【特集コラム】NFT.NYC現地レポート

今回は、Web3.0とDAOをテーマに事業を行うFracton Ventures株式会社の寺本健人 氏から寄稿いただいたコラムをご紹介します。

目次

  1. メインイベントとサイドイベントの違い
  2. 印象に残ったサイドイベント:LinksDAO
  3. NFT / Web3の最前線を見て

6月20日から23日にかけて、アメリカ・ニューヨークでWeb3に関心のある人々が一堂に会する大規模なNFTの祭典が開催されました。このイベントはNFT.NYCと呼ばれるもので、主催者が用意したメインイベントのほか、コミュニティがニューヨークの至る所で開いたサイドイベントにも非常に多くの人々が集まり大盛況となったようです。

今年はNFTの盛り上がりを反映して昨年の3倍ほどの規模での開催となったこともあり、日本から参加した方も多かったようです。弊社ファウンダーの亀井もその一人です。今回は7日間に渡ってNFT.NYCやそのサイドイベントに参加し、様々な知見を得たという亀井へのインタビューをもとに、NFT.NYCで感じたNFT業界でうまく立ち回るための方法から、NFT業界の今後までをレポートしていきます。なお、NFT NYC全体のまとめについては、こちらの記事をご覧ください。

【特集コラム】世界最大級のNFTイベント「NFY.NYC 2022」の概況

メインイベントとサイドイベントの違い

亀井は主催者が招待したスピーカーによるパネルセッションが行われるメインイベントよりも、NFT業界で活動する企業やDAO、個人がプライベートに開催しているサイドイベントを中心に周ったそうです。これはメインイベントよりもサイドイベントのほうが、Web3のバックグラウンドを持つ人が多いからだそうです。目立ちやすいメインイベントにはエンタメ業界などからNFTの活用を模索する方が多く訪れており、Web3文脈でNFTを考えたいと思っている方はTwitterなどで情報を得て、サイドイベントに集まることが多かったようです。

さらに、サイドイベントにもさらに2つの分類があるといいます。1つは日時や場所が事前にDAOや企業のTwitterやWebサイトで告知されるもの、もう1つはSNSでは一切共有されず、現地で人から人へ紹介される形で広まっていく、ごくクローズドなものです。特に後者はクリプト業界で存在感のあるベンチャーキャピタルなどが開催する場合もあり、NFTやもっと広くWeb3のエコシステムで先進的な取り組みをしている方と情報交換をする場としても非常に重要とのことでした。あるクローズドなイベントの中で別のイベントを紹介してもらえることもあるため、亀井はNFT NYCイベントの早い段階で様々な方と話をすることを意識し、できるだけ多くのクローズドイベントに参加できるよう心がけたそうで、その数18にものぼるイベントをはしごする毎日だったそうです。

なお、メインイベントでは参加者向けに音楽、法務、金融、アートなど自身が興味のあるジャンルに合わせて選択できるネームカードが計11種類準備されていたといい、参加者のバックグラウンドの多様性が伺えます。ただ、特にコアな分野で活動する方の中には初めからメインイベントには参加登録を行わず、サイドイベントだけを周っていた層もいるようで、来年この傾向がさらに強まった場合、NFT.NYCのメインイベントは規模が縮小され、自律分散的にサイドイベントが各地で開催されるような形態に変化するのではないか、とも考えたそうです。

印象に残ったサイドイベント:LinksDAO

亀井が訪れた中で最も印象に残ったのは、ゴルフ愛好家がメンバーとなり、コミュニティでゴルフ場を所有することを目指すLinksDAOが主催したサイドイベントだそうです。LinksDAOは、メンバーシップNFTを発行してコミュニティ構築に利用しています。もともとあるジャンルを追求しているグループが、最近生まれたWeb3というテクノロジーをうまく活用しようとしている事例の1つと言えるでしょう。このLinksDAOについては、以前の寄稿でも扱ったのでそちらを詳しくはそちらを参照してください。

