SDGsの観点から見た空き家投資の意義は?空き家活用のアイディアも

SDGsという単語に聞き覚えがあるものの、具体的な詳細をご存知ではない方も多いのではないでしょうか。SDGsは持続可能でよりよい世界を目指す国際目標のことで、世界的に注目されている指標の1つとなります。

空き家投資は古民家を再生して人が安心して暮らせる住宅環境を整えるという意味合いからこのSDGsとも関連が深く、人口減少が続く日本国内の地方自治体では空き家を上手く活用し、地域活性化に向けた様々な政策を打ち出したりしています。

当コラムではSDGsに関する概要や、SDGsの観点から見た空きや投資の意義や活用アイディアなどを紹介します。空き家活用を通じた地域貢献や、投資の注意点について知っておきたい方はご参考ください。

目次

  1. 持続可能な開発目標「SDGs」とは?
    1-1.SDGsの観点から見た空き家投資の意義
  2. 自治体による空き家とSDGsの取り組み事例(調布市)
  3. 空き家投資のメリット・デメリット、注意しておきたいリスク
    3-1.空き家投資のメリット
    3-2.空き家投資のデメリット
  4. SDGsに貢献する空き家投資・活用のアイディア事例
    4-1.賃貸物件
    4-2.シェアハウス
    4-3.レンタルスペース
    4-4.レンタル倉庫
    4-5.民泊
    4-6.テナント活用
    4-7.更地・パーキングなどへの活用
  5. 空き家投資を検討する上で押さえておきたい注意点
    5-1.賃貸需要がない・今後無くなるエリアに注意
    5-2.空き家物件の状態次第では高額なリフォーム費用になるケースも
  6. まとめ

1.持続可能な開発目標「SDGs」とは?

SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の略で、国際社会で共通した2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。具体的な内容として貧困問題や環境問題など17のベースとなる目標から細分化した、169の目標が国連サミットにて決議されました。

ベースとなるSDGs17の具体的な目標については、以下の通りです。

  1. 貧困をなくそう
  2. 飢餓をゼロに
  3. すべての人に健康と福祉を
  4. 質の高い教育をみんなに
  5. ジェンダー平等を実現しよう
  6. 安全な水とトイレを世界中に
  7. エネルギーをみんなに。そしてクリーンに
  8. 働きがいも経済成長も
  9. 産業と技術革新の基盤を作ろう
  10. 人や国の不平等をなくそう
  11. 住み続けられるまちづくりを
  12. つくる責任、つかう責任
  13. 気候変動に具体的な対策を
  14. 海の豊かさを守ろう
  15. 陸の豊かさも守ろう
  16. 平和と公正をすべての人に
  17. パートナーシップで目標を達成しよう

※参照:国連広報センター「2030アジェンダ

SDGsでは資源の活用と持続可能な街作りも課題に含まれており、今後少子高齢化や社会構造の変化により急増することが見込まれている空き家問題も、SDGsと関係する課題となります。

空き家問題については、国土交通省「空き家等の現状について」によると、ここ20年の間で空き家の増加率は1,8倍を記録しており、今後も増加し続けることが予想されているのが実情です。

※画像引用:国土交通省「空き家等の現状について

しかし、増加している空き家の中でも、活用可能であると考えられる物件は全国で48万戸に及ぶとも国土交通省の調査では指摘されています。既に一部の自治体ではSDGsと関連した空き家対策を行なっており、今後も空き家の活用によるSDGs達成の取り組みが各地で行われていくことが予想されるでしょう。

1-1.SDGsの観点から見た空き家投資の意義

空き家再生投資は近隣住民の生活環境の改善やトラブルの防止などに向けた地域貢献が可能です。

例えば、放置された空き家は瓦の落下などの安全面や、雑草による近隣住民のトラブルといった問題を引き起こしてしまう可能性があります。廃墟化した空き家が災害により倒壊するといった事故を引き起こす危険もあるため、今後放置された空き家問題は深刻化することが予想されます。

これらの対策として空き家再生を行い、賃貸として貸し出す事業を通じて、トラブルを防ぐだけではなく近隣住民の生活環境の改善を見込むことができます。

事業として活用するために物件を管理する都合上、庭の手入れや外壁塗装を行い街並みの景観も良くなるといった効果も期待できます。空き家再生投資は、SDGsの観点から見ても意義のある事業形式とも考えることができるでしょう。

2.自治体による空き家とSDGsの取り組み事例(調布市)

