イオンのESG・サステナビリティの取り組みは?ESG評価や株主優待制度も
イオンは、イオン株式会社とグループ企業を合わせて、約300の企業で構成するグループです。事業としては、総合スーパー、スーパーマーケット、ディスカウントストア、ヘルス&ウエルネス、総合金融、デベロッパー、サービス・専門店、国際、その他です。地域社会に根付いた経営を目指し、様々な地域の社会貢献活動に取り組んでいます。
今回は、イオンのESG・サステナビリティの取り組み、格付けや株主優待について解説します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定銘柄・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※2022年11月19日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
目次
- イオンのサステナブル経営
- イオンの環境(E:Environment)への取り組み
- イオンの社会(S:Social)の取り組み
3-1.地域社会・国際社会への取り組み
3-2.人権に関する取り組み - イオンのガバナンス(G:Governance)の取り組み
- イオンのESG格付け
- イオンの株主優待制度
- まとめ
1 イオンのサステナブル経営
イオンは、「継続可能な社会の実現」と「グループの成長」の両立を目指すサステナブル経営の推進が企業としての使命だと考え、サプライチェーン全体で環境・社会課題の解決に取り組んでいます。
2 イオンの環境(E:Environment)への取り組み
同社は「イオン脱炭素ビジョン2050」を発表し、店舗でのエネルギー使用量削減による省エネと再生エネルギーへの転換を軸として取り組んでいます。中間目標は、2030年までに店舗使用電力の50%再生可能エネルギーに切り替え、最終目標として2040年までに店舗で排出するCO2等を総量でゼロを目指しています。その取り組みとして、以下の活動が行われています。
- 植樹活動:全国・世界各地の顧客とともに、1991年から植樹を始め、2022年2月時点で約1,240万本を植樹。
- 森の循環プログラム:植樹活動で植えた木を育て、育った木を商品材料や店舗の資材に活用。
- 使い捨てプラスチックの削減:スプーンやフォークなどを木製や紙製に切り替え、年間約150トンのプラスチックを削減。
- 資源循環:紙パック、食品トレー、アルミ缶、ペットボトル等を店頭で回収し、再資源化。一部を、「トップバリュ」の原料に使用。
- 環境配慮型商品:天然魚を減らさないように、海の環境や生き物に配慮して漁業の認証であるMSC認証商品を販売。木を使った商品については、公的なオーガニック認証であるグリーンアイオーガニックの認証を取得した商品を販売(適切に管理された持続可能な森から生産された木材であることの承認であるFSC認証商品など)。
- スマートイオン:環境にやさしいだけではなく、エネルギーの効率的利用や防災対応などに地域で協働し取り組む「まちづくり」「コミュニティづくり」の視点を取り入れた次世代型店舗「スマートイオン」を展開。
- 電気自動車重点ステーション:電気自動車やプラグインハイブリッド車に対応するため電気自動車充電器の店舗設置を展開。2021年2月末時点で、国内外の251店舗に2,708基の充電ステーションを設置。
- 自然冷媒宣言:冷凍・冷蔵ケースの冷媒を代替フロンから自然冷媒(CO2)に切り替え。国内小売業で初の自然冷媒を使用した冷凍・冷蔵ケースを全店舗に導入。
3 イオンの社会(S:Social)の取り組み
イオンは地域社会の一員としてさまざまな取り組みを実行しています。
3-1 地域社会・国際社会への取り組み
- イオン幸せの黄色いレシートキャンペーン:レジ精算時に顧客が受け取った黄色いシートを地域のボランティア団体名が書かれたBOXに投稿すると、レシート金額の1%をイオンが団体に寄付。2021年度の実績は25,587団体に約3億円を寄付。
- グリーン&グリーン活動:グループ企業の社員のボラティア活動として、献血のほか、毎月11日に公園・河川敷・駅前といった公共施設・用地の清掃、老人ホームや各種福祉施設への慰問、難民への救援物質送付を実施。
- イオン チアーズクラブ:店舗近隣の子供たち約6,300名が環境に関する体験と学習。
- 包括連携協定:全国各地の地域行政と協働し、防災・福祉・環境保全を推進。災害時には物資の供給や避難場所を提供。
- ご当地WAON:ご当地WAONを発行し、利用金額の0.1%をイオンが自治体の基金などに寄付。
- 人にやさしいお店作り:新店舗や既存店舗の改築時に、バリアフリー新法に基づいた施設の建設・改築。2021年2月時点において、約760施設で実施。
- フェアトレード:途上国など立場の弱い生産者から商品を適正価格で継続し、買い取る。
