IDECのESG・サステナビリティの取り組みは?配当情報も
IDECは、事業活動の中でESG・サステナビリティの取り組みを行う企業の一つに挙げられます。持続可能な社会の発展を目指すため、「環境」「社会」「ガバナンス」「安全」「品質」を重要課題としています。
そこでこの記事では、IDEC のESG・サステナビリティの取り組み内容、外部評価、業績と株価動向、配当情報について詳しく紹介します。関心のある方は参考にしてみてください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※本記事は2023年1月6日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。
目次
- IDECの特徴
- IDECのESG・サステナビリティの取り組み
2-1.環境
2-2.社会
2-3.ガバナンス
2-4.安全
2-5.品質
2-6.IDECのESG・サステナビリティに関する外部評価 - IDECの業績・株価動向
- IDECの配当推移
- まとめ
1 IDECの特徴
IDECは、機械制御機器、制御装置などの製造を行っている総合メーカー企業です。1945年に「和泉商会」の屋号で電気機器の小売、卸売業者として創業し、1947年に法人化して事業を開始後、1989年に東証へ上場し、2005年に社名をIDECに変更して今日に至ります。
IDECの主な事業は、「スイッチ事業」「インダストリアルコンポーネンツ事業」「オートメーションセンシング事業」の3つです。スイッチ事業では、制御技術で開発した制御用操作スイッチ、非常停止用押ボタンスイッチ、ワンボードパネルなどの製造、販売をしています。
一方、インダストリアルコンポーネンツ事業で製造・販売されているのは、機械装置や生産ラインなどの制御盤や制御部に組み込まれる各種電子機器です。オートメーションセンシング事業では、インターネット経由によって通信機能を持つ物である「IoT」関連製品の製造・販売を行っています。
その他、生産性と安全性の向上に役立つソリューション提供を担う安全・防爆事業、ロボットや人工知能関連事業などにも取り組んでいます。
IDECの活動拠点は、本社のある大阪・兵庫・東京だけでなく、米国やフランスなどの欧米地域、中国やシンガポールなどのアジア地域にも設けており、グローバルに事業を展開しています。
2 IDECのESG・サステナビリティの取り組み
IDECグループは、企業の発展による社会貢献を実現するため、CSR活動を通じてESG・サステナビリティの取り組みを行っています。ESGを意味する「環境」「社会」「ガバナンス」のほか、グループの強みである「安全」「品質」の項目をCSR活動推進の重点分野と定めています。
各分野に対するESG・サステナビリティの取り組み内容は、以下の通りです。
2-1 環境
IDECグループは、企業の生産活動における環境負担の低減を図ったり、環境への影響が最小限に抑えられる製品開発や技術開発を目指したりするなど、地球環境の保全に貢献しています。
また、各事業所に省エネ効果、二酸化炭素削減効果のある社屋や工場を設けることや、グリーン購入、再生紙の利用、生物多様性に取り組む団体が認証するコーヒーの提供、脱ペットボトルの取り組みも行っています。
IDECが定める環境基本方針を確認してみましょう。
- 地球環境の保全活動を推進・実践するための組織、運営体制を全ての事業活動において整備する。
- 事業活動が環境に与える影響を把握し、環境目的・目標を設定し、環境保全のための継続的な改善をはかる。
- 環境側面に関係する法律、条令、協定などを遵守し、自主基準を制定した上で、一層の環境保全に努める。
- 事業活動の全てにおいて、省資源・省エネルギー・リサイクルの推進・廃棄物削減などに努め、地球環境の保全に取り組む。
- 環境マネジメントシステムを構築し、内部監査を実施し、システムの維持と継続的改善に努める。
- 環境に関する社会活動は積極的に参加して貢献する。
IDECグループは、事業活動を行う中での環境破壊リスクの発生を予防するため、環境マネジメントを行っています。1997年9月に環境マネジメント国際規格ISO14001の認証を取得し、環境マネジメントも規格のシステムに基づいて行われています。
また、環境マネジメント組織が設けられており、環境担当執行役員が環境マネジメントにおける環境側面や環境目標などの承認をしています。それに加え、環境マネジメントシステムの適正な内部監査を実現するため、環境監査責任者を任命した上で、認証機関の内部監査員養成研修を受講した環境監査員が内部監査を行っています。
2-2 社会
IDECグループは、企業目標の一つである「人間性尊重」にしたがい、企業の発展や事業活動を通じて社会貢献を果たす取り組みを行っています。例えば、全ての顧客に対して、安心安全で高性能、高品質な製品を開発して販売することを約束するほか、顧客満足度向上のため、国内、欧米、アジアなどの海外事業拠点地域で「IDECお客さまアンケート」を実施し、寄せられた意見や要望を考慮した上で、継続的な改善に取り組んでいます。
また、IDECグループは、「人を大切にする」「人材の育成」などの人間性尊重を重視した経営を実践しています。グループ企業の行動基準である「人権・職場環境に対する行動」の項目において、性別、国籍、身分、宗教などで差別しないことを定めるほか、社員の能力開発に対する積極的な支援を行い、社員の健康への取り組みを推進しています。
このほか、ダイバーシティにも配慮し、多様な個性や価値観を持つ各社員が能力を発揮できるように、国籍・ジェンダー・文化・ライフスタイルなどの違いを尊重した働きやすい職場環境の整備にも努めています。
2-3 ガバナンス
顧客、株主、取引先などのステークホルダーに対して経営の透明性や効率性を確保するため、コーポレートガバナンスの体制を充実させています。2016年に「IDECコーポレートガバナンス・ポリシー」を制定し、2018年に取締役会による経営の監査機能をより強化する目的で、監査等委員会設置会社への移行を図っています。
また、2022年には、環境分野やIT戦略などの分野の充足目的で新たに社外取締役を任用し、取締役全体における社外取締役の割合を多くするほか、女性取締役の割合も増やしています。
