ファンディーノが「未上場株式のセカンダリーマーケット」調査。流動性がカギに
株式投資型クラウドファンディング(CF)サービス「FUNDINNO(ファンディーノ)」、インターネットで未上場株式を売買できる「FUNDINNO MARKET」などを運営する株式会社ファンディーノは6月23日、「未上場株式のセカンダリーマーケット」に関する調査・展望レポートを発表した。今年4月4日の東証再編を受け、東証および各国の証券取引所について、東証の提供する機能などについて紹介。日本のセカンダリーマーケット(流通市場)の現状とこれからを考察している。
はじめに、東証を「上場企業」のセカンダリーマーケットであり、企業が公募で資金を調達するプライマリーマーケット(発行市場)でもあると定義。投資家には株式を売買できる場所だが、企業側には資金調達の場所でもある。スタートアップ領域では、IPO(Initial Public Offering)という言葉が多用されるが、Initial(最初の)でないPOも数多く実施されている。POはすでに上場している企業が新たに発行する株式(公募株式)や、すでに発行された株式(売出株式)を投資家に取得させること。「POは上場後の企業が発行する性質から裾野が広く、実はIPOの何倍もの規模となる。日本でIPOが最大となった2021年は、IPOはPO全体の12%程度になる」と指摘する。
IPO投資への投資意欲について、同社がIPO投資経験者100名に聞いた調査では、63.5%が意欲を示す一方、54.6%が銘柄に関してよりシビアな目線を持っていた。理由としては、直近のIPO銘柄のパフォーマンスが起因していることが挙げられた。一方で、投資意欲には高い数値が出ており、同社は「円安・物価高騰の影響も受けている」と見る。
海外の先進国に比べ、日本における未上場株式のセカンダリーマーケットは「まだまだ発展途上」だ。1997年にグリーンシート制度が設けられたが、2018年に完全に廃止。開示規制も厳しく、利用する企業が伸びなかったなど様々な要因が考えられているが、未上場企業に耳目が集まっていなかったことも大きな要因という。
「未上場企業への出資額が大きくなってきている中、5年後、10年後にこの出資の結果が問われてくる。起業家は投資家の期待に応えるために大きく成長していなかければならないが、5年、10年の期間は長く、その間に選択肢が多く存在することは、投資家にとっても起業家にとっても必要。 新しいサービスが生まれる土台として、 未上場株式の流動性を生み出す仕組みは必要不可欠」と同社は主張する。
現在、日本では「株主コミュニティ」制度以外での未上場株式の取引は原則禁止されている。この株式コミュニティの登録銘柄は約30で、年間の取引額は5億円程度。同社が今年4月にIPO投資の経験がある投資家へ行った調査では、未上場株式への投資に関して、流動性の課題が解決される場合、8割以上が「投資したい」という投資意欲を示した。
「日本では、スタートアップマーケットが8000億円規模までになった。今後さらに発展していくためには起業家、 投資家サイドに数多くの『打ち手』が必要」と同社。「スタートアップマーケットが大きくなるにつれ、セカンダリーマーケットの重要性はますます高まる。 規制の緩和、魅力的な企業の参加によるマーケットの魅力の高まり、未上場企業への投資を理解する数多くの投資家の参加が必要」として。これらのエコシステム構築が、日本全体のスタートアップ産業の活性化に繋がるとして、レポートを締めくくっている。
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