LinksDAOのイベントはニューヨークの5i Herald Squareで開催されました。ここにはインドアゴルフをプレイできる設備を備えたゴルフショップがあり、LinksDAOがその会場を貸し切っていたといいます。思い思いにインドアゴルフを楽しむ人もいれば、ソファに腰をおろして、DAOの行く先やゴルフの話に熱中する人もいました。もちろん、ファウンダーのMike Dudasがクリプト界隈における著名人ということもあり、オフラインで彼と議論できる機会は貴重ということで、現場に駆けつける人も多かったと思います。亀井もその一人でした。

亀井によると、Web3バックグラウンドを持つプロジェクトには2つの分類が考えられるそうです。1つはLinksDAOのように、NFTを元々存在する目的の達成を助けるツールとして利用するもの、もう1つはCoolcatsやDoodlesに代表されるようにNFT自体が収集の対象となる、いわゆるコレクティブル系です。

今回のNFT.NYCではどちらに分類されるプロジェクトも数多くイベントを開催していたといいますが、その手法には違いが見られたといいます。LinksDAOなど、現実世界にまずベースとなるモノ(ゴルフ)があるプロジェクトはそれにゆかりのある場所にNFTの要素を持ち込む形で開催したのに対し、コレクティブル系のイベントはニューヨークの街に自身のIPの世界観を現出させるような演出を取っていたようです。これは、彼らのIP・世界観がファンタジー的な要素を含み、それにマッチするような場がもともと現実世界にはなかったことが理由であると考えられます。

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その性質上、大掛かりな演出をしてより目立つのは後者のコレクティブル系のイベントです。しかし亀井は、前者のような現実と融合するようなイベントにも可能性を感じたといいます。これは、コレクティブル系のイベントにはそのNFTを保有するホルダーだけでなく、NFTに関心のある方が世界観を味わうために訪れていることも多い一方、LinksDAOのような比較的目立たない現実世界融合型のイベントにはそのDAOのメンバーなど、プロジェクトに深く関わっているメンバーが集まるため、より突っ込んだ議論・意見交換ができるからだそうです。どちらが良いということはありませんが、同じ「NFT」という括りの中でもその利用の仕方、コミュニティのあり方が多様化しつつあることがわかるでしょう。

NFT / Web3の最前線を見て

最後に、今回多くのイベントに参加した亀井からのコメントを掲載します。

レジストが11種類もあったように、今回NFT.NYCに参加した方の属性は多岐に渡っていました。つまり、それだけ沢山の業界の人がNFTという新しい技術やイノベーションに興味をもちはじめているということです。実際、1枚のNFTアートが約75億円で落札されたことから、NFTが世界中で注目されはじめました。NFTというものが、Web3のマスに広がる一つのきっかけとなっているのは間違いないでしょう。たった一年でここまで市場が拡大しているのは、本当に素晴らしいことです。

一方で、我々Fracton Venturesのように、Web3の最先端を追っている人たちにとっては、NFT.NYC自体にそこまでの価値を感じることができなくなっているのも事実です。カンファレンスは大きくなればなるほど、回数を重ねれば重ねるほど、自分たちの取り組みに直接関係ない人の比率が増えていき、面白い人達に会える確率は減っていくからです。私W自身も、NFT.NYC自体のカンファレンスには結局一度も参加せずに、同時多発的に発生したサイドイベントにすべての時間を割いていました。しかし、よりニッチでクローズドなコミュニティにこそ、ビジョンや想いを同じくする面白い人が沢山存在します。これはグローバルで大規模なイベントだからこそのセレンディピティであり、こういった出会いは日々の自分たちの取り組みを加速させるものになるのです。

ディスクレーマー:なお、NFTと呼ばれる属性の内、発行種類や発行形式によって法令上の扱いが異なる場合がございます。詳しくはブロックチェーン・暗号資産分野にお詳しい弁護士などにご確認ください。

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Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
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