不動産投資で好立地の物件を見極めるコツは?エリア選び5つのポイントも

実物資産を運用する不動産投資において、立地条件は重要視しておきたい項目の一つです。利便性の高さが入居率に大きく影響することに加え、物件を購入してしまったあとは売却以外の方法で立地条件を変えることはできないからです。

そこで今回のコラムでは、好立地の物件を見極めるコツ、さらにはエリア選びの5つのポイントも解説していきます。

目次

  1. 不動産投資で好立地の物件を見極めるコツ
    1-1.最寄り駅からの距離
    1-2.最寄り駅の規模
    1-3.生活利便施設の充実度
    1-4.生活パターンの把握
    1-5.エリアのブランド力
  2. 不動産投資を始めるエリア選びのポイント
    2-1.賃貸需要を把握する
    2-2.競合物件の入居率を確認する
    2-3.エリアの治安を確認する
    2-4.ハザードマップで災害発生の危険度を知る
    2-5.再開発計画の有無を調べる
  3. まとめ

1 不動産投資で好立地の物件を見極めるコツ

不動産投資では「好立地」という言葉がよく使われますが、具体的にどのような立地条件を指すのか、好立地の物件を見極めるコツについて解説します。

1-1 最寄り駅からの距離

最寄り駅までの距離は、個人的な考え方の違いもありますが、「近い方がいい」と考える方が多数を占めます。毎日のように通勤や通学をしているケースでは、最寄り駅までの距離が近いほど移動にかかる日常的な時間を省くことができるからです。

ただし、最寄り駅から何分までを好立地というか基準はありません。そこで、下記のアンケート結果も参考にしてみましょう。

賃貸仲介業を営む「CHINTAI」が2019年に発表した「あなたご自身の暮らしや住まいに関するアンケート」において、「自宅から最寄り駅までは歩いて何分?」との質問に対する結果が下記のようになっています。

順位 最寄り駅までの時間 割合
1位 6分~10分 38.9%
2位 5分以内 29.7%
3位 11分~15分 21.3%
4位 16分~20分 7.6%
5位 21分以上 2.5%

※参照:Woman.CHINTAI「あなたご自身の暮らしや住まいに関するアンケート」から抜粋

最も多い回答が「6分~10分」で、「5分以内」を合わせると70%近くになります。この結果から見ると、単身者向けの物件の場合、徒歩10分以内であれば好立地、徒歩5分以内であればさらに入居者にとって好条件と考えられるでしょう。

1-2 最寄り駅の規模

前項では最寄り駅からの距離について解説しましたが、好立地と言われるには最寄り駅の規模も大切です。例えば、最寄り駅がターミナル駅、快速の停車駅、始発駅、新幹線の停車駅に近いといった駅かどうかも好立地の物件か見極めるコツになります。物件の利便性がさらに高くなるからです。

駅の規模を確認するには、乗降人員数なども調べてみましょう。乗降人員数だけで比較するのではなく、前年比などを確認することでエリア内の人口変化も推測できます。

乗降人員が増えていれば人気が上昇している駅と考えられ、賃貸需要が増加していると推測できます。反対に乗降人員が減少していれば利便性が落ちている駅とも言え、賃貸需要が下落傾向にあると判断することもできます。

各鉄道会社のホームページでは、各駅の乗降人員を公開しているので最寄り駅の情報も確認することができます。例えば、JR東日本では「各駅の乗車人員 2021年度」で1日の平均乗車人員を公開しています。私鉄の場合も、各社のホームページで情報が公開されている可能性がありますので、確認してみましょう。

1-3 生活利便施設の充実度

不動産用語には、生活に欠かせない施設を指す「生活利便施設」という言葉があります。具体的には、下記のような施設のことです。

  • スーパーマーケット
  • コンビニエンスストア
  • 銀行
  • 郵便局
  • 病院やクリニックなどの医療機関
  • 商店街
  • レストランやカフェなどの飲食店
  • 市役所や区役所、公共施設、など

