような役割を果たすのでしょうか。
バランスファンドの特徴を踏まえつつ、考察しました。

3-1.値動きを資産同士で相殺する特徴

バランスファンドは、値動きが異なる資産を組み合わせてファンド内で分散投資をおこないます。株価が下落しているときには債券価格が上昇し、価格変動を最小限に抑える仕組みです。

一つの資産に集中すると、相場が上昇している時は大きくプラスになりますが、下落相場の時の損失は拡大します。バランスファンドでは、異なる資産を組み合わせて値動きを調整しているのです。

国内債券と国内株式で構成されたシンプルなバランスファンドから、国内外株式と国内外債券に分散された4資産分散型、4資産分散型から国内外REITと先進国、新興国株式に細分化した8資産分散型、中間をとった6資産分散型の種類があります。

債券の割合が多いバランスファンドは低リスク傾向です。新興国の株式や債券が入るとややリスクが高くなります。

3-2.ポートフォリオのベースとして

バランスファンドは値動きが穏やかな特徴を持つため、ポートフォリオの土台として機能します。例えば、低リスクなバランスファンドに資産の4分の3を投資し、残り4分の1の資産を株式などリスクを取れる資金として投資して収益を狙う方法もあります。

投資スタイルによって、低リスクとハイリスク資産への配分は異なるため、状況に応じたポートフォリオを構成しましょう。

3-3.値動きに一喜一憂したくない場合に活用

相場の値動きに一喜一憂せず、長期保有による収益を目指す運用にはバランスファンドの強みが発揮されます。

株式インデックスファンドを長期保有する場合、数十年に数回起きる可能性がある相場の大幅下落にも耐えうるメンタルが必要です。人の意思が長期運用の妨げとなります。定期的に起こりうる相場の大幅下落を前提として考えると、値動きの少ないバランスファンドを保有する意味が高まります。

4.バランスファンドと相性の良いファンドは?

低リスクなバランスファンドのみを長期保有する運用スタイルの他に、他のファンドと組み合わせてリスクをとりながら収益を目指す方法もあります。

バランスファンドとの組み合わせと相性の良いファンドを紹介します。

4-1.ハイリスク・ハイリターンのブルベア型ファンド

ブルベア型ファンドは、相場のトレンドが一方向へ大きく動くときに効果を発揮するファンドです。読みが当たれば値動きに対して数倍の収益を獲得できます。ただし逆に外れると、値動きの数倍の損失を被ります。ブルベア型ファンドは、低リスクなバランスファンドの対極に位置するファンドです。

値動きの少ない低リスクなファンドの運用をベースにしていると、ハイリスクなブルベア型ファンドへのピンポイント投資がしやすくなります。ブルベア型ファンドへの投資で収益が出たら、バランスファンドに追加投資することで投資の好循環を生み出すことも可能です。

4-2.テクノロジーへ投資するファンド

5GやDX、スマートシティなど将来の市場規模拡大が見込まれるテクノロジーへの投資は有益です。しかしテクノロジー関連のファンドはリスクがやや高いファンドが多く、単独で長期保有するには少し不安です。そこで、低リスクなバランスファンドの収益バランスをサポートするべく、テクノロジーファンドを保有する運用スタイルがあります。

許容できるリスクをもとに、バランスファンドとテクノロジーファンドの配分を考えつつ長期保有すると、うまく収益バランスがとれる可能性があります。

4-3.原油など商品ファンド

原油、貴金属など商品ファンドやETFは、株式や債券とは異なった値動きをします。世界の有事の際に原油や金の価格が反応するケースがあるため、状況を見ながらピンポイントに商品ファンドへ投資する運用スタイルが有効です。

低リスク運用資金の他に余剰分の運用資金を用意しておくと、相場が急に変動した時の即時対応が可能となります。

まとめ

2022年5月時点の販売金額上位のバランスファンドは、1年のトータルリターンではマイナス運用となっているファンドが見受けられるものの、3年のトータルリターンでは多くのファンドがプラス運用を実現していました。

8資産や6資産分散のバランスファンドが多い中、資産の一部にレバレッジを掛けて運用するファンドも人気を集めています。

バランスファンドは、株式の上昇相場で思うように値上がりしないため、メリットを感じにくい面があります。しかし、大幅な下落相場では、債券が緩衝材となり限定的な下落幅に抑えられる特徴があります。

バランスファンドは長期での資産形成を計画する際には、抑えておきたいファンドの一つです。

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人気のバランスファンドは?販売金額上位10本の成績を比較【2022年5月】