「2023年の世界経済は第1Qにボラティリティが落ち着き、通期で安定して推移」ナティクシスIMが経済見通し発表
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズ株式会社(ナティクシスIM)は12月1日、グローバル・マーケット戦略責任者マブルック・シェトゥアン氏による2023年の経済見通しを発表した。シェトゥアン氏は、ボラティリティ(価格の変動性)の傾向について「23年第1四半期には落ち着き、1年を通して安定して推移する」と予測している。
22年の振り返りと23年の展望で、同氏は留意すべき点として「経済の耐性、持続的なインフレ、高いボラティリティ」3点を挙げる。「22年の大きなサプライズはインフレ。実際、各国の政府や中央銀行にとってインフレの激化は予想外であり、米国と欧州でここまでインフレが上昇するとも、これほど長期間高止まりするとも予想されていなかった」とふり返った。インフレについては「長期間付き合っていかなければならない状況にあり、来年に向けて注目しなければならない」と認識している。
さらに「現在、主要国経済のインフレ率は非常に高水準に達しているが、欧州と米国では状況が異なる」と区別する。米国では、今後数ヶ月から数四半期でインフレ率が低下し始める兆候が確認されている一方、欧州では、インフレは欧州全域の全セクターと各国に広がっており、異なる状況にある。直近でも、米連邦準備制度(FRB)は利上げペースを減速し始めることが可能なのに対し、欧州中央銀行(ECB)は12月に75bpの利上げを実施する見通しだ。
欧州では、物価上昇が続いているため、インフレ率の上昇は続く予想。「政府が家計収入を守るために財政を投入しなければ、企業が欧州諸国の経済を損なわずに値上げを実施することはできないだろう。その意味で、欧州の財政赤字は一段と拡大する」と同氏は見る。
一方、米国では「経済が即座にリセッション入りすることはない」とする。要因として、経済が依然堅調で、第4四半期のGDP成長率は大幅なプラスになる見通しであること、17億ドルの過剰流動性、個人消費のブースターとしての信用などを挙げる。FRBは少なくとも23年第1四半期を通して引き締め政策を継続、金利は5%程度で維持する見通しであることも付言した。
23年には、各国の中央銀行は第1四半期末までに利上げを停止し、その後、少なくとも6ヶ月間は、主要金利を安定化させると見通している。「欧州では依然としてボラティリティが高いと予想するが、米国ではそれほどでもなくなるだろう。米国の債券市場でエクスポージャーを持つのは有効だが、欧州は、追加利上げや長期金利のネガティブサプライズが予想されるため「時期尚早」と指摘。同氏の予測では、ECBが金融の引き締め政策を一巡させる第1四半期末には、金利は間違いなく安定し、ECBのターミナルレートは、コンセンサス(3%)をやや上回る3.5%を見込む。その上で「ボラティリティは23年第1四半期には落ち着き、1年を通して安定して推移するだろう。これは特に米国に該当することで、ここ最近では欧州でも同様の状況が確認されている」としめくくった。
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