こうした施設が自宅周辺にあれば、移動時間が短くなり生活しやすくなります。これらの生活利便施設の種類が多いほど、不動産投資としては好立地と言えます。

ただし、病院や郵便局、銀行、市役所や区役所などは、人によって行く頻度が異なるため、優先順位は低い方もいます。さらにファミリー向けの賃貸用物件であれば、幼稚園や小学校・中学校、公園、小児クリニックなども生活利便施設に含まれることになります。

このように人によって施設の利用頻度が異なるため、入居者のターゲット層に合わせて生活利便施設を確認することもコツの一つです。

1-4 生活パターンの把握

前述したように、人によって利用頻度の高い生活利便施設は異なるため、例えば、学生向け、単身者向け、女性単身者向けといったように入居者ターゲットが決まっているケースでは、生活パターンを把握することでも好立地の物件か見極めることができます。

一例として学生向けの賃貸用物件を挙げると、大学や専門学校が近くにあれば好立地と言えます。また、単に大学に近いだけではなく、正門前の広い道路に面しているなど通学しやすい位置にあることで、より好条件となります。

学生は、コンビニやファストフード店をよく利用したり、飲食店などでアルバイトをするといった生活パターンがよく見られます。そのため、このような生活パターンを理解した上で、周辺環境の状況を把握することで好立地か見極めやすくなります。

1-5 エリアのブランド力

エリアのブランド力とは、地域住民の生活スタイルや文化、伝統などによって築かれた、高い価値や知名度といったその地域ならではの強みのことです。高いブランド力を持つエリアでは「住みやすい」などの理由から賃貸需要が豊富な状態にあったり、家賃や資産価値が下がりにくい特徴があります。このような特徴を持つエリアは、不動産投資においても好立地と言えるのです。

エリアのブランド力を確認するには、各企業が発表している「住みたい街ランキング」などを参考にしてみると良いでしょう。下記の表は、SUUMO住みたい街ランキング2022「住みたい街(駅)ランキング首都圏版」からトップ5を抜粋したものです。

順位 駅名(代表的な沿線名)
1位 横浜(JR京浜東北線)
2位 吉祥寺(JR中央線)
3位 大宮(JR京浜東北線)
4位 恵比寿(JR山手線)
5位 浦和(JR京浜東北線)

※参照:SUUMO住みたい街ランキング2022「住みたい街(駅)ランキング首都圏版」から抜粋

好立地の物件かどうか見極めるには、このようなエリアブランドに関するランキングを参考にすることもコツの一つです。

2 不動産投資を始めるエリア選びのポイント

この項目では、エリア選びをする際の5つのポイントについて解説していきます。前項で紹介した好立地の物件を見極める5つのコツと合わせて把握すると、より正確なエリア選びができるようになります。

2-1 賃貸需要を把握する

不動産投資の賃貸需要を見極める際にポイントとなるのが人口推移です。中長期的にエリアの人口が増加していれば、賃貸物件に対する需要は多いと推測できます。

また人口だけではなく、世帯数も確認するようにしましょう。近年は各自治体で人口が減少している傾向がありますが、世帯数が増えていれば、例えばワンルームマンションなどの単身者用の賃貸住宅に対する需要は増加していると考えられます。

人口推移と世帯数の推移の両方を調べることで、より正確にエリアの賃貸需要を測ってみましょう。各自治体のホームページでは、毎月の人口や世帯数が掲載されているので、人口推移や世帯数推移について簡単に調べることができます。

2-2 競合物件の入居率を確認する

所有する賃貸用物件の入居率だけではなく、エリアを選ぶ際には周辺の競合物件の入居率を確認することもポイントになります。競合物件の入居率が高くない場合は、エリア全体の賃貸需要が減少している可能性もあり、将来的には入居率が下落する可能性があるからです。

