「MSCIジャパン ESGセレクト・リーダーズ指数」の構成銘柄や選出方法は?成績や投資可能なファンドも

機関投資家の間でESG投資の必要性が取り沙汰されるようになり、一般投資家の投資先である投資信託でもESGをテーマとしたファンドが見受けられるようになりました。

財務諸表に現れないESG活動を正しく把握するのは、今後のESG投資の課題でもあります。ESG関連の指数は、企業のESG活動の重要な評価軸です。

記事内では、ESG投資の指標の一つである「MSCIジャパン ESGセレクト・リーダーズ指数」について、詳細を紹介しています。ESG投資に関連する指数の詳細が気になる人はご確認ください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※2022年10月14日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
※信託報酬など、課税対象となる数値はすべて税込表示としています。

目次

  1. MSCIジャパン ESGセレクト・リーダーズ指数とは?
    1-1.MSCI ESGリサーチ
    1-2.MSCI ESG格付けの概要
  2. MSCIジャパン ESGセレクト・リーダーズ指数の組入銘柄
  3. ベンチマークに設定しているETFや投資信託
    3-1.ダイワ上場投信-MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数
    3-2.eMAXIS ジャパンESGセレクト・リーダーズ
  4. 指数組み入れの基準は不明瞭
  5. まとめ

1.MSCIジャパン ESGセレクト・リーダーズ指数とは?

MSCIジャパン ESGセレクト・リーダーズ指数とは、モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナルによって、算出、公表されている指数です。MSCIジャパンMI指数を親指数を親指数として、ESG評価に優れた企業をピックアップし、再構成されています。

以下、MSCIのESG評価を行っているMSCI ESGリサーチを紹介します。

1−1.MSCI ESGリサーチ

MSCI ESGリサーチは、モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナルが算出するESG指数の元となる、企業リサーチを行う組織です。世界数千社の環境、社会、ガバナンスに関連する企業の業務について、細かく調査を行い、格付けし、分析内容を投資家へ提供しています。

従来の財務諸表による企業分析では見落としがちなポイントを機関投資家へ提供することが目標です。

1−2.MSCI ESG格付けの概要

MSCIによるESG格付けは、AAAからCCCまでのランク付けによって行われます。格付けは、同業他社との相対的評価で決定するとされています。しかし、ESG活動の何を基準に格付けをしているのか、という点については触れられていません。利益相反防止の観点から、MSCIから企業へ向けて、格付けを上げるためのアドバイスはしないと明記されています。

発行体向けのポータルサイトが用意されており、その中でMSCIのESG格付けに関する詳細が述べられています。

ESG評価プロセスを理解するには、公表されている企業向けFAQを読み解かなければいけません。格付けにあたって明確な情報ソースは明かしていませんが、少なくとも、企業が開示する情報だけでなく、幅広い視点から情報収集を行っているようです。

参考:MSCI「企業向けFAQ」「発行体企業向けポータルサイト」「日本取引所グループ:ESG評価機関の紹介

2.MSCIジャパン ESGセレクト・リーダーズ指数の組入銘柄

MSCIのサイトに公開されている構成銘柄の中から、上位10銘柄をピックアップしました。

銘柄 業種 構成比率 ESG格付け
1.トヨタ 一般消費財・サービス 8.2% A
2.ソニーグループ 一般消費財・サービス 5.5% AAA
3.東京エレクトロン 情報技術 3.0% AA
4.KDDI コミュニケーション・サービス 2.6% AAA
5. リクルートホールディングス 資本財・サービス 2.3% AA
6.日立製作所 資本財・サービス 2.3% A
7.任天堂 コミュニケーション・サービス 2.2% AA
8.第一三共 ヘルスケア 2.0% AA
9.ダイキン工業 資本財・サービス 1.8% AA
10.キーエンス 情報技術 1.7% BBB

※2022年6月時点のMSCIによる情報です。

MSCIの格付けランクの順位は以下のとおりです。

  1. AAA
  2. AA
  3. A
  4. BBB
  5. BB
  6. B
  7. CCC

ESG格付けではトヨタがAでソニーグループがAAA、しかし銘柄構成比率はトヨタのほうが多いなど、格付けの根拠が気になる点があります。構成比率はESGの格付けだけでなく、時価総額の規模も勘案されているようです。