SDGsの取り組みを行う具体的な事例として、調布市の「調布市空き家×SDGs」といったプロジェクトなどがあります。調布市空き家×SDGsは「空き家を町の資源に変える」をコンセプトとして展開し、事業を推進するプロジェクトです。

調布市が行うSDGsの目標達成に向けた取り組みの一例としてはLINE公式アカウント「調布市スマイのミライ教えてナビ!」での発信活動や、モデル事業者を公募し空き家活用の円滑化を目論むと言った取り組みが行われています。

調布市の「調布市空き家等ワンストップ相談窓口」では、空き家に関するオンライン相談窓口が設けられており、相続した空き家の管理や利用法、リフォームといった課題を相談することが可能です。

調布市空き家等対策計画資料」によると、平成28年時点で問題なく住める状態の空き家が半数近くを占めており、相続した空き家の維持管理を行なっていない最も多い理由が「遠方に住んでいる」という理由との調査報告が発表されています。また第二位には「本人が施設等に入所しており、他に維持管理する親族等がいない」という理由もあり、様々な個別の事情から空き家管理を難しく感じていることが見えてきます。

※画像引用:調布市「調布市空き家等対策計画資料

更に空き家の持ち主の意識調査では条件次第では利用・活用したいという意志が4割を占めているため、事業活用では比較的前向きな保有者が多い調査結果も出ております。

※画像引用:調布市「調布市空き家等対策計画資料

SDGsの目標を達成できるポテンシャルを秘めている空き家が数多くあることが、調布市から発表されている資料からも確認することができます。SDGsの目標達成に向けた取り組みにおいて、空き家活用の円滑化を行う自治体として今後も注目したい具体的な事例の1つでしょう。

3.空き家投資のメリット・デメリット、注意しておきたいリスク

3-1.空き家投資のメリット

空き家を活用した不動産投資は、低価格で物件を購入することにより少ない投資資金で行うこともできます。

例えば、融資を活用した不動産投資は大きな資金運用が可能になるメリットがありますが、空室が起きた際も月々の返済義務が発生し、キャッシュフローの大きなマイナスに転じるリスクがあります。

一方、空き家を活用した不動産投資は物件の購入価格が低いため現金購入も検討でき、この場合は返済義務が発生しないため、すぐに経営が立ち行かなくなるリスクは限定的です。また賃貸など用途がどうしても限られてしまう投資と異なり、アイディア次第で様々な用途に用いることができるのも空き家投資の特徴となります。

3-2.空き家投資のデメリット

空き家投資ではリフォームに伴う修繕費用が高額になる可能性が高いため、採算が取れる物件の見極めが必要になるため注意しましょう。購入前のシミュレーションした箇所以外に、雨漏りや排水管劣化などが見つかり、想定外に初期費用がかさむこともあります。

また、購入価格の低い空き家は賃貸需要の少ないエリアであり、土地の評価額が低いという特徴があります。その分金融機関からの担保評価も低く、簡単に売却できない可能性があります。

空き家投資は、人口増加傾向にある都心部と比較してハイリスクな投資対象と言えます。これらのデメリットやリスクにも注意して、余裕資金で行うなどの対策をとっておきましょう。

4.SDGsに貢献する空き家投資・活用のアイディア事例

4-1.賃貸物件

空き家で最もポピュラーな活用方法は、修繕後に賃貸物件として活用する手法です。住宅用の空き家は生活に必要な設備を兼ね備えているため、古い設備をリノベーションすることで賃貸物件として活用することができます。

また高額な修繕費が発生しがちなリフォーム費用も、自身の手で修繕を行うDIYを行うことで安価に施工を行うことも検討できます。新築やアパート物件と異なり初期費用も低いため、自己資金で融資を活用せずに参入することができるリスクの低さも空き家を活用した不動産投資の魅力でしょう。

ただし、周囲の価格競争に巻き込まれない高めの賃貸設定を行う際には、入居希望者が申し込みたくなるような魅力のある内装を施す必要があります。加えて物件の傾きや雨漏りなど、高額修繕が伴う瑕疵物件の場合には想像以上のリフォーム代が発生してしまうなどのデメリットもあります。

空き家を賃貸として運用するためには、おおよその修繕費用の見積もりが行えるなど専門的な知識が必要になる点に注意しましょう。

このような空き家を活用した築古不動産の賃貸経営では、物件を取り壊した後に発生する木材などの焼却で発生する二酸化炭素量の削減に取り組むことができるため、SDGsの目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」の達成に貢献することができます。