反対に競合物件の入居率が高いということは、入居希望者からの人気が高い、賃貸需要が豊富なエリアと考えられます。

周辺の競合物件について調べるには、不動産ポータルサイトで空室情報が掲載されていないか確認したり、地域の仲介業者に聞いてみるといいでしょう。この時、築年数が経過した物件の入居率や家賃の下落幅なども併せて確認しておくこともポイントとなります。

2-3 エリアの治安を確認する

不動産投資において、投資対象の物件エリアの治安も重要な立地条件のポイントとなってきます。治安が良いエリアは入居者からも選ばれやすく、かつ対象物件が犯罪などのトラブルに巻き込まれるリスクを抑えてくれるためです。

事例として東京都の治安情報について確認してみましょう。下記の表は、警視庁の「警視庁の統計(令和2年)」から、東京23区内の警察署別の刑法犯罪認知件数を少ない順にまとめたものです。

順位 警察署 認知件数
1位 駒込署 157件
2位 大塚署 185件
3位 月島署 208件
4位 久松署 250件
5位 本富士署 258件

※参照:警視庁「警視庁の統計(令和2年)」から抜粋

エリアを選ぶ際には、このような統計を参考に、周辺地域における治安の良し悪しを比較してみるといいでしょう。また、治安の状況は自分で物件・周辺環境の調査をした際にも判断することができます。

  • コンビニの喫煙所に人が溜まっている
  • スーパーなどに指名手配犯の張り紙が貼られている
  • ゴミが不法に投棄されている
  • 近隣の公園に子供がいない
  • ごみ集積所が汚れている
  • 周辺のお店のシャッターが閉まっている
  • シャッターや塀などに落書きがされている
  • パトカーのサイレンが聞こえる
  • 街灯があまりなく、夜は暗い、など

エリアを散策してみて、上記の項目などについて確認することで、治安の良し悪しを肌で感じることができます。このようにエリアの安全性を確認したうえで投資判断を行うことも、エリアを選ぶ際のポイントになります。

2-4 ハザードマップで災害発生の危険度を知る

エリアを選ぶ際には、災害に関する情報も的確に確認することが大切です。被害が発生すると賃貸用物件を失うことにもなるからです。

また災害が発生する危険度の高さによっては、空室率を高める懸念もあります。災害が多いエリアでは、入居のネックとなり、契約に至らないことが考えられるからです。また入居に至ったとしても、頻繁に災害が起きると退去してしまうこともあります。つまり賃貸用物件の空室率は、エリアにおける災害の影響を受けてしまうのです。

災害が発生する危険度は、国土交通省の「重ねるハザードマップ」などで確認できます。「洪水」「土砂災害」「津波」「高潮」「道路防災情報」の5つの情報を表示することができるため、エリア内でどの災害の危険度が高いか把握することができます。

2-5 再開発計画の有無を調べる

再開発計画とは都市再開発法に基づき、各自治体が計画して進める大規模な工事のことです。建物の老朽化や密集化が著しいエリアを再開発することによって、都市空間を再形成することが目的です。この再開発計画によって街並みが整備され、さらに景観も向上することになります。

周辺エリアの人口が将来的に増えていき、不動産価値も上昇することが期待できます。エリアを選ぶ際には周辺に再開発計画がないか調べ、ある場合はどのような影響があるかを判断するようにしましょう。

また、再開発計画といった大規模なものではなく、新駅の開業や道路の拡幅といったことでも、人口が増えたり、街が発展する可能性があります。各自治体のホームページなどで情報が公表されていますので、定期的に確認するとエリア選びに役立ちます。

まとめ

今回のコラムでは、好立地の物件を見極めるコツを紹介しました。不動産投資では好立地であるかどうかという点が重要なポイントとなってきます。最寄り駅からの時間だけではなく、駅の規模や周辺環境などを総合的に判断してみましょう。

また、エリアを選ぶ際のポイントについても紹介しました。競合物件の入居率を確認する、刑法犯罪認知件数を把握するなど具体的な方法があります。多角的な視点から、エリア選定の際にぜひお役立てください。

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