退職後の生活の豊かさ、日本22位。健康・物質的豊かさはトップ10入り。ナティクシスIM調査

ナティクシス・インベストメント・マネージャーズ株式会社は9月14日、「2022年グローバル・リタイアメント・インデックス調査」の結果を発表した。同インデックスは退職後の経済的な安定を支える要因を検証し、人々が健康で安心して退職後の生活を送るために不可欠な主要指標を組み合わせて設計された指数。10回目となる今回の調査では、年金貯蓄が市場環境による影響を受けることから退職することが困難になる可能性があること、退職者がすでに減少した資産を取り崩すことで収入を得ているだけでなく、資産額を回復させるため、より大きなリスクのポートフォリオで資産を運用せざるを得ない状況が明らかになった。同社は「退職を迎えるには近年で最も厳しい年になる可能性」を指摘した。

同指数は退職後の豊かさに関する18の指標から構成されており、裕福な退職後の生活の重要な要素である「退職後に快適な生活を送るための物質的な手段」「貯蓄の価値を維持し収入を最大化するための質の高い金融サービスへのアクセス」「質の高い医療サービスへのアクセス」「清潔で安全な生活環境」の4つの面をカバーした副指数に分類されている。

日本の退職後の生活への評価は昨年からほとんど変化がなく、総合評価で2年連続22位となり、同調査を開始した12年当初の25位から、10年間で順位は緩やかに改善している。4つの指数の順位は健康で3位(21年は1位)、生活の質25位(同25位)、「物質的な豊かさ」10位(同16位)、「退職後の資金」が40位(同42位)だった。

退職後の資金指数のスコアが高いのは、金利やガバナンス指標が改善されたためだが、老年人口指標や政府債務指標のスコアは引き続き調査対象国中で最下位。生活の質指数のスコアが高いのは、幸福度指標のスコアが高いためだが、順位は調査対象国中で下から9番目だった。

一貫して積極的な医療への投資を反映して、健康指数では引き続き高い順位を維持。今年のスコアが高いのは、一人あたりの医療費支出指標のスコアが高いことに加え、平均寿命指標のスコアが最も高く、保険医療費指標のスコアが9番目に高いことが要因。唯一改善が見られなかった物質的な豊かさ指数のスコアは、雇用指標のスコアが調査対象国中で最も高いにもかかわらず、所得の平等指標のスコアが低いことが要因としている。

ナティクシスIMの井上真司日本代表取締役社長は「日本のスコアと順位は過去10年間ほとんど変化していない。医療への積極的な投資などのプラス面と、政府債務の増加や高齢化の進行などのマイナス面の両方において、全般的に安定した傾向を反映している。しかし、1990年代、2000年代、2010年代を通して頑なまでに持続したデフレ傾向からの脱却など、いくつか興味深い変化も確認されている」とコメントしている。

同スコアの1位はノルウェー、2位はスイス、3位はアイスランドとなっている。トップ10にはルクセンブルクとチェコが入った一方、ドイツとカナダは圏外になった。インフレ、不安定な市場環境および低金利が退職基金に影響し、世界的に退職後の安定した生活に対する圧力が高まっている。

OECDは、65歳以上の人口は2050年までに17%から27%に増加し、退職後の安定した生活への負担が増大し、医療や長期介護制度にさらに圧力がかかると予測している。栄養、医療、環境の状況の改善が長寿化に寄与する一方、出生率の低下が人口全体の高齢化を加速させるため、若年人口の多い地域でも近い将来困難に直面する可能性があり、同社は例として中国と中南米を挙げた。

特に、退職金や医療手当の給付はふくれ上がった公的債務の返済義務という制約を受けるため、高齢化が進行する中、政策決定者の選択肢は限られる。政府は財源不足を補うため、所得税の引き上げ、定年の引き上げ、給付や手当の減額など、いずれも有権者に不人気な、施策を選択せざるを得ないと同社は予想する。

井上真司社長は「退職後の生活を安定させ、現役時代を終えた後も個人が尊厳を保ちながら生活できるよう支援することは、社会の持続可能性に関わる核心的な課題。財務状況と公的年金や医療給付の責務を両立させるためには、政府に加え、企業経営者、金融業界、個人が連携して努力することが必要。すべてはリスクを理解することから始まる」と示唆している。

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