2-4 安全
IDECグループは、社員の安全と社会の安全を内容とする「安全基本方針」を制定した上で、グローバル社会での安全で快適な環境を作っていくため、事業活動を行う中で「協調安全の実現」「産業現場の安全の実現」「安全な物作りの実現」を追及・推進しています。
例えば、協調安全を実現する施策として、柔軟的で安全かつ生産性の高い生産システムの構築や協調ロボットシステムの安全対策に関するコンサルティングサービスを提供しています。また、産業現場の安全の実現のため、スイッチやLED照明などの安全・防爆機器製品の開発を行うほか、セミナーの開催や安全コンサルティングの実施による安全な物作りの提案をしています。
その結果、IDECグループは、労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格であるISO45001認証について、国内拠点の「滝野事業所」「福崎事業所」「尼崎事業所」「竜野事業所」「木場事業所」で取得しています。
2-5 品質
IDECグループは、品質向上のために品質保証体制を設けて継続的な品質改善活動に取り組み、組織全体で進捗管理を情報共有して品質改善を狙うためのプロセス改善を行っています。また、品質レベルや品質意識の向上を目的として、グループの社員全員が、階層ごとのカリキュラムを設定した体系的な品質管理研修を継続的に受ける形で品質教育を行っています。
その結果、全世界170以上の国及び100万以上の組織が利用している品質マネジメントシステムに関する国際規格であるISO9001認証について、IDEC本社および国内外事業所、関連会社など計22箇所で取得しています。
2-6 IDECのESG・サステナビリティに関する外部評価
IDECのESG・サステナビリティの取り組み内容は、外部からも高い評価を受けており、以下のESGインデックスの構成銘柄に組み込まれています。
ESGインデックス | 詳細内容 |
---|---|
FTSE Blossom Japan Sector Relative Index | FTSE Russell社が構築した、各セクターにおけて相対的に環境、社会、ガバナンスの対応に優れた日本企業のパフォーマンスを反映するESG指数 |
FTSE Blossom Japan Index | FTSE Russell社が構築した、環境、社会、ガバナンスに関する優れた取り組みを実践する229銘柄で構成されるESG指数 |
SOMPOサステナビリティ・インデックス | SOMPOアセットマネジメントがESG評価と株式価値評価を組み合わせた上で独自に作成した指数 |
「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」と「FTSE Blossom Japan Index」には、2022年に初めて構成銘柄として選出されています。また、「SOMPOサステナビリティ・インデックス」には、2021年・2022年に2年連続で構成銘柄に選出されています。このほか、サステナ株式会社が毎年実施している「SUSTAINA・ESGアワード」の2022年総合部門において、シルバークラスを受賞しています。
3 IDECの業績・株価動向
IDECの2020年3月期〜2022年3月期までの業績は、以下の通りです。
項目 | 売上 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
当期純利益 (百万円) |
---|---|---|---|---|
2020年3月期 | 58,355 | 4,704 | 4,613 | 3,006 |
2021年3月期 | 53,983 | 4,041 | 4,104 | 2,803 |
2022年3月期 | 70,789 | 9,672 | 10,398 | 7,896 |
2020年3月期〜2021年3月期にかけて、業績はやや下がったものの、2021年3月〜2022年3月期は全体的に上昇しました。特に2022年3月期の営業利益、経常利益、当期純利益は、前年期の2倍以上の上昇率となっています。
IDECの株価は、2021年5月6日〜2022年12月29日まで上昇傾向が続いています。2021年5月6日時点の株価は1,665円でしたが、2022年12月29日時点の株価は2,912円とその上昇幅は1,000円以上となっています。
IDECは、安全性のある制御用スイッチにおける業界内の地位を確立している点、スイッチの付加価値の向上と顧客ニーズに適したソリューションの提供が可能である点などの強みがあり、これらの要素によって、今後の株価動向にポジティブな影響を与える可能性があります。
一方、スイッチ以外の制御機器における単体での競争力に課題があるため、株価に与える影響を注視する必要もあります。
4 IDECの配当推移
IDECは株主への還元として、毎年中間と期末の2回ずつ配当を行っています。直近3年間の1株当たりの配当実績は、以下の通りです。
項目 | 中間 | 期末 | 年間合計 |
---|---|---|---|
2019年度 | 25円 | 25円 | 50円 |
2020年度 | 25円 | 25円 | 50円 |
2021年度 | 40円 | 60円 | 100円 |
2019年度と2020年度の1株当たりの配当金額は、中間、期末、年間合計の額がそれぞれ全く同じでした。一方、2021年度の1株当たりの配当金額は、中間と期末の双方で増額となり、年間合計額は前年度の倍額となっています。また、2022年度の1株あたりの配当金額は、中間と期末がそれぞれ65円、年間合計が130円で、2021年度よりも増額となる見込みです。
まとめ
IDECのESG・サステナビリティへの取り組みは、環境、社会、ガバナンスに関する事項だけではなく、強みである安全や品質関連も含めて行っているのが特徴です。2021年と2022年には、複数のESGインデックスの構成銘柄にIDECの銘柄が組み入れられたり、ESG関連の表彰を受賞したりするなど、外部機関からの評価も高まっています。
IDECのESGやサステナビリティの内容に関心のある方は、この記事を参考にご自身でも調査を進めてみてください。
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