築古不動産投資を通じて高齢者向けのリフォーム処置や防犯対策におけるセキュリティの向上なども、SDGsの目標11「住み続けられるまちづくり」と、目標12「つくる責任、つかう責任」の達成にむけた取り組みになります。

4-2.シェアハウス

近年注目されている空き家を活用した不動産投資手法の1つが、シェアハウスとしての運用です。特に広い戸建物件は1軒で複数の入居者を募るシェアハウス運営と相性が良く、通常の賃貸物件と比較した場合に利回りを大きく上回る可能性もあります。

さらにシェアハウスは低所得者層に向けた住居提供として、SDGsの目標SDGsの目標11「住み続けられるまちづくり」の達成目標に貢献することも可能です。ただし、一軒に複数の住民が入居する都合上、入居者同士のトラブルも発生しやすいため通常の賃貸物件より管理の手間がかかる点は投資前に押さえておきたい課題でしょう。

シェアハウスの運用方法は大きく分けてドミトリー形式と個室の2種類があげられます。ドミトリー形式は1軒の物件に対し、多人数が入居できるというメリットがあり高利回りを実現しやすい特徴を持つ運営方法です。ですが、ドミトリー形式はプライバシーが守り辛く、個室型のシェアハウスに比べて人気が低いというデメリットを抱えています。

一方個室では個人のプライバシーが確保できる間取りから入居が決まりやすい反面、1つの物件で入居できる人数が限られるというデメリットの解決が必要です。その他、シェアハウス運営はハウスルールや入居者審査を徹底するといった細かな仕組み作りが、運用を成功させるための秘訣となります。

4-3.レンタルスペース

賃貸以外の活用法として注目されている空き家投資の手法が、レンタルスペースといった活用です。レンタルスペースとして活用する一例としてはマッサージ店や撮影スタジオ、コワーキングスペースなどの提供方法があげられます。

また、レンタルスペースとしての提供方法にも複数の活用方法があるため、アイディアと需要次第ではさまざまな活用方法を検討することが可能です。一般的にレンタルスペースは賃貸と異なり、1時間1,200円といった時間単位で料金を設けるビジネスモデルが一般的となっています。

数多くの利用者を集客することができれば、賃貸物件より1ヶ月で得ることができる収入が多くなる点もレンタルスペースとして運用するメリットでしょう。ただし、利用者が多い日や少ない日など、賃貸物件としての運用のように収入の予想が立てづらく、毎月一定の収入を見込みにくいという点に注意が必要です。

4-4.レンタル倉庫

空き家の活用法としてあまり知られていない運用方法の1つが、貸し倉庫として利用する方法です。空き家を倉庫として利用する方法は、賃貸住宅のような高額なリフォーム費用が必要ないケースが多い点がメリットになります。

駐車スペースが広く立地条件が良い空き家の場合には、他の利用法と組み合わせてトランクルームを設置するのも手法の1つでしょう。また賃貸として利用を行わないため、心理的・物理的瑕疵のある物件でも利用者を募りやすい点も空き家を倉庫として運用する魅力です。

ただし、適切な床の張り替えや雨漏り対策、防犯対策といった倉庫として運用するため最低限のリフォームが必要になります。加えて利用者が保管している財産に損害などが生じた場合の対策として、火災保険に賠償責任特約を追加するといったリスク対策も必須です。

また倉庫として運用する場合には、倉庫業法に基づいた事前の登録が必要など、法律面でもクリアする課題が多い点も押さえておきたいポイントでしょう。

4-5.民泊

周囲に観光地などがある立地条件の良い空き家は、民泊としての運用も注目されている活用方法の1つです。高額な初期投資が発生する旅館・ホテルなどの設備が必要なく、空き家をリフォームすることで低リスクな宿泊事業を立ち上げることができます。

またコロナ禍明けの需要増加が予想される外国人観光客を見越して、事業を立ち上げることができるのも民泊のメリットです。人気の民宿として宿泊者を獲得することができれば、大きな収入を獲得できる可能性もあります。今後は訪日外国人観光客によるインバウンド需要から、外貨を獲得できる可能性が高い手段としても注目したいポイントです。

ただし、民泊(民泊新法)として営業を行うことができるのは国家戦略特別区域以外の立地では、年間180日以内といった制限も設けられています。この制限を超えて運営するためには、より認定条件が厳しい旅館業法の条件のクリアが必要です。