3.ベンチマークに設定しているETFや投資信託

関連ETFは、大和アセットマネジメントから一銘柄運用されています。

投資信託では、三菱UFJ国際投信からeMAXISシリーズの一つとして、ジャパンESGセレクト・リーダーズがリリースされています。

3−1.ダイワ上場投信-MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数

基準価額(100口あたり) 238,781円
純資産 206.21億円
信託報酬 0.1650%
騰落率 −5.33%(1年)
設定日 2017年9月25日

組入上位10銘柄

銘柄 業種 構成比率
1.トヨタ自動車 輸送用機器 7.7%
2.ソニーグループ 電気機器 4.9%
3.三菱UFJフィナンシャルグループ 銀行業 3.0%
4.第一三共 医薬品 2.7%
5.KDDI 情報通信 2.6%
6.任天堂 その他 2.4%
7.リクルートホールディングス サービス 2.3%
8.日立製作所 電気機器 2.3%
9.ダイキン工業 機械 2.1%
10.東京エレクトロン 情報技術 2.1%

※数値は2022年9月30日発行の月次レポートによる情報です。

直近5期分の分配金実績

決算期 分配金(円)
2020年7月 2,130
2021年1月 2,010
2021年7月 1,880
2022年1月 1,980
2022年7月 3,130
設定来合計 19,590

年々高まるESG投資への注目度

このETFは2021年の7月以降に大きく純資産を伸ばしています。急に純資産残高が増えた背景は定かではありませんが、数値の推移からはESG投資への注目度の高まりを読み取ることができます。

100口あたりの分配金は、設定来19,590円です。

ETF投資にて国内企業のESG活動を押さえたい場合、当銘柄への投資を検討するのも良いでしょう。

3−2.eMAXIS ジャパンESGセレクト・リーダーズ

基準価額 12,548円
純資産 1,164百万円
信託報酬 0.44%
トータルリターン −8.53%(1年)
設定日 2018年10月22日

組入上位10銘柄

銘柄 業種 構成比率
1.トヨタ自動車 輸送用機器 7.7%
2.ソニーグループ 電気機器 4.9%
3.三菱UFJフィナンシャルグループ 銀行業 3.0%
4.第一三共 医薬品 2.7%
5.KDDI 情報通信 2.6%
6.任天堂 その他 2.4%
7.リクルートホールディングス サービス 2.3%
8.日立製作所 電気機器 2.3%
9.ダイキン工業 機械 2.1%
10.東京エレクトロン 情報技術 2.1%

※数値は2022年9月30日発行の月次レポートによる情報です。

eMAXISシリーズによるESG指数のインデックスファンド

三菱UFJ国際投信の看板シリーズであるeMAXISから、MSCIジャパン ESGセレクト・リーダーズ指数のインデックスファンドが運営されています。投資信託で同指数に連動するインデックスファンドとしては、執筆時点で最も資金を集めているファンドです。

投資信託の運用で、ESG投資の流れを押さえておきたい場合、選択肢に上がるファンドです。

4.指数組み入れの基準は不明瞭

ESG投資の課題は評価軸の統一です。財務諸表に載らないESG活動の評価軸が統一されていなければ、ESG投資はやがて形骸化する可能性もあります。

格付会社によるリサーチと評価は、一定の評価軸になるかと思われましたが、リサーチの方法や評価基準が明確にされていません。機関投資家のみならず、一般投資家のESG投資を活発化させるためにも統一された評価軸を出してほしいところです。

現状で、投資家がESG投資を行う際は、格付けと企業が対外的にアピールしているESG活動を参考にしつつ、持続的な事業運営の実現を目標とする企業を選ぶことになります。

まとめ

MSCIジャパン ESGセレクト・リーダーズ指数をベンチマークとしているファンドは、執筆時点ではETFと投資信託、それぞれ一つづつあります。

MSCIはESG格付けを行い、ESG投資の指標として情報を提供していますが、ESG企業の選定基準や格付けの評価方法は明らかにしていません。

ESG投資の課題は、共通の評価軸です。ESG投資が大型株投資と実質的に同じものにならないよう、ESG投資に最適化された評価軸の制定が望まれるところです。

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Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
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