- イオン社会福祉基金:障害者の社会活動への参加を促進。労使双方が一人当たり毎月50円(労使双方で100円)を積み立て、福祉車両の贈呈やボランティア活動費として利用。2021年4月時点で、114台の福祉車両を贈呈。
3-2 人権に関する取り組み
イオンは、「基本理念」および「行動規範」に加え、「国連グローバル・コンパクト」に沿った人権の取り組みを実施しています。
- 人権啓発推進体制:人権啓発に関わる業務を統括、推進を図るグループ横断組織として「グループ人権啓発推進組織」を立ち上げ、人権取り組み方針を立案。
- 事業における人権リスクの分析:リスクマネジメント統括部を設置し、事業における人権リスク評価を行うワークショップを定期的に実施。
- 人権教育:グループ各社の役員および全従業員に、人権に関する社内研修を実施。
- 従業員の人権の尊重:人権を尊重し、国籍・人権・性別・学歴・宗教・心身の障害などを理由とした差別を一切行わない。
- サプライヤーとともに:顧客満足度の実現のため、サプライヤーとともに商品の安全・安心の確保に取り組む。
- 顧客とともに:顧客に快適な店づくりを進め、同時に顧客の声に耳を傾け、商品開発などにいかす。
- 人権課題の取り組み:トップバリュ商品の製造の1次サプライヤーに対し、定期的な監査を実施。
- 是正処置、予防措置としての救済メカニズム:内部通報制度としてイオングループすべての従業員を対象に「イオン行動規範110番」を設置。法令違反や不正などの通報だけではなく、社員の相談などに対応。
4 イオンのガバナンス(G:Governance)の取り組み
ガバナンスの基本理念:顧客思考に徹し、顧客や地域社会への限りない貢献、そして従業員の幸せの現実が、小売業の永遠の使命だとしています。
コーポレートガバナンスにおける基本姿勢
- 顧客基点、現場主義による価値創造:常に顧客基点で考え、顧客のニーズに対応した最適な価値創造を追求。
- 最大の経営資源である人間の尊重:従業員を尊重、多様性を重視し、教育機会を積極的に提供。
- 地域社会とともに発展する姿勢:地域社会の一員として、顧客、従業員、株主、取引先とともに発展し、地域社会の豊かさ、自然環境の持続性、平和に貢献。
- 長期的な視野と絶えざる革新に基づく持続的な成長:変化する経営環境に対応するため、絶えざる革新に挑戦。グループ全体で長期的な視野にたち、価値創造を伴う持続的な成長と価値向上に努める。
- 透明性があり、規律ある経営の追求:顧客やステークホルダーと積極的に対話。評価を真摯に受け止め、常に自らを律することで、透明性と規律ある経営を追求。
5 イオンのESG格付け
ESGの評価機関が、各企業のESGスコアを発表しています。評価機関としては、ブルームバーグL.P.、MSCI、日本経済新聞社(日経NEEDS)、東洋経済新報社などがあります。
例えば、米国のMSCI ESGリサーチのESG格付けは、最も高いAAAから最も悪いCCCを付与しています。イオンのMSCI格付けはAAと、高格付けが付与されています。
ブルームバーグのスコアでは、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)ごとにスコアがつけられ、イオンのスコアは環境が1.12、社会が2.25、ガバナンスが3.95です。同業社平均スコアと比較すると、社会は平均以上ですが、環境が平均以下、ガバナンスは下位という評価です。
6 イオンの株主優待制度
イオンには、保有株数に応じたキャッシュバックなど、イオンの利用者が株主になりたくなるような制度が設けられています。優待制度は下記の通りです。
- 優待カード:買物の際に保有株式数に応じて、買物金額の最低3%がキャッシュバックされます。キャッシュバックの返金率は、100~499株:3%、500~999株:4%、1,000~2,999株:5%、3,000株以上:7%。
- 関連施設の割引や優待料金制度:イオンイーハート、イオンシネマ、スポーツオーソリティ、イオンペットなどで、割引や優待料金が適用。
- 長期保有株主優待制度:3年以上継続してイオンの株を1,000株以上保有している株主には、株数に応じてイオンギフトカード(2,000~10,000円)を進呈。
まとめ
今回はイオンのESG・サステナビリティの取り組みや株主優待について紹介しました。
イオンは、小売りという業種から地域社会に根付いた経営を目指しており、幅広い社会貢献活動に取り組んでいます。こうした取り組みが功を奏し、MSCIのESG格付けはAAと高評価を得ています。
また、同社は株主優待制度も実施しています。株主には優待カードが発行され、買物の際に保有株式数に応じた金額が返金されます。同社の利用者を中心に、個人投資家に人気の銘柄です。
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