外国人観光客のニーズを見込む場合には、日本人と異なる文化を持つ海外の観光客を受け入れるため、英語によるルールの説明・認知といった取り組みが必要な点も民色運営で注意したいポイントでしょう。

また民泊ビジネスはSDGsの目標9「働きがいも経済成長も」における、地方の文化や産品を広め、働く場所をつくりだす持続可能な観光業の貢献に繋がります。

4-6.テナント活用

首都圏や広い駐車場など立地条件が良い空き家であれば検討したい方法が、テナント賃貸物件としての活用です。本来であれば高額な費用が発生するテナント物件も、空き家を活用することで低リスクに運用することができます。

テナントとして利用者が利益を出し続けることで、賃貸物件より高めの家賃を獲得する可能性を秘めているのも特徴の1つです。また、賃貸の利用者が自身の理想とした店構えにするために、自由にDIYが行える物件を求めているニーズも見逃せないポイントでしょう。

実際に空き家をテナントとして賃貸運用し、利用者がDIYを施し古民家風カフェの飲食店として繁盛したことでリフォーム費用を掛けずにテナントとして活用する事例もあります。DIY可能物件として、リフォーム費用や修繕費を安価に済ませることができるケースも押さえておきたいポイントです。

またサービスエリア内であれば、フードデリバリーサービスのゴーストキッチンなどのテナントとしての活用方も選択肢の1つとして検討材料となります。テナントとしての活用は、SDGsの観点としても目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」における、雇用と国内総生産(GDP)の割合を増やす取り組みにも貢献することが可能です。

4-7.更地・パーキングなどへの活用

空き家は解体して更地にすることで、パーキングや新たな物件の立て直し、太陽光発電といった活用を行うこともできます。特に物件の修繕費用が新築物件を購入できるほど高額になるほど損傷が激しい空き家の場合には、一度更地にして住宅の立て直しを行うことが推奨される事例の1つです。

更地は売却時に買い手が見つかりやすく高値で取引が行える可能性が高いため、解体費用を上回る売却額を見込める場合には検討材料の1つになります。ただし、更地にするためには空き家1軒を解体する必要があるため、高額な費用を補うことができる採算を見込める必要がある点に注意しましょう。

また建物が無くなることで住宅用地の軽減処置特例を受けれないため固定資産税が高くなる点や、再建築不可物件の場合には新たに物件を立てることができない点も押さえておきたいポイントです。

5.空き家投資を検討する上で押さえておきたい注意点

5-1.賃貸需要がない・今後無くなるエリアに注意

空き家を再生し賃貸物件などに活用する際に注意したいポイントは、賃貸需要がない・今後無くなるエリアです。低リスクで不動産運用を行うことができる空き家は、賃貸需要としてニーズがあることで成り立つ事業となります。

賃貸需要としてニーズがない・今後無くなるエリアでは、家賃を下げても入居者が見つからずに投資額の採算が取れない自体に繋がりかねません。一例として山奥に1軒だけ佇んでいる不便な立地や、過疎化が著しく数年以内に消滅が危惧されているエリアの空き家への投資は十分検討した上で購入を決定する必要があります。

5-2.空き家物件の状態次第では高額なリフォーム費用になるケースも

空き家再生投資で賃貸などの運用を検討している方への注意事項は、物件の状態次第では高額なリフォーム費用が発生する恐れがある点です。

例えば、物件の状態が悪く家の傾きや雨漏り、シロアリ被害といった瑕疵の修繕総合費用は、安価な物件を購入できるほどの出費になる恐れがあります。

そのため、空き家を修繕するためのコストが無いため、撤退を余儀なくされるといった失敗にも繋がりかねません。リフォームを施し活用できる物件と、修繕費用のコストで採算が合わない活用不可な物件を見極めることができる知識も、空き家再生投資を行うためには不可欠な要素です。

まとめ

2030年までの達成目標として世界で掲げられたSDGsとも関係が深い空き家問題は、事業として活用することで地域や社会全体にも貢献できる意義を持ちます。

低価格で入手できる可能性が高い空き家は、数ある不動産手法の中でも低リスクで始めることができる点が大きなメリットです。入居者の方の生活に大きく影響するだけでなく、周辺環境や地域の産業にも間接的に関わることが出来る点も魅力と言えます。

ただし、空き家と言っても比較的に大きな投資額になることもあり、不動産の修繕やニーズ調査などの専門的な知識が必要になる側面もあります。これらの点にも注意しながら、どのような試みが出来るか検討されてみると良いでしょう。